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第八十三話 根源との対面

 バイクを走らせて、俺達は工場の跡地に着いた。

 その時に和奏を運んでいた車もついさっき着いたのか、和奏が複数人の男達に連れられて、かなり大きな倉庫の中に入っていくのが見えた。


「西上さん! あの倉庫に和奏が入っていくのが見えました!」


「わーってるよ! しっかり掴まってろ!」


「どうするんですか!」


「こういう時は正面突破って相場が決まってんだよ!」


 倉庫の扉が閉まり始めたのを見た西上さんは、バイクをアクセル全開にし猛スピードで倉庫の方に突っ込んでいく。

 見張りの数人が猛スピードで突っ込んでくるバイクを驚きながら、慌てて扉を閉めようとしていた。

 だが、今更急いだところで間に合うわけがない。

 俺達は猛スピードで突っ切って倉庫の中に突入した。

 倉庫の中にはかなりの人数が集まっていて、そいつらは猛スピードで入ってきたバイクを避けるように道を開けていく。

 バイクは倉庫の一番奥まで進んで、ようやく止まった。


「結構な人数がいるじゃねぇか」


 西上さんはヘルメットを外すと、これから始まることに対して楽しそうに笑いながらバイクを降りる。


「……ですね」


 俺も同じようにヘルメットを外してバイクから降りた。

 降りた後、最初に和奏の状況を確認する。

 目隠しと口にテープが貼られて手が支柱の鉄骨に縛られている状態だった。

 だが、それ以外は特に何かされた様子はなく安心する。

 次に倉庫の中にいた奴らを見ると、ざっと三十から四十人くらい。

 もしこのまま俺達が来なかった時に行われることを思うと、吐き気を催すほどの胸糞悪さが込み上げてくる。

 俺は激しい怒りを感じていると、右端に一人だけ何かに座って、まるで女王か何かのような女が俺のほうを見て驚いていた。


「わっー! 天ヶ瀬じゃん! もしかしてこの前の話を受け入れてくれる気になった!?」


「そんなことのために俺がこんなところまで来ると思うのか?」


「だよねーっていうか、天ヶ瀬のことを動けなくするはずだった奴は誰よ。普通に動けてんじゃん、あーマジ無能……」


 倉澄は下を向きながらため息をついた後、俺が見たことのない冷たい表情をしながらぼやいていた。


「で、何? ヒーロー気取りでここまで来たの? 遊園地の時に忠告したはずなのに……損得も考えられない馬鹿ってこと?」


 そんなことを言った後、倉澄は何か閃いたように手を叩いて、にこやかな笑顔になった。


「そうだ! 神代さんの試食会に天ヶ瀬も一緒に参加する!? 本当は一番お金を出した人から優先なんだけど、そうだなぁ……あっ、一緒に来たその人をボコボコにしたら一番最初に試食させてあげる!」


「お前は人をなんだと思ってんだ!」


「別に何とも? ただ私に盾突いた奴らには、私の利益になってもらおうかなって思ってるけど……それ以外は特に何とも思ってないかなぁ~。だから神代さんには協力してもらおうと思ってね。私でも羨ましくなる容姿だから、相当稼げると思ってたしね」


 倉澄は下卑た笑いを浮かべながら話を続ける。


「本当は写真をネットに上げて、もっと収益を増やす予定だったけど、よくわからないけど片っ端から消されちゃうし。しょうがないから、内々でオークション形式っぽくしてみたけど、これだけの人が集まってくれたからね。夏休みの間は限界まで働いてもらおうかなぁ~。その為に今日ここに連れてきたんだしねぇ~みんな?」


 倉澄に言葉に周りの奴らも下卑た笑いを浮かべながら、楽しみにしていると言って笑い始めた。

 その瞬間、俺は怒りが頂点に達する。


「耳障りだから黙れ」


「はぁ?」


 俺が倉澄を睨みながらそう言うと、癇に障ったのか俺を睨み返してくる。


「この状況で自分の立場がわからないほど馬鹿な奴だと思わなかった……遊園地での話は忘れて。あんたみたいな馬鹿と手を組むほど私は馬鹿じゃないから」


 倉澄はそう言った後、手を叩いて倉庫の内にいる全員を自分の方に注目させた。


「この中であいつの頭を私の前……そうだなぁ~、この足が届くところに叩きつけ人が、一番最初にあの女の子を試食できることにするね」


 その言葉に倉庫内にいた奴らの空気が変わって、その中の一人がもう一人について恩恵はないのか倉澄に聞いていた。


「あーあの人に関しては強そうだし、何してもいいから倒したら二番目に試食する権利をあげる。もし複数人でやったら、その時はお金を多く出した人順ってことで」


 その言葉で倉庫内いた奴らが更に盛り上がった。


「おーおー。なんか見てるだけの流れかと思ったが、俺も暴れてよさそうだな」


 西上さんは軽く体をほぐすようにストレッチをして、準備を整えながら俺に聞いてくる。


「体の方は動くのか?」


「まだ本調子には程遠いです」


「……なら気張るしかねぇな」


「はい」


 俺達はそんな会話を交わした後、臨戦態勢を取った。

 倉澄の掛け声を合図に、倉庫内の奴らが俺達のほうに向かってきた。

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― 新着の感想 ―
[一言] 録音とか撮影とかで証拠残してとことん潰してほしい。
[良い点] 間に合った! さあ反撃! [一言] 絶望一色のこの女(とその家族)の顔がはよ見てみたいものだ(ふふふ)
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