テロ組織
ー俺はなんのためにこんな事をやっているんだろう?ー
byアルト・リシュテンバイン
この間に、十八歳の誕生日会があったりラウル村へ行き二百万円を村長に渡してきた。
…ボーナスが入ったからと渡して来たが村長は涙目でありがたく使わせていただきますと言っていた。…本当にお金を渡すだけで村のみんなに貢献出来ているだろうか?
そして、オレが初めて人を殺した三ヶ月後、ユーカレア町に用事があってそれを済ませたオレはブラブラしていた。
…やっぱり裕福な町なだけあって品揃えが良い。
男性の声「うわぁー!な、なんなんだお前らは…!」
女性の声「きゃー!助けてー!」
い、いったい何があったんだ?オレも声がした方へすぐさま駆けつけると黒ずくめのローブを纏ったいかにも怪しい連中がいて
パァーン
銃声が鳴り響き先程助けを求めていた女性だろうか?がちょうど殺された所だった。
町の女性「きゃー、は、早く逃げないと…殺されたくない!んっ?なにアンタはボサッとしてるんだい!あいつらはテロリストだよ!アンタも早く逃げな!」
そういうとおばさんは足早に逃げていった。
テロリストか…また面倒な事に巻き込まれちまったな…だけど、この地域は男性が少なく女性が多いので(男性は裏稼業などオレ達の様な所までにも出稼ぎに出ている事が多い)男子たるオレが女の子達を守ってやらないとな!
と、なにやらさっき女性を殺したグループの一人が拡声器を持っている。
テロリスト「こんな世の中になったのも無力な一般市民のせいだ!一般市民を殺せば今の世の中も変わる!」
別のテロリスト達「そうだ!そうだ!そうだ!」
…なにか宗教染みている気もしなくもないがそれよりもやばい事に今気がついた。
この人たち…目がどんよりしていて生気が無い…まさか、そんなまさかと思うが洗脳されているのか?
テロリストの仲間?「おい!お前!」
っ!?前方にばかり注意がいき後方への注意が疎かになっていたオレの元へおそらくテロリストだろうと思われる青年が背後から大きい声で声をかけてきた。
「な、なんだ…?」
怪しい奴らの仲間である事は間違いないので距離を取りつつ話しかけながら相手の姿を見た。年はオレと同じ位、目はやっぱりどんよりしてて生気が無い感じではあるがさっきのやつらよりはマシ。それよりも一つだけ気になる事があった。
こいつはオレと同じく短剣二本を持っていた。
まさか、早くも同じ短剣二本使いと戦う事になるとは…って、オレの場合一本は予備なのでそんなに戦いの場では二刀流はしないが。つーか出来ないし。というかそんなに早かったわけでもない。短剣二本を持ってから一年位だろうか…?
そんな事を頭の中で考えていると彼の方から話しかけてきた。
「なにぼーっとしてるんだよ!…同じ短剣二本使いなんてあんまりいないからな、オレはアンタと戦うぜ…!ちなみに、オレはアルト・リシュテンバインな!アンタはなんていうんだ?」
こいつは自分に酔っているのか?名乗りを上げるのがカッコいいと思っているらしい…しかし、そんな事を言って刺激したら本気で殺しにくるかもしれない。強そうには見えないが万が一ということもある。一応相手が名乗り出たので礼儀としてこちらも名乗り出た方が良いだろう。
「…オレはレイター・ハーンだ…」
「ふ〜ん、そうなんだ?じゃ早速勝負しない?」
そういうや否が彼は短剣を一本だけ取り出しオレに切りかかってきた…!
オレは慌てて右側にあった一本を取り出し応戦する。
ガキンッ!
刃と刃がぶつかり合う音がした。
「うっ…!あ、危ないじゃないか!」
「あれ〜そんなもんなんだ?じゃ、オレからいかしてもらうね!」
というと彼はまた切りつけてこようとしたが流石に二度目は避けられた…オレが避けられる位だからさほど強くは無いってことだな、うん。…ちょっと馬鹿にしたくなって来たかもしれない。
「もう一本は飾りか?」
「なっ…!お前だって使って無いじゃないか…!」
「うん。多分おんなじ位の実力だからバラしとくわ。オレは二刀流は出来ない。一本は予備だ。アンタは?」
「…オレも同じく…」
しーん…沈黙が起きる。沈黙に耐えきれなかったオレは相手の事をさらに馬鹿にしておこうと思った。
「二本持ってるのに二刀流も出来ねぇのかよ〜、ダッセー!」
「その言葉!そっくりそのままお前に返してやるよ…!」
「いいや?オレはダサくても良いけどなんか他人のダサい所を見るとバカにしたくなるんだよなー」
「性格悪っ!」
こんな会話の入りで本当にオレの性格が悪いと思われてもアレなので本題に入ろうと思う。
「そういうアンタは…オレと似ている所はあれどオレよりは性格は悪く無さそうだときた…なんで、アンタはテロリストになったんだ?」
「…っ!お前には関係ないだろっ!?お前なんてお前なんて…!」
「いいや、関係ある」
「今会ったばっかしのやつになんの関係があるって言うんだよ!」
「アンタとオレが似ているから気になる…つまりは個人的な興味だな」
「はぁっ!?アンタほんっと最低だな!…妹のためさ」
んっ、なにやら最後ボソッと何か話したようだったけど小さすぎて聞き取れなかった。
「んっ、今なんて?」
「だーかーら、妹がいて妹と一緒に生活していくためにやってんの!」
「両親は?妹さんはなにも言ってないの?」
「いっぺんに質問するなよな!…両親はお父さんは物心ついた時からいなくてお母さんはオレ達を捨てて出ていった…妹には感づかれているようで無理な仕事してるんだったらやめていいんだよお兄ちゃんと言われたことが…」
「良い妹さんじゃないか。両親の事は残念だったけど…」
「言っとくけど、アンタに同情されるいわれはないからな。オレは少し洗脳もされているけどサクラのバイトとして入ったようなものだったから…他の人よりは洗脳されてないと思う、多分」
「なんで、そんな危ない道に入ったんだ!」
「それ、アンタが言う?…はぁ、思ったから言っちゃうけどアンタだって血の匂いがする…アンタさ、人殺した事あるでしょ?」
「っ!そ、そんなことあるわけないだろ!」
「そうかな?動揺してる時点で十分怪しいしオレも人を殺した事があるからね…分かるよ。だって、同類の匂いがするもん。止むに止まれぬ事情で本当は人殺しなんてしたくなかったはずなのにしちゃった匂いもね…」
「あ、アンタもしたことあるのかっ!?もしかしてこのテロリストのバイトで…!」
「そうだよ。…っていうかアンタもって…認めちゃったねぇ、クスクス」
「い、良いだろ別に!同類なんだし?」
「そうだね〜でも君はいつか足を洗えるかな?」
「…何が言いたい…」
「アハハッ!オレよりも裏の世界にどっぷり浸かっちゃっているんじゃない?って話!」
ここで、彼は不意にこちらに近づいて来たが短剣をしまい手をひらひらさせ敵意が無い様子を見せてきたのでオレはいつでも短剣を取り出せるように仕舞いながらもそのまま近づかせたところで彼は小声で耳打ちするかのように話しかけてきた。
「…それよりさ、今は逃げたい?」
周りを見回して見るともうほとんど一般人はいなくな
っている。…次に狙われるとしたらオレだろう。
「…ああ」
「じゃあさ、あっちの路地裏の方から塀を登っていけば逃げられると思うから。そろそろ撤収もするだろうし」
「…そうか…ありがとな」
「うん、気をつけて」
「ああ、お前もな…!」
オレと似たタイプのやつだったがもう二度と会う事はない予感はしてた。
彼の霧は晴れ、闇から光へ向かい、オレは霧の中に突っ込み光から闇へ向かう…人を殺した時点で安寧はないのだと心のどこかでは分かっていたが彼と話してそれがハッキリ認識出来たような気もする。
あとがき
筆者「詩人レイター君の称号をゲット!」
レイター「ああ…最後のやつだっけ?つーか、ゲームのやりすぎじゃね?」
筆者「なにおう!」
えー、結構レイターも十八歳になったし良いところまで進んできましたね!主要人物もそろそろ出てくるんではないでしょうか!
11話目までご覧頂きありがとうございました。