4月14日は婚約破棄の日? いえいえ逆もアリでしょ! ツンデレ令嬢は今日が誕生日です!
「私の王子様、この手作りチョコを受け取って下さい」
「キャー」
今年も黄色い声が、、、
冷めた目で見ている私の名はシルビィ、銀髪の高等部3年生、伯爵令嬢です。
2月14日
今日は、女性から男性へ愛を告白できる日です。
学園は朝からソワソワしています。
階段教室の前の方、ハイスペック令息様の周りを、令嬢が囲んでいます。
遠巻きに見ている男性が、ため息をついています。
最上段で窓際の席、私は呆れながら眺めます。
「この国には、面白いイベントがあるんだな」
隣の席の、ブラッドです。
友好国からの留学生、伯爵家扱いで、イケメンなのですが、黒髪なので、この王国では好まれていません。
「この学園の伝統行事です」
「シルビィ、お前はチョコを配らないのか?」
「私は、来るものは拒まず、自分からは追わない主義です」
嘘です、カバンの底には手作りチョコが1個、入っています。
「ブラッドには、チョコが来ませんね、欲しいですか?」
「チョコは好きだが、義理チョコなんか、いらないね」
「あまり、こちらを見ないで下さいますか」
「俺は窓の外を見るのが好きなんだよ」
「お前こそ、こっちをチラチラ見るなよ」
「私は、教授の方を見ると、そちら側に顔が向いてしまうのです」
「そんなツンツンすると、男性からモテないぞ」
「女性のお友達がたくさんいますから大丈夫です」
男性からは距離を取られていますが、なぜか女性からは、お姉さまと呼ばれ、人気があります。
「貴方の国では、3月に卒業式なのでしょ。もう国に帰るのですか?」
「いや、この国の法に従い、7月に卒業する」
(良かった)
◇
4月14日
あれから2か月、今日は、女性から男性へ婚約破棄できる日です。
学園は朝からソワソワしています。
教室のあちこちで、令嬢が、恋の終わりを告げています。
遠巻きに見ている男性が、いや女性も、ニヤニヤしています。
2か月も付き合えば、理想と現実の違いが判り、夢から覚めるのは毎年のことです。
「この国には、面白いイベントがあるんだな」
「この学園の伝統行事です」
「シルビィ・・・」
「ブラッド、どうしました?」
「これ」
彼は、カバンの底からチョコを取り出し、私に手渡しました。
「誕生日、おめでとう」
「あ、ありがとうございます」
「こ、これ」
私も、カバンの底からチョコを取り出し、彼に手渡しました。
「た、誕生日、おめでとう」
「ありがとう、覚えてくれていたんだ」
「同じ誕生日だなんて、忘れられないでしょ」
「次の日曜日、私の屋敷で祝って差し上げますので、絶対に来なさいよ」
「わかった、真っ赤なバラの花束を持って行くから」
真っ赤なバラの花束! 求婚の定番アイテムです。
「こ、心より待っていますわ」
◇
彼は、友好国の王子でした。
卒業後、私たちは友好国へ住まいを移します。
「たまたま暇だったから、一緒に付いて行ってあげるだけだからね!」
ちょっと、ブラッド様、お顔が近いです。
「・・・嘘です、好きです」
━━ FIN ━━
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