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俺は愛を知りたい  作者: アスカ
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洞窟探検編後編2

ー俺があの戦争から早く帰っていたら…

  そうしたら、俺の大切な人達を守れたのだろうか?ー

byジオ・ゲオルグ



〜ドラゴンの100年前の話、回想〜

昔マーチ王国と言う王国があったのは知ってるか?何!?知らない?ああ、あんたの記憶は洞窟の入口で読み取ってるからな、あんたがスラム街と呼んでいる所のずっと北の方だ。100年前にマーチ王国側がジュダ王国を侵略しようとして戦争をふっかけたんだけどさ…バカだよなぁ、どう考えても負けるって分かってるのに。俺は戦争に参加したくも無かったのに無理矢理参加させられてジュダ王国側の人を殺すのが嫌だったんだけどさ、そこで親友とも呼べる存在に出会ったんだ…

昔の俺「あんた、何で俺の事を撃たなかったんだよ!?敵だろ!」

親友「うーん、なんか君の事は撃ちたく無いと思ったんだよね。」

昔の俺「バカだなぁ、あんた。俺を見逃した事で逆に俺に殺されるかもしれんぞ?」

親友「別に殺されても良いよ。ただ、君は今別に僕の事殺そうとしてないでしょ?」

昔の俺「ああ、あんたが変な事言うから興が削がれちまったからな」

親友「だったらさ、僕と友達になろうよ!」

昔の俺「は、はぁ!?と、友達!?敵同士の俺達が友達って…ヤバすぎだろあんた。」

親友「大丈夫だよ!結構乱戦になってる、そう簡単にバレないよ!ねえ、友達になろう?」

昔の俺「あ、あぁ…分かったよ…」

親友「まずは、お互いの名前だね。僕はケイ・セシル。君は?」

昔の俺「俺はジオ・ゲオルグだ…」

つい勢いに押されて友達になってしまった。彼も戦争に参加したく無かったらしく、ジュダ王国の隣にあるイェール町という所から来たがイェール町に残した家族が心配らしい。俺もマーチ王国に残してきた家族が心配だったし、それ以前に彼とはウマがあった気がした。

そんなこんなで戦争はマーチ王国側の負けに終わり、終結した。

ケイ「あー、やっと帰れる〜!」

彼は気持ち良さそうに伸びをしていた。

ジオ「ああ、やっとだな…」

ケイ「そう言えば、大丈夫?ジュダ王国側は殆ど被害は無かったらしいけど、マーチ王国側は場所によっては火あぶりにされた地域もあるらしいから…」

ジオ「多分、大丈夫だろう!まさか、俺の家族に限ってそんな、な。」

ケイは俺を見て心配そうな顔をしていた。実は、俺はこの時からうっすらと嫌な予感がしていた。ケイとは1ヶ月後に会う約束をした。マーチ王国の方に来てくれるらしい。

ジオ「じゃあなー」

ケイ「うん、またねー」

と俺達はそれぞれの故郷に帰るために別れた。


まさか、俺の故郷が焼け野原にされるなんて…

なんで、なんでだ!俺がいけなかったのか?俺が戦争になんて行ったから?もっと早く帰って来てれば家族だけでも逃してあげられた?母ちゃん、父ちゃん、俺の大好きだった妹、みーんないなくなっちまった…。

ふと、恨みを持って亡くなった人は悪霊になると言う話を思いだした。俺はそこら辺に落ちていた剣を拾い、そして、自分に突き刺し、自殺した。

そして、狙い通り悪霊となった俺は、ケイの様子を見に行く事にした。ドラゴンになった上に3日位で幻覚の能力が使えると分かったので、鳥に見せかけてケイの様子を見に行った。

…思えば、これが良くなかったんだ。あの時、ケイの様子を見に行かなければ…ケイは普通に生きてたはずなのに。

イェール町に着いて、ケイがお母さんと楽しそうに話してるのを見て、思ってしまった。殺してやると…。

それからは、マーチ王国に戻り空からマーチ王国の端の方に湖を見つけたので、それに映った俺を見てナイフの練習と幻覚の練習をした。結構穴がある能力らしく、ケイに人間らしく動いている様子を見せないと…。

ケイがこちらに来はじめた1週間前から見張り、ついに4日後にケイが1人になるチャンスを見つけた。俺は生前の俺の姿の幻覚を見せながらケイに近づいた。

ジオ「おっ、ケイ、久しぶり〜」

ケイ「ジオっ!?なんでこんな所に…」

ジオ「待ちきれなくて迎えに来ちゃった〜」

ケイ「もうっ、下手すりゃ入れ違いになるかもしれないんだったんだからね!」

ジオ「まあまあ、こうして無事に会えたんだし、良いじゃん〜。それで、ケイの所の家族は元気だった?」

ケイ「うん、元気だったよ!ジオの所の家族も元気だった…?」

ちょっとケイは気を使ってるつもりらしいけど、イライラするんだよ。

ジオ「うん、元気だったよ〜。ねえ、いつか遊びに行かない?」

ケイ「そっか、ジオの所の家族も元気だったんだね、良かった〜!遊びに行くのは勿論良い…」

ブスリ、隠していたナイフで刺した。そして、幻覚を解き、俺の正体を表した。

ドラゴン『残念だったなあ。俺の家族は死んでいたよ。俺の故郷は焼け野原にされてよう、これが恨まずに居られるかってんだ!それを知らずにあんたはお母さんと幸せそうにしててよ…頭にきたんで殺す事にしたわ。』

ケイ「そっか、見に来ていたんだね…気づいてあげられなくてごめんね。バイバイ、ジオ…」

そうして、ケイは亡くなった。俺はなぜか涙が止まらなくなった。…一時の感情でケイを殺さなければ良かったと、家族が亡くなってた時よりも一番後悔した。

〜回想終わり〜


グロテスク『ってな事があってよ、あんたも一時の感情に振り回されて人を殺さないように気をつけ…』

レイター「うっ、うっ…そんな悲しい事があったなんて…。親友が良い人過ぎて涙が…。」

ウル「貴方にもそんな辛い過去があったのですね…悪霊はいきなり暴力を奮ってくる輩ばかりだと思っていました。」

レイター「そう言えば、話の中でジオと呼ばれてたよね、オレもジオと呼んでいい?オレの事はレイターと呼んで良いからさ。」

グロテスク『ああ、ジオと呼んで良いぞ。……エクソシストのあんた、理性の無い悪霊ばかりと戦って来た上に1人あんたが浄化するのを躊躇したせいで死んでいるな。それで、悪霊を元人間だと認識しないように頑張っていたわけか…』

ウル「あっ、貴方!勝手に人の記憶を盗み見たでしょう!まあ、その通りなんですけどね。…元人間だと思って対峙するとどうしても腕が鈍ってしまいますから…」

ジオ『ウルちゃんも辛い過去があったんだな〜。なんか親近感湧いたわ。ウルちゃんって呼んで良い?俺の事はレイターと同じジオって呼んで良いよ!』

ウル「誰が呼ぶか!そんなグロテスクな奴に…」

ジオ『あっ、変身する?』

グロテスクな姿からドラゴンに変身した。

ジオ『いやーでも、最初俺と会った時のウルちゃん、「浄化する!」って啖呵きってきて結局出来なかったのは笑えたわー』

ウル「いっ、いや、あれはその…自分自身の力を過信していたって言うか…」

レイター「えっ、そんな事があったの?超受けるんですけど〜」

ウル「2人して笑うんじゃない!…それで、結構話も聞いたし、そろそろメダルを渡してくれないかな。」

ジオ『ああ、うん。良いよー』

と言い、レイターの方に投げ渡してきた。

…あっぶないなぁ、もう。

レイター「ちょっと、落としたら危なかったんですけどぉ!」

ジオ『悪りぃ、悪りぃ。まあ、落としてないから問題ないだろう?それで、ウル、1つ頼みたい事があるのだが…こいつらを浄化してくれないか?』

また、グロテスクな姿に戻ったかと思うと今度はいっぱいあった顔が分裂し始め、20人位いるだろうか、タコや小鳥や鹿などのそれぞれの悪霊の形になり、ドラゴンに戻った。

ジオ『こいつらは、俺の話相手だったんだがよお、ちょうどエクソシストが来ている事だし、俺は無理でもこいつらだったらあんたでも浄化出来るんじゃね?』

ウル「いちいち、失礼な奴だな…。まあ、やってやるよ。…本当に良いのか?」

ジオ『ああ、頼む。』

ウル「分かった。」

そう言うと、ウルは不思議な呪文を唱え始め、彼らは綺麗に粒となって消えた。

ウル「終わりましたよ。」

ジオ『ああ、ありがとう。…あいつらも俺の話相手よりあっちの世界で幸せに暮らしたいだろう。それに、俺にはまだ、ドロシーがいるしな。』

やっぱり、ドロシーさんとは仲良しなのか。

ウル「そうですね…、今は4時位ですか。もう少しゆっくりも出来ますけど、どうします?」

ジオ『ああ、もう十分話は聞いて貰ったからな、帰っていいぞ。』

レイター「ええ〜、もう少しジオさんとお話ししたかったぁー」

ジオ『レイター、お前こっち側の世界に来ないように気を付けろよ。あんたからは危険な匂いがするぜ…いつか人を殺す匂いがな。人を殺すにしても親友とか恋人とかそういう自分が1番大事だと思う人は殺すなよ。…俺みたいに後悔するからよ。』

レイター「分かったよ、じゃあねー」

ウル「さようなら」

ジオ『ああ』

俺たちは洞窟から出た。


なぜか洞窟から出た俺たちは無言で馬車を待っており、ちょうど5時に馬車は来た。このまま何も話さずウルとお別れするのかと思いきや、

ウル「本当にあのドラゴンの言った通りですね。悪霊だってそれぞれ個性がある。それを、いくら1人死なせているからといって、悪霊は化物だと言い聞かせていた。…エクソシスト失格ですね。」

レイター「そ、そんな事ないよ!ウルは辛い中でも頑張ってるよ!やっぱり、悪霊になる位だし悪い奴も多いんだしさ!」

ウル「えぇ、そうですね…」

…なにかまずい受け答えだっただろうか。ハッ、まさかエクソシスト辞めるなんて言うんじゃ、

レイター「エクソシストは辞めないよね?」

ウル「えぇ、今日の事があり少し気持ちが落ちこみましたが辞めるつもりはありません。多くの人を救いたいので」

真っ直ぐに前を見つめていた。その真っ直ぐさが、なぜか、俺には眩しいと思ってしまった。

その後も無言で、俺が馬車から降りる時に「…バイバイ」「…さようなら」と別れの挨拶をしただけだった。


それから、兄貴の事務所に戻ってきて今日有った出来事を話した。

兄貴「そっか…。俺は全く見えないタイプだからそのドラゴンも見えないかもしれんが、そんな事があったんだな…。なんか、そりゃ、世の中を恨んでも仕方が無いって感じがするよなー。行きたくもない戦争に行かされて、帰ってきたら家族全員が死んでるなんてよぉ…」

兄貴の言葉で励まされた感じがした。



小話

作者「病んでるドラゴン怖ーい、大正義ケイ・セシル君!」

レイター「ケイの事が好きすぎるだろう!…まあ、精神が安定している人の方が良いって言うのは少し同感するが。」

作者「でしょー?夢に出てきた時はケイ君はモブみたいな扱いで名前が無かったからさ、付けてあげたのもあって愛着も湧いてるのかもね。後、夢の中では映像で流れてるからあの「ごめんね…」の言い方が、もう!悲しすぎて!モブなのにキャラ萌えしたわー」

レイター「なんか早口で喋ってそうだな…。まあ、作者が良いって言ってるからネタバレするけどこの作品、これから病んでる人や変わった人がいっぱい出てくる設定だからな。まあ、普通の感覚を持った人もいるけど。」

作者「今回の回でなんとなーく書きたいのが分かっちゃった人もいると思うから陰鬱なのが苦手な人は回避してね!」

レイター「暗すぎて読む人がいなくなっちまったらどうすんだよ?」

作者「大丈夫、作者自身が1番の読者さ!」


後書き

はい、実は作者自身も書いてる内に気が滅入って来ており(内容が暗いので)それで、小話で明るくしてる感じです。暗くなればなるほど小話の内容が増えるかも?えっ、だったら書くなよと思う人もいるかもしれませんが、逆に書く事によって作者自身が癒されてる感じがするんですよねー。

6話目まで読んで頂きありがとうございました。


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