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俺は愛を知りたい  作者: アスカ
2/11

彼女にフラれる〜工場の仕事編

ー人は自分の見たいよう見るー

byマイケル


あれから3ヶ月、子供と仲間と一緒にトランプをしたり絵を描いたりしたり(意外と子供の絵が上手くてお兄ちゃんの絵下手だねとバカにされた)、彼女とも一緒にこのスラム街みたいな所でも比較的治安の良い所を一緒に散歩したりしたのに…フラれるなんて。

「ごめんだけど、前言ってた婚活で出会った人との結婚が決まったから子供も連れてここを出て行くね」

「おい、待てよ!オレたち付き合ってたんじゃないのかよ!?」

「そうね…最初は利用してしまおうと思ってたけど子供の面倒みも良いし私とも散歩したりしたし言われてみれば付き合ってたのかもね、私たち」

言われてみればって…そんな程度だったんだな。

「だったら、最初から恋人とか言うなよな!勘違いするだろ…!」

「うん…ごめん」

そう言ってそろそろ行かないと彼との約束の時間に間に合わないと最後にリーダーにいままでお世話になりましたと挨拶して子供を連れて出て行った。

「なんだ、お前。まさか彼女が本気で恋人って言ってるって捉えてたのか?」

「オレだって最初は本気じゃなかったけど子供の世話をしたり一緒に散歩をしたりして本気になっていったのかもしれねぇ…」

「これはきつい事を言うかもしれんが…お前らお互いの名前も知らないだろ?それで本当に恋人だったって言えるのか?」

俺はリーダーの言葉で初めて気がついた。お互いの名を知らなかった事に。


その後オレはフラれた日は丸1日休む事にした。リーダー曰く本当なら働かざるもの食うべからずだがあんな事があったんだ、今日は勘弁してやるとの事だ。気遣いがありがたい。


その日は夜まで色々考えて始まってすらいなかった事に気がついた。もっと彼女を大事に出来ていたら…オレが稼げる良い男だったら変わっただろうか、答えを聞こうにも彼女はもういない。


次の日リーダーに今日は大丈夫かと尋ねられて大丈夫です、吹っ切れたんでと答えた。 

「っと、そうそう。話は変わるが前からザックの兄貴の所に今いるみんなを連れて行かないかと話が出てただろ。もう受け入れる準備が出来たらしい。出来れば明日には引越したいが良いか?」

ザックの兄貴…一ヶ月前にふらっとこの町にやってきてこの町でも特にけんかっぱやくて手をつけられなかった奴らをまとめたすごい奴だ。リーダーにも2週間前から話を通しており俺らもそこから聞いているので引越しの準備はしてある。

「あっ、オレは大丈夫っすよ。2週間前に言われた時から少しずつ準備してたんで」

「さすがだな!じゃ、他の奴らにも聞いてみんなの準備が整ってたら明日には引越ししような!」

引越し先はここから歩いて20分位の距離だ。微妙に近いような遠いような距離である。 

「良いっすよ。引越しする事が決まったら俺にも教えて下さい」

「ああ、分かったー」

と言い他の部屋に行った。 


…「おい、明日の朝引越しする事に決まったぞ!」

時刻は夜11時。もう眠ろうかなとしていたらいきなり大声で言われた。

「なんすか、今眠ろうとしてた所だったんすけど…」

リーダーは悪い人ではないのだがこういう所がある。なんていうか行き当たりばったり的な?

「ああ、夜遅くにしか帰ってこない奴もいてこんな時間になってしまった。ザックの兄貴には先ほど連絡を取ったのだが朝の9時からは来て良いらしい。だから明日の朝9時にはここから出るから準備しておけよな!」

…ザックの兄貴もリーダーの行き当たりばったりでこんな時間から電話されて迷惑じゃなかっただろうか?


次の日の朝9時、予定通り引越しをする事になった。荷物の運び係は往復しないといけないらしいが俺はそれには当たっていないので自分のぶんを持って行けば良い。リーダーは早くザックの兄貴とやらの人物に会いたがっていたが俺は直接は会った事はない。どういう人なのか楽しみだ。

 

「おーい、お前今暇なのかー?」

リーダーの声だ。軽く頷くと、

「まだ荷物を取りに行って帰ってきてない奴らもいるが先に挨拶しとくか?」

「うん、出来るならそうしたいな」

オレだって早く会いたい、気になるからだ。

リーダーに連れだっていくとこの部屋にいるらしい事が分かった。

「おーい、兄貴ィー、入るぞー」

リーダーはそのドアをバンっと開けるとそこにいたのは銀髪の体格の良い青年で会った。

「…君がハンスが言ってたレイター君かい?」

ちなみに、今更だがリーダーの名前はハンスと言う。

「えっ…リーダー、もうオレのことザックさんに話してあったんですか?はずかしいっすよ!」

「ハッハッハッ、レイターは有望株だからなぁ!もう写真も渡してあったぜ!」

「ええ…やめて下さいよー!それ盗撮ですよ!」

とリーダーとじゃれあっていると、

「君がレイター君なんだね?俺の事はさん付けじゃなくてもっと砕けた呼び方で良いよ。これから一緒に頑張っていく仲間だからね」

「じゃ、じゃあ、ザックの兄貴と呼ばせてもらえないでしょうか…?」

最後の方は緊張でしどろもどろにながらもどうにか言った。

「うん、良いよ!これから、仲良くしようね!」

ザックの兄貴も初対面のせいか俺に少し緊張しているようだが意外と気さくな人物なようだ。

…噂を聞いてもっと怖い人物を想像していた。これならやっていけそうだ。


その1週間後位の事、

「レイター、工場で働いてみないか?」

あの日の夜に兄貴のアジトで飲み会があったが(本当はどこかの店をリーダーは貸し切りにしたかったらしいが人数が多すぎて断念したらしい)そこでオレとザックの兄貴は完全に意気投合して、たわいない事からこれまでの経緯などたくさんの事を話した。それからは兄貴はずっとこの砕けた感じの口調だ。

「えっ…良いすけどここから工場まで少し遠いすよね」

ここから工場まで歩いて30分もする。夏だったら工場まで行くだけで汗ビショビショだ。馬車を使えば10分もしないで着くと思うが、タクシー代と同じ位の値段がするのだ、お金をほとんど稼げてないその日暮らしのオレからしたら高すぎる。

「確かに、少し遠いが小物を袋に詰める簡単な作業だ。普通にやって年に50万円、上手くやれば100万円は稼げる。ずっとその日暮らしを続けるよりは少なくとも安定したお金が入ってきた方が良くないか?それに少し遠い事に関してはお前若いんだし30分位歩けるだろ?食べ物を買うお金が無いときもある位のお前からしたら50万円でも稼げたら良い仕事になると思うが」

まあ、食うに困らなくなるかもしれない。雨風しのげる場所はここがあるし…

「分かりました、俺工場に行って働きます」

「おー、その工場は工場付近が最近急激に治安が悪くなったということで元いた従業員のほとんどが辞めて行った場所なんだ。残った従業員でどうにかやりくりしていたらしいけどもうこのままじゃ工場を閉鎖しようとしていたらしい。んで、俺は困ってるのかなと思って声掛けて、もしお困りなら俺の部下を貸しますよって言ったんだ。そいつら食うに困る事もある位の貧乏だし、あんたらも従業員が増えて閉鎖しなくて済むだろ?あっ、もちろんタダ働きというわけにはいかないからバイト代位は支払ってもらうけどねっていう話を通してある。慣れてきたら袋詰め以外の仕事もさせるかもとも言っていたがその場合は給料アップらしい。んで、その工場は伝統的なお菓子を作ってる工場らしい。それで、お前働いてくれるか?」

詳しい説明をしてもらったのでどうやら最終確認のようだ。伝統的なお菓子を作ってる工場で袋詰め以外の作業といえば…やっぱりお菓子作りでも手伝わされるのだろうか。正直言って、お菓子作りを任されたら面倒くさいなぁとは思うがその分給料アップかぁ…よし、やるか!

「やります、兄貴」

「おー、意気込みや良し!一応バイト扱いだからシフトを組んでという形にするらしい。休みたい日や時間を変更したい日は言ってくれれば調節するそうだ。よし、お前が明日空いてるんだったらだが、明日から行ってもらおうかな!」

「よーし、俺頑張るよ!」


次の日工場は9時から5時までの時間が仕事時間であるらしいので初日なので9時に間に合うように余裕を持って8時に出た。幸い今は季節が冬なので汗だくにはならなかった。…30分前、少し早く着きすぎた感じもするが誰か居るかな〜?と工場の前をうろちょろしていたら、

「んっ?君がザック君の言っていた今日から来てくれる人かい?」

「はい、そうです。」

「おぉ、そうかそうか。早くから来て偉いねぇ。今日は袋詰めをやってもらうからね。9時から仕事だけど今日は何時までできそうかい?」

「はい、5時まで大丈夫です!」

「そうか、あんまり無理はしないでね。疲れたらちゃんと言うんだよ。とりあえず、開始時間まで数十分はあるし一ヶ月分のシフトを作成してもらおうかな」

そういえばあなたはだれですか、社長です。という会話を交わしながら工場の中へ入って行った。

…って社長だったんかい!?でも社長さんも優しそうな人だしやって行けそうだなと思った。他の従業員にも挨拶した。元々は数十人いたらしいが今は数人しかいなかった。社長もお菓子作りをしている。一応社長は従業員が少なくなったからお菓子作りをしているわけじゃなくて、元々からやっていたらしい。他の数人もみんな年配のおじさんという感じだったが、朗らかな感じがしてどうにかやっていけそうだなと感じた。


兄貴の事務所に帰ってきた。(実は、俺は最初の頃はこれが事務所だとは知らなくてアジトと呼んでいた。)

「お疲れさん!今日の仕事はどうだった?」

「っす、兄貴の言ってた通り数人しか従業員が居なかったけどみんな優しそうなおじさんばかりでやっていけそうっす!」

「そうか、それは良かった!他の部下にも何人かに聞いてみたんだが何人かが働きたいと言ってくれている。後輩が増えるかもしれないな!」

正直言って工場の後輩ってなんだよと思ったがそれは言わない事にした。 




後書き

まず、最初に。こんな稚拙な小説を2話まで読んでくれてありがとうございます〜!

注意、ここから長い愚痴っぽいものが入ります!

はぁー、思ったよりバイト編が長くなってしまったぁー。裏の仕事編まで入れるつもりだったのに〜。書いてる内に工場の社長とか従業員の皆さんに愛着が湧いた自分が悪い…それに整合性も取らないといけないかなって。一応これはレイターの物語なので本編で明かされなかった設定などは番外編でやろうと思っていますがお金の話はちょろっとだけはやっておこう思います。[物価はほとんど現代と同じです。]はいー、これだけです。本当は後書きでやりたくないんですよね。本編に書けって話ですし。ただ、この一文だけでも小説の流れがおかしくなるんじゃないかと思ったのでここに書きました。なるべく後書きでは設定出しはやらないつもりです。後最後の番外編に設定集みたいなのも書こうと思ってるのでそこで大体分かると思います。まあ、普通に読んでてなんとなく理解する人がほとんどだと思います。設定もローファンタジーにしましたり。ほとんど現代でファンタジー要素はちょこっとだけという意味ですよね…多分。当たってるかなぁ。何かおかしな所があったらご指摘下さい。読んでくださってありがとうございました。


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