13、『鏡原三花』さん?
調査団に映像を解析して貰っている間に私達は更に奥へと進んでいった。
調査団の一員も同行したいと言っていたが、まだまだ危険で安全の保障が無い為後から来てもらう事にした。
「鏡原隊長、先ほど映し出された映像の中で歌っていたのは隊長ですよね?」
「そんな事、有るはずが無いじゃないの。第一ああいう施設が地球上では既に無かったじゃないの。」
「はあ、そう言われますと地球上にはああいう施設は有りませんでしたね。
となると、鏡原隊長にそっくりな人は一体誰なんでしょうかね?」
「それは私にはわからないわ。少なくとも私自身では無いのは確かよ。」
「そう言えば、この秘密通路も鏡原隊長に感知して隠し通路が出来たのでしたね。」
「つまり?」
「次も鏡原隊長関連で物事が起きると予想致します。」
「そうかもしれないし、違うかもしれませんね。今は奥へと注意を怠らずに進みましょう。」
「了解。」
そうして私達は通路の奥へ進んだ。またもや行き止まりになっていて先に到着していた他の隊員は色々探っていた。
ここで何か進展が無いかと私が奥の通路に近づいたらまたもや今度は壁に扉が浮かび上がってきた。
どうやら私に反応しての事らしい。
「鏡原隊長が来たとたんにいままではただの行き止まりだったのに扉が浮かびました。」
「ええ、その様ね。総員、注意を怠らずに。」
「「「「「了解」」」」」
そして扉の前に私が立つと自然と開いた。
「おお、これは・・・。」
「扉の先に何かが見えますね。では私が中に入ります。各員ついてきてください。」
そうして私は扉をくぐった。
「ほら、なんて事はないでしょ?」
振り返り他の隊員にあとをこさせた。
が、他の隊員は中には入れなかった。
見えない壁が有るみたいにぶつかる感触が有るらしい。
そこで私はいったん部屋を出て後続の調査員と合流した。
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「ここから先はどうやら私しか入れないみたいです。何かカメラ有りませんか?」
私は調査団に聞くと小型カメラを身体に装着した。
そして単身部屋に入る。
その前に、小型カメラと調査団のモニターがちゃんと同期するか確認した。
別に問題無いとの事なので私は部屋に進んで探索をした。
無線機で部屋の外の調査団と一言、二言会話をしながら中を探索する。
「怪しい物は何もありません。」
「小型カメラ、感度良好。そちらの風景が良く見えますよ。」
部屋の奥へ10メートル程進むと何やら壁に飾ってあるのが見えた。
丁度部屋の入口からは死角になっていた場所だった。
そこには誰かの肖像画が飾られていた。
まるで記録映像に有る、アイドルのポスターの様であった。
その肖像画を額の下から順々に上の方へと視線を移すと、その被写体が誰なのか分かった。
そう、ありひし頃の『鏡原三花』だったのだ。
「小型カメラ越しの調査団及び隊員達は驚愕の表情をしているよ。」
「私自身もびっくりしています。まるで私がそのままポスターになっている様な気分です。」
「肖像画以外にも何か無いかね?サインとかグッズとかなんでも良い。」
「分かりました。探してみます。」
私は肖像画を中心として部屋をくまなく探すと、出るわ出るわ私の名前である『鏡原三花』の商品が。
そうして部屋の奥にまたもや驚愕する物が鎮座していた。
それは私の、もといオリジナルの『鏡原三花』の等身大人形だった。
それはまさに今の私のプロポーションにアイドルの衣装を着せた様な感じだった。
そう、この前に今の私の為に作成された衣装その物だった。
「鏡原隊長、これはどう言う事だね?地球から遠く離れた宇宙のただの星に君そっくりと言うか君本人と見受けられる物が有るなんて。」
「それは私自身が大変驚いています。」
「他にも何か無いかね?もしかしてサイン色紙とかあるかい?」
「わかりません。探してみます。」
私はおっかなびっくりしながらサインらしきものを探した。
やっぱりありました。手形とサインが書かれた色紙が。
「鏡原隊長、そのサイン色紙と君の手を小型カメラに向けてかざしてもらえないかい?」
「はい、わかりました。」
私はサイン色紙の手形と自分の手の平を小型カメラにかざして調査団の次の言葉を待った。
「ありがとう。一応本部にこの件も報告させてもらおうと思っている。」
「わかりました。」
「他に目新しい物は無いかね?」
「はい、良く観たら私もどきの人形が数体有るのが確認できます。今から一体、一体カメラに映します。」
そうして私は数体の人形を撮影した。
私の心は怖さが優って来て早くこの部屋から出たい衝動にかられた。
「鏡原隊長、大丈夫かね?一度こちらに戻るかね?」
「はい、感情の整理もしたいのでいったん引き返します。
そうして調査団、他の隊員の待っている部屋へと帰還した。
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