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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

農場のショウ

作者: 小波ここな

腹から声を出すと悩みが抜けるけど近所の民に気を配るんだ♪わりと戦いは近所から始まる。


 農場のショウ

  

  小波ここな

  

  読者さまへ 

   武器を使うとき必要な事は何ですか?



  農場に北部から飛来したダンドフが現れた。


  ダンドフの底部分に4基の支脚が現れダンドフは農場の適当な場所に、暴風と轟音を生み出しながら不時着した。

  作業をしていた民や轟音で驚いた男たちが何事かとダンドフを見守る中、金属板に覆われたダンドフから10名の兵士が現れた。

  兵士は武装していてただならぬ雰囲気だった。

  兵士は手にしている白い籠から花びらを掴み空中へ投げ始めた。

  花びらの道を作りながら民に近づいて来た。

  

  民が事情を訊ねても無言で花びらを撒く兵士。

  

  ダンドフから年老いた男と軍服の美少年が現れた。

  老人は貴族の紋章が刺繍された服を着て、美少年は老人が乗る車椅子を押していた。


  花びらの道を進む老人と美少年。

  民が狼狽えた。

  

  ダンドフから次々と兵士が現れて民が集まる場所に集結した。



  農場で穀物につく虫を専門に駆除する仕事をしているショウが兵士が集結した頃にゆっくり姿を表した。


  民は筋肉質の護り手ショウが来たので、兵士と話をしてくれと頼んだ。

  

  老人が胸ポケットからペンを取り出し、指先で器用に動かしながらショウに訊ねた。


  筋肉質の鋭い眼光の男。

  身の丈は2メータラ近く。

  青い服。

  農場のショウとはきみだな?


  しわがれた声で老人が言うと

  ショウは



  車椅子の貴族。

  しかし。 そこが重要ではない。

  車椅子を押す悪魔の手先。

  The future king Romeo...


  老人はショウに対して農場の主を連れて来る様に言った。

  しかし、ショウは断った。



  老人がペンをしまうと兵士が銃の安全ピンを解除し銃口をショウに向けた。


  ショウ。

  ソウルメイトの子孫ならばオレの頼みを了承してくれ。

  水を分かち合った子孫ならば水源を血でけがしたくない。


  ショウは胸の筋肉にちからを込めて、筋肉の盛り上がる動きの中、腹から声を出した。



  断る!


  老人の目が細くなり、車椅子が後退した。


  兵士が射程距離に陣営を組んだ。

  

  ショウは悲しい顔をして足元の穀物の穂を手にした。


  民はショウの命。

  農場が終わりを告げる事に気がついた。


  兵士が一斉に射撃した。

  

  ショウは


  スッ と動き、銃弾がショウの皮膚をかすり、皮膚を切り裂くが当たらない。


  老人がショウの動きを見つめる中


  ショウが兵士に肉迫した。


  近接距離のショウの殺気。

  

  兵士は恐怖のあまり銃を落とし道を開けた。


  狙撃


  風の唸り声

  風の妖精がショウに囁く。

  声はショウには聴こえないが

  風の妖精が示した通りショウが動くと狙撃銃弾は当たらず、流れて、兵士の命を砕いた。


  ショウが穂を手にして詩を詠む。


  風の詩

  あなたは何故 旅にゆく

  こたえは 鼻先が向いた先へ

  手にした鋼は あなたとの絆

  ひとつでは足りぬ

  風の吹く先に あなたがいる



  老人がショウが口を動かし歩むだけで兵士が同士討ちをするのを見た。

  美少年が身体を震わせているのを老人が気づいた。


  ロミオ。 ご覧。 あれが

  大魔王と渡り合った戦士

  青い服を着たショウだよ。

  銃弾など当たらない

  かすりながら服が少しずつ血でくすんでゆく


  老人が息を吐いて続けた


  目に見えない

  自分の中の大魔王と戦い続けるショウに

  武器など意味がない

  100程度の兵士で勝てようはずがない。

  並の英雄とは異なる。


  哲学のような話だが

  大魔王と戦い続けた者の子孫。


  ああいった者が戦いのプロだ。


  声優の玄田哲章さんのようなボイスとパワーでショウは老人に怒鳴った。


  グレイザーク卿!

  お前が欲しい物は過去の記憶か!

  命を奪いながらおのれの栄光を求める

  キサマはただのクズ野郎だ!


  老人、グレイザーク卿は震える我が義理の息子ロミオに向いて


  フッ と笑った。

  

  ロミオは義父に触れようとしたが幻の様に

  もともといなかったかの様に


  大魔王と戦い続けた英雄グレイザーク


  戦いの味を忘れる事が出来ないため

  英雄の子孫たちを訪れては殺害を続けた。


  今までは車椅子から立ち上がったことなどない。


  ショウの怒りは今までグレイザークが送り込んだ兵士に殺害された英雄の子孫の無念と重なった。


  しかし手にした穂が否定した。


  ショウは横に

  スッ と動いた


  グレイザークの蹴りを避けた


  更に風の吐息に従い

  少しずつ動くだけ


  グレイザークが老化と攻撃が当たらない焦りから腕を大きく後ろに引いたとき


  ショウが穂をグレイザークの胸にそっと触れて


  グレイザークはその場に崩れるように横たわった。


  空を見上げかつての仲間の姿を思い出そうとしたとき

  ショウが殺気に満ちた拳でグレイザークの胸ぐらを掴んで空中に引き上げた


  ロミオが走り出しショウに義父を助けてくれと願った。


  ショウはロミオに兵士の亡骸を見ろと呟いた。

  指揮官が無能。更に、私利私欲で軍が動けば兵士を犠牲にして己の快楽を得る。


  英雄の伝承はグレイザークの死で未来永劫なくなる。


  醜い殺人鬼として語り継がれる。

  子供たちへの戒めとして。



  ロミオがショウに拳を握ろうとしたため、グレイザークがショウの胸を蹴った。


  ショウはグレイザークをロミオに放り投げた。

  穂がその上を超えて行った。


  ロミオはグレイザークを連れて行こうとしたがちからが無く持ち上げることすら出来ない。



  ショウが低い声で語りかける


  悪魔に助けられ

  彷徨った王よ

  か弱いちからでは

  父さえ支えられない

  愛だけを求め

  父が与えた美貌は

  なんのちからもない


  ロミオは初めて悪魔語を耳にした!

  

  金属と金属が打ち合い

  鮮血が吹き出す様な音の響き。

  悪魔語。


  英雄の子孫が伝える忌まわしい声。


  ロミオは恐ろしくなり、義父を足で蹴り逃げ出した。


  ロミオが帰艦した。

  しかし兵士が敬愛するグレイザークを足蹴にした息子。


  ふるえたロミオが外に出ると


  ショウが立っていた。

  顔じゅう涙のショウを見たロミオは

  わけがわからなくなり腰に下げた剣を抜いた。


  今はなき実の父から贈られた魔法の剣。


  ショウが息を吐いただけで

  剣を手にしたままロミオは地に投げ出された。


  

  農場のショウの家からショウは静かに立ち去った。

  グレイザークとロミオを連れて。

玄田哲章さん。

シュワルツネッガーさんの吹き替えや、オネェ系のキャラクター。謎の生物。

多岐にわたる。

声を持つ人の伝承。

あなたの声は誰を護るために使いますか?


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