裏の仕事編〜洞窟探検編前編
この話から仄めかす程度ですがホモ描写があります。苦手な方は注意して下さい。
ーみんなといる時間が大切だー
byザック
あれから三ヶ月後、前言ったバイトをしたり、適当に日雇いバイトをしたり、たまに遊んだりと何気ない日常を過ごしていると、ザックの兄貴から声をかけられた。
「よう、今ちょっと良いか?」
今は昼間で部屋が足りないので4人で一部屋使っているのだが後の3人は出かけているのでちょうど1人でボッーとしていた所だ。
「はい、良いっすよ」
「少し他のみんながいる所だとしにくい話かもしれんからな。俺の部屋まで来てくれ」
兄貴についていって部屋まで来るとさっそく本題を話始めた。
「さて、いきなりなんだが俺が表の仕事だけじゃなくて裏稼業をやってる事も知ってるだろう?レイターも興味無いか?」
「表の仕事より危険度は高いけど裏の仕事の方が稼げるんスよね…俺は俺だけのためじゃなく、故郷の村にも貢献したいんで興味はあります」
「そうか。いきなり裏の仕事をやれとは言わん。裏の仕事は殺し合いとかになる事もあるしそれならまずは武器が必要かな。一応部下全員に護身用のナイフは持たせてあるがそれだけじゃ足りん。武器は知り合いの武器職人に作らせるつもりだが、何が良い?」
「武器ってどんな武器でも作れるんすか?」
「ああ、大体の物は作れる。俺は槍を使ってるんだがなぁ、槍はおすすめだぞ!槍の良い所はぶん回した時の爽快感とか…」
あ、話長くなりそうだなと思ったので遮る事にしよう。
「槍以外のおすすめ武器はないんすか?」
「ああ?槍以外だったら…ムチとか?俺の知り合いの遊び人やろうが使ってるんだよなぁ。あいつ俺と会う度に誘いをかけてきやがって…俺はノーマルだからその手の誘いには乗らないっていつも言ってるのによぉ」
またしても話脱線しかけてるんですけどぉ…。もし俺が武器を持つならと考えていた物があったのでそれを伝える事にする。
「楽しいお友達なんですね。それはそれとして、武器は短剣2本をお願い出来ますか?」
「ケッ、あいつとは友達なんかじゃねーよ!むしろ、嫌いだ!…ああ、武器は短剣2本が良いんだな。槍も捨てがたいと思うんだが…」
「いえ、短剣2本でお願いします」
「お前も以外と頑固だよなぁ…」
ご自慢の槍を選んでくれなくてご不満のようだ。
「短剣2本が出来たら渡すからな。多分2週間では出来ると思うぜ。これで話は終わり…ととっ、そうだ。忘れる所だった」
そう言い兄貴は部屋の隅にあった袋からなにやら小さい箱のような物を取り出してきた。
「この箱の中に入っているものは何だと思う?」
「さあ…お土産のお菓子とかっすか?」
「チッチッチ…ジャーン!携帯だ!」
前から携帯を部下全員分に買ってあげると言うような話をしていた兄貴だがこんなに早く用意出来るなんて…携帯一台分の値段が高い上に元から兄貴の部下は100人程いたらしいが俺たちが入って来て120人程今はいる。その120人分を用意出来たという事だろうか?
「まさか、全員分用意できたんすか?」
「ああ、そうだ。ちょっと借金する事にはなっちまったがな。必要投資だ、これくらい痛くねぇ。」
まーたまた、強がっちゃって。まあ、兄貴は稼ぎ頭なので借金分位どうにか稼げるだろう。
「ありがとうございます」
と言い、俺は受け取ろうとした時、あの事を思い出してしまった。
「そういえば、ケータイって毎月の通信料の支払いがあるって聞いたんすけど、まさか通信料は自分で払えよって事じゃ…」
ケータイの通信料…もちろんケータイの本体代よりは安いが工場のバイトを始めたとはいえあまり稼げてない俺からしたらバカにならない。
「心配いらないぞ!携帯の通信料も俺が出してやるからさ」
「ほっ、良かった〜。これで遠慮なくケータイが貰えます」
「もう何人かには渡してあるから連絡先を交換すると良いんじゃないかと思う。手始めに俺の連絡先を登録してみな」
兄貴からケータイの基本操作について学んだ。とは言っても電話機能しか無いので電化製品に疎い俺でもすぐに覚える事が出来た。
それから三ヶ月後の事…あれから武器は2週間どころか10日位で届き空いた時間に空き地で武器の使い方の練習をしたり1回は兄貴自らが稽古をつけてくれたりしたりなどの出来事があった後、俺は兄貴の部屋に呼び出された。
「今日はどうしたんですかい?兄貴」
「ああ、武器の使い方にも大分慣れてきたようだし、初の裏の仕事をお前に頼みたいんだ!」
「おお、待ってましたぜ、兄貴!」
「んじゃ、早速本題に入らせて貰う。今回の依頼は洞窟の奥にある貴族の金で出来たメダルを取ってきて欲しいらしい。」
「うん?わざわざ俺たちに頼む位って事は相当洞窟が入り組んでて…あるいは長すぎて無理があるって事?それとも何か訳あり?」
「ああ、それも含めて今から説明する。お前の言った通り訳ありだ。最初はギルドで掲載していたらしい」
ちなみにギルドと言うのは所謂職業案内所みたいな所だ。色々な仕事の依頼を掲示板に紙で貼っており、こういう変わった依頼から害虫駆除のバイトだったり普通の会社のバイトなども貼ってある所らしい。らしいというのは…実は俺自身も直接はギルドに行った事は無い。そもそもギルド自体が貴族の町と呼ばれてるジュダ王国のど真ん中位にあり、ギルドにいる人自体も貴族の世間知らずな坊ちゃま、お嬢さんが多いらしい。何でも少しでも仕事に慣れさせようとしてるとか。ただまぁ、流石にスラム街から来ている人はいないみたいなものの、貴族の町以外では比較的治安の良いイェール町からは少数だが冒険家として来ている事もあるみたいだ。だからたまにだが先ほど言ったような洞窟の奥に行ってメダル探しみたいな変な依頼もあるらしい。
「それで、その洞窟の奥には悪霊が住んでてな。ちょうど悪霊がメダルの前位にいて、そいつを説得しないとメダルが取れないらしい。それでギルドに掲載していた時には冒険家が3人は挑戦したらしいが…2人はダメで1人は悪霊に殺されたらしい。死人が出た事に焦った貴族は最初は達成報酬50万円位だったのを100万円にして掲示板の掲載も取り止め、俺たちみたいなヤクザもんに頼む事にしたらしい。そんで、別のやつが1人挑戦したみたいなんだが耐性が無かったのか、いや、むしろ有りすぎたのか洞窟の入り口から先に進め無かったという。それでも諦めたく無かった貴族は間者を使って俺に相談してきたわけ。今なら達成報酬100万円に加え、依頼報酬…あっ、依頼報酬というのは依頼を受けてくれただけで貰えるお金の事な。これ、前も説明したっけ?まあ良いか。は、10万円な。それに交通費、食事代。さらにエクソシストも同行してくれるらしい。もちろん、エクソシスト代もあちらが払ってくれるらしいから、俺たちからしたら実質無料だ。どうだ、この依頼受けるか?」
まず、この世界にはそんなには居ないが悪霊の集合体が存在する。魂の強いものが(ちなみに、この魂の強い者というのは未だにちゃんとは解明されて無いが、頭が良く、スポーツ万能…つまり、文武両道で現世でエリートコースに行きやすい人ほどなりやすいという傾向はあるらしい)生前に強い恨みを持って死亡するとその魂の形に応じた動物に変わるらしい。今まで発見されたのだとドラゴンとか怪鳥などがいるらしい。ちなみにこいつらは近くにいた他の悪霊化してて弱い魂を食べる事があるらしく、その分パワーアップするらしいので警戒されているらしい。…ちなみに俺自身は悪霊の集合体に会った事が無いので噂でしか分からない。後、この世界では霊感がない人8割、霊感が少しだけある人1割、霊感がめっちゃあってビンビン見えてる人1割位でいる。ちなみに俺は今でもたまに少しだけちらっと見える事があるので霊感が少しだけある人に該当するらしい。また、見えやすさもその悪霊の魂の強さによって変わるらしく強ければ強いほど見えやすくなり、弱ければ弱いほど見えにくくなるらしい。最後にエクソシストだが、魔物を浄化したり、魔物の攻撃から守るのが仕事の人達の事だ。
少し裏の仕事の報酬にしては安いように感じなくも無いが、最初だしこんなもんだろう。
「分かりました、やります」
「おお、一応あちらが指定して来ているのは3日後の朝10時にこちらにエクソシストを先に乗せ、馬車で迎え来てくれるらしい。その洞窟まではこちらからは馬車で2時間。洞窟の中は30分位では奥に辿りつく位の距離だ。3人目の人が亡くなったという事で少し恐怖を感じてるかもしれないが、その3人目は悪霊を煽ったりして怒らせてしまい、殺されたそうだ。だから、悪霊をよっぽど怒らせない限りは殺されないだろうとの事だ。後、武器はちゃんと持っていけよな。まさか、悪霊と戦うとかは無いと思うが…念のためにな。お前の事を馬鹿にしてるわけじゃないけど、多分、その悪霊の方が強いはずだから、なるべく怒らせないで戦闘回避してくれ。後は…気休めかもしれんが携帯を持っていってはどうだ?まあ、洞窟の中だし繋がらない可能性が高い上にここからは遠くて俺もすぐには助けには行けないと思うがなぁ。…死ぬなよ、レイター。」
「絶対、死にませんよ!武器も一応ケータイも持っていこうと思います。」
俺は3日後に洞窟に行く事にした。死人も出てて不謹慎かもしれないけど、洞窟探検みたいでちょっと楽しみだなぁーと思った。
後書き
前の工場編を長くしすぎたせいで洞窟探検編が前編までしか入りませんでした…
今回はファンタジーの設定が出てきたので流石に説明しないと分からないと思い本編で説明しました。逆に説明が無い時はほとんど現代の設定と同じだから無いんだなぁーという事にして置いてください。←オイw
3話目まで読んで頂きありがとうございました。