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「姉さんの頼みなら即答だな。どんだけ好きなんだよ。」

「マリアーノ様がおっしゃることは絶対だ。天使、いや神よ「あっ、もう大丈夫。じゃあ早速始めようか。」

最後まで言わせてくれ!!


魔法の基本的な知識と使い方について教えてくれた。

1日じゃ無理だからケント様の都合の良い時間に通うことになった。

ケント様の教え方は上手い。俺はすぐに体内の魔力を感じ始め、魔法として顕現させられるようになった。

使えるようになると熱中した。こんなにワクワクするのは俺の人生で2番目だ。

もちろん1番はマリアーノ様のお姿を見られた時だ。


「僕は土の魔法は使えないからあとは自力で頑張れよ。」

1週間もしないでケント様から卒業した。


俺は今お屋敷の裏にある小高い丘に来て練習をしている。

人がいないだだっ広い場所が練習にはいいのだ。


土魔法にどのようなものがあるのかケント様も詳しくはなかった。

そもそも魔法の知識とはいっても、どのような魔法が使えるのかといった書物はないらしい。

魔法を使いたい場合には

①その属性の魔法を使える人を見つけて師事

②王都にある学園に入って勉強する

③自分でなんとかする

この3つしかない。


あれ?俺いつになったらマリアーノ様の役に立てるんだ?

因みにケント様は魔力量の多さから王都で師匠を探してもらって来てもらったらしい。

ただ、魔術師団の偉い人で忙しいから中々来られないと言っていた。

直接教えてもらえなくても魔法についての知識やコントロールはかなりの腕前でケント様の努力の程がうかがえる。

次に師匠が来た時には、俺も会わせてもらえるよう約束してくれた。


ケント様に教えてもらった基本的な魔法を思い出す。

俺は水の魔法は使えない。頑張ったけれど1滴の水さえ出てこなかった。

属性がなくても基本的な初期魔法くらいなら出すことも出来るらしいが全くダメだった。

霧状の水分を蒸発させて風で吹き飛ばすのがリフレッシュという魔法だったらしく水が使えないとなると難しい。

空気中の水分を使うことが出来れば俺でも使えるようになるかもしれない。

リフレッシュは便利だからいつか俺でも使えるように研究しようと思う。


本当は土魔法を使えるようになりたいところだけど、ひとまず使えるようになった風魔法でそよ風を作り出す。

今日は暑いからな。

まずは座って瞑想を始める。

余計なことを考えずに自分の魔力に焦点を定める。

自分の中で魔力がどう動いているのか。考えるな、感じろ。

ひとりで訓練するようになってから瞑想を取り入れたけど、魔力を感じるのが確実に上手くなったと実感している。そしてコントロールすることも。

最初は自分の魔力だけにフォーカスしていたけれど、だんだんと人や自然が放っている魔力も感じられるようになった。

今では感じた魔力が誰のものかわかるようになっていた。


初めて会った人でも、その人が魔力を持っているかくらいすぐわかる。

さすがに属性まではわからないけれど、どのくらいの量を持っているかくらいなら一瞬だ。

ケント様に言ったら魔力が多ければ持っているかくらいならわかるけど、少なければわからないらしい。

なんで???やっぱり瞑想効果かもしれないな。


掌で小さな火を出してみる。その火に風を当てる。消えずに火は大きな炎となった。

2つの属性の魔法を使うとなると集中していないと難しい。相互作用で大きくする練習をしているところなのだ。

10分ほどやっていると集中力が途切れて来て火を消してしまった。

汗まみれになって座り込んで呼吸を整える。

騎士団見習いの訓練は体力をつけるためによく走り込みをするから同年代と比べても体力はあると思っているんだけど、魔法の訓練ではあまり役に立っているきがしない。

もっと、もっとという気持ちが強くなる一方だ。

午後の日差しが強く暑さで体力と集中力を持っていかれるようだ。


その時だった。

地面に突いている手が魔力を感じ取った。

あたりを見回しても普段感じる自然に溢れている魔力の他には特別思い当たらない。

でも今感じた魔力はいつも感じているものとは何かが違う気がする。

手の下は地面。草。土。土。土。

まさかなと思いながら風をドリルのようにして少しずつ穴を掘ってみた。

やっぱり地面から伝わってきている。

更に掘り続ける。だんだんと魔力が強くなってきた気がする。


思いのほか深い穴になってしまって出られなくなりどうしようと思っているところだった。

キンッ、という音がした。

宝石のように見えるがそれが何かわからない。

魔力が濃くてなんだか気持ち悪い気がしてハンカチに包んでポケットに入れた。

戻ったら魔法に詳しい誰かに聞いてみよう。誰がいいかな。

深くなりすぎた穴に少しずつ土を戻しながらなんとか這い出ることができた。

戻った時にはけっこう時間が立っていたようで空が茜色に染まっていた。

早く帰らないと!焦って騎士団に戻ったのだった。



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