故郷崩壊編後編
ーさて、レイター、君はどうするのかな?ー
byセト・ジュダ
「それでは、話をしよう。あれは15年位前の話じゃが…
ー先代のシドウ・ジュダが殺されセトに代替わりした後にセトはすぐにやってきた。
「ここの土地は先代のシドウの時には手付かずだったようだがこれからは俺が支配する!まず手始めに作物の収穫出来た物の内8割は王国側に差し出す事!」
この時わしは30になったばっかり、わしのお父さんが村長をやっていて50くらいだったかのう…?とにかく、セトが無理難題を吹っかけてきた。
「無理です、そんな事出来ません!」
「俺に逆らうと言うのか!王様だぞ!」
「いくら王命でも聞けませぬ!村の者達のご飯はどうするんです!?」
「野垂れ死にでもさせとけば良い」
瞬間お父さんがセトの胸ぐらを掴んでいた。わしは…30にもなってるというのにお父さんの横で震えとるだけじゃった。
「んっ!?苦しい…」
「セト様っ!?大丈夫でございますか?」
セトの従者かと思わしき人物がわしのお父さんを突き放しよった。
「ごほっ、ごほっ。ありがとうオルトス…。それにしても村長殿まさか暴力に訴えて来るなど…!確かに俺は王様になったばかり!それでも王様なんだぞ!」
「そのような事を言われたら誰だって殺してやりたくなりますよ」
「なにっ!?本当に殺せるんだぞ!ここにいるオルトスはな…人殺しに慣れている。だからお前らなんて簡単に殺せるんだぞ!」
ここで、この時たまたまピョンヤン王国から来ていた旅人がやって来た。
「村長さん!また色々な所案内してくださ…って誰なんですかあなたたちは?」
「俺はセト・ジュダ。王様さ!と言っても最近就任したばかりなんだけどな」
「それで王様がこんな辺境の村まで何のご用ですか?」
「ああ!先代の時はこの土地は手付かずだったのだが…俺に替わったからにはこの村の作物の収穫量の8割は差し出して貰おうと思ってさ!」
「それって重税ですよね。ワタシ、ピョンヤン王国に帰ったら言おうと思います!代替わりした今のジュダ王国の王様は悪いやつだって!」
「…っ、本当に言うのか?」
「言いますよ?ただ、王様が平民の言葉を信じてくれるかは別問題なのでそこは何とも言えないですけど」
ここで、旅人の方を向いていたセトはお父さんに向き直した。
「お前も本当に考えを変える気は無いのか?」
「ああ、誰が村のみんなを苦しませたいって言うのかよ!」
「なるほど…オルトスやってしまえ。標的は村長と旅人だ」
「はっ、承知いたしました!」
すると、オルトスと呼ばれた男は腰に差してあった短剣みたいなものを引き抜くと目にも止まらぬ速さで2人の首を吹き飛ばした。敬愛していたお父さんとわしとも仲が良かった旅人を目の前で殺されわしは正気ではいられなかった。
「あ、あ、…なんて事するんだ!なんで殺したんだよ!?なんで、なんで…」
「お前も俺に逆らえばあんな事になるぞ?」
わしはここで死にたくないと思ってしまった。わしは臆病じゃった…。
「はい、分かりました…。条件を飲みます…。」
「それで臆病なわしのせいで今こんな事になってるんじゃ。王様の気分次第で締め付けが厳しくなったり逆にちょっと緩められたりもする。本当に、わしのせいで…!」
「村長のせいじゃないよ!そんな事があったら俺だって村長と同じ選択をしたと思う」
「うう…ありがとう、レイター」
「話はこれで終わり?」
「ああ」
「じゃ、かなり話変えちゃうけどさ30万円村のみんなに使ってほしいと思って持ってきたんだ!」
「ほう…さっきも言っておったのう…。その、いきなり30万円も持ってこれるという事はレイター、お前結構良い仕事してるのか?」
良い仕事…多分村長が想像するような仕事では無いだろう。だけど、ここで嘘をついてこれからも村に援助出来るようになったら…そうなったらいいな。
「うん!実は事業を始めて成功しちゃって!今結構良い会社の社長をやってるんだー!」
「おお、そうなのか!?それはすごいなレイター!」
これで良かったんだよね…?
「村のみんなにも知らせないとな!レイターが社長をやってるって!ああ、それとレイターはいつまでこっちにいるつもりなんじゃ?」
「明日の朝9時に馬車の予約を取ってるから…その時間帯まで」
「そうか、そうか!じゃ今日の夜はお祝いだな!」
その日の夜は村のみんなでお祝いをした。だけどやっぱり最近締め付けが多いらしくお世辞にもあまり良いとは言えない食べ物だったし本当に社長になったわけでは無いのでもやもやした。
次の日7時くらいからは亡くなった子供達の墓を作ってあげた。中には赤ちゃんの頃から知り合いだった子や話した事がある子もいて相当胸が痛んだ…
9時になり帰る時間になった。
「またなー、レイター!」
「にいちゃん、またねー!」
「またいっしょにあそぼうぜ!」
「またお帰りなさいませ。あなたの故郷はここなんですから…」
上から村長、女の子、悪ガキの男の子、俺を育ててくれたおばちゃんだ。他にも見送りに来てくれている人が大勢いる。
「みんな、ありがとうー!またねー!」
俺も村のみんなの姿が見えなくなるまで馬車の窓を開け手を振っていた…
夕方頃兄貴の事務所に帰って来た。兄貴は他のみんなにはレイターは出かけるとしか言って無かったらしく他のみんなの反応は帰って来たんだみたいな普通の反応だったが事実を知っている兄貴はめっちゃ喜んでくれた。
「レイター!帰ってこれたんだな!」
「はい!おかげさまで!」
「やっぱり俺が渡したお守りは効いただろ?」
「どうなんですかねー?交通安全ですし?」
「人の揚げ足ばっかり取るなぁ!」
口調こそ怒っているように思えるが実際はかなりやわらかい感じだ。本当に俺が帰って来てくれて嬉しいのだろう。
「兄貴、ただいま!」
「おかえり、レイター!」
一方その頃、王都では…
「いやー、僕にも若かりし頃があったよね。昔はイキってたというか」
「今もだと思いますが」
「もぅー、つれないなぁ!オルトスは!」
「そもそもレイター・ハーンにラウル村の情報を流したのも貴方でしょう?わざわざスラム街にうわさを流す間者を送りそれをスラム街で広ます…我が王ながら相当性格が悪いですね」
「レイターは僕のお気に入りなの!かわいいし…育てて上げたくなる感じ?」
「しかも本当に見せかけるためにラウル村への締め付けは厳しくするし」
「だってぇ〜、本当じゃないとレイターは違ったんだ!ってなっちゃうでしょ?村の危機ってなった時にどう行動するのか見たかっただけだよ」
「…それにしてもこのレイターという男も馬鹿ですね。嘘は嘘を重ねていくだけになるっていうのに」
「それも決意したって事じゃない?」
「っていうか話は変わりますけど最近この男ばかりかわいいと言ってますが恋人のオウラ様はどうしたのです?」
「ん?オウラ?めっちゃ仲良しだよー!この前稽古もつけてもらったし良く一緒にベッドインもしてるしさ!」
「ああ、男同士のベッドインの話は良いです」
「オルトスってさ〜あんまり同性愛は好きじゃない?」
「その…お伝えしにくいのですが私の感覚では理解出来にくいというか」
「そっかー。所で話は変わるんだけどさ超小型のハエ型監視カメラは使えるでしょ?」
「はい、そうですね。10m先まで映像と音声を拾えしかもハエだと思われるから気づかれない…すごい発明だと思います!セト様!」
「でしょー?だけど普通のハエだと思われて叩かれやすくもあるんだよね、叩かれたら壊れちゃうし。もっと飛行速度を上昇させないと」
「私セト様の発明力だけは尊敬しております!」
「あっ、今のそれ嫌味に聞こえるなー、まあ良いけどね」
「ふふっ、助けて頂いたご恩も忘れてはいませんよ?」
「あれを忘れられたら僕とオルトスの縁がなくなるレベルでやばいんじゃない?これでもオルトスの事は結構信頼してるからさー、忘れないでよね?」
「ふふっ、そうですね」
「じゃ今日はお前への仕事もないし久しぶりに紅茶を作ってもらっても良いかな?」
「はい、良いですよ」
そういうとオルトスは紅茶の準備に部屋を出て行った。セトもいつものティータイム場所に向かおうと…
「やっぱりかわいいなぁレイターは!母性本能がくすぐられるタイプだよね!」
画面に映っているレイターの頭をトントン指で軽くつつき出て行った。
小話
私「えー、読者の方からお手紙が届いております。何だって…
ー7話目まで頑張って読んでいたけどー
8話目で死体が転がっているなどの不愉快な表現、9話目でセトとかいうキモすぎるやつの登場…もうこれからの話は見ない事に決めました!今までありがとうございました。
まさかの9話目切りされたっ!?」
レイター「こんな小説なのか何なのか分からないものを良く7話目までは普通に読めたな…」
私「うわーん、ただでさえ少ない読者がいなくなっていく!」
セト「レイター、遊ぼう!」
2人「お前のせいだ!」
セト「ちょっ、2人してなに…うわぁー!」
かくして悪の元凶もいなくなりジュダ王国に平和が戻って来たとさ、おしまい!
レイター「っておしまい出来たらどんなに良かったんだよなぁ」
後書き
上のお便りとかは全部嘘ですw誰からも感想がもらえた事が無いのでこんな感じかなと自作しております。物語もまだ折り返し地点にも来ていません。
9話目までお読みいただきありがとうございました。
本当は明日には更新する予定だったのですけど諸事情により明後日になります!毎回3日ごとに更新する予定です!予約投稿で16時に更新します!ぜひ見て下さい!
死体ゴロゴロを死体が転がっている、赤い血だまりなどのトラウマ的表現は避けどうしても必要だった死体が転がっているは残しています。これからもトラウマ表現は出てくると思いますがなるべくやわらかな方向で行こうと思います。
レイターの一人称俺からオレに全編直しました。直されてない所は流石のレイターでも目上の人には俺を使うという設定があるのでわざとです。
(レイターが目上の人だと思ってるザックの兄貴や村長との会話が多かったおかげでオレを使ってるのは少なくなりました笑)
9話目までご覧頂きありがとうございました。