第二話 魔物の被害
次の日。
相変わらず店は満席状態。3人だけじゃ人手不足なんじゃないかとつくづく思う。前にオヤジにそれを言ったら「お前の手際が悪いせいだろ」と言われてしまった。だからそれ以降人手のことは口にしていない、俺がオヤジに比べて遅いのも確かだし、なによりこの家族3人で店をやりたいからだ。オヤジもどうやら同じ気持ちみたいだ。そのオヤジは今、魚を切りながらカウンター越しに座っているお客さん達と話をしている。オヤジは客に対してとても愛想がよく、料理をしながらでもお客達と会話をこなしている。俺はオヤジ達の会話に耳だけ傾けて野菜を切っていく。
「最近魔物の被害が酷いんだってな」
「ああ。南の方にある村が魔物に襲われたんだってな」
「そこだけじゃないぜ、他にもあちこちの村が魔物の群れに襲われてんだ」
魔物……。
魔物と言っても個々で活動している魔物は大したことはない。普通の大人1人で撃退ぐらいはできる。俺がまだ小さかった時、魔物1体に襲われたことがあった。泣きじゃくっていた俺の前にフライパンを持ったオヤジが現れ、そのフライパンで魔物を撃退したことがあった。
だが、やっかいなのは徒党を組んだ魔物たちだ。3体や4体で来られたらもう絶望しかないだろう。そんな徒党を組んだ魔物達が今村を襲っている。
「エギオルクか……」
オヤジがぼそりと呟いた。
エギオルク。村を襲っている魔物達の親玉。目撃者によると他の魔物より一段と大きくゴツイ見た目で手から火を出したり爆発を起こしたりできるらしい。そんなことできるのか、目撃者の見間違いだと思うのだが。しかし村が被害にあっているのは本当だ。今、王都の騎士団がこのエギオルク一味の住み処を調査しているらしい。早く突き止めてそうそうに討伐してほしいところだ。
「よーし今日も大繫盛だったな」
「はぁ、疲れた」
「だらしねぇな。明日もあるんだシャキッとしろシャキッと」
「お、おうよ!」
明日の仕込みが終わり俺は自室へと帰る。
「疲れた」
そのままベットにダイブする。
オヤジはまだまだ元気だった、俺より仕事量が多いはずなのに。
「やっぱもっと体力つけないとな」
俺は立ち上がり部屋で腕立て伏せを始めた。