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短編

懐かしい再会

お久しぶりです!

長らく小説を投稿、更新出来ず私の小説を楽しみにして下さっていた方、ごめんなさい!

お待たせ致しました!



 雨が降りそうで降らない曇り空。

 私の目の前を行き交う人混み、風はあるのに空気は人々の熱気で生ぬるい。

 あの頃から約四年……私は姉と共にあの人の地元に来ていた。

 あの人に会うには、あまりに久しぶり過ぎて緊張して電車の中で胃を痛めてただなんて言ったらなんて言われるかなぁ。

 なんて、こんな理由で姉を連れ回すのもどうかと思うけど。






 最初は本当に姉に呼ばれたから姉の住んでいる所に泊まりがけで遊ぶ予定だったんだ。

 最初に姉に誘われたのは本当に急だった。

 だって、「行きたい場所があるから」なんて理由で一週間前で予定の調整が出来るか出来ないかのギリギリの日に誘われたんだから。

 そして、何故かな。

 そんなタイミングであの人の事を思い出したんだ。

 今なら、きっと余裕も出来て来たのかな。

 前を向けるかどうかは置いておくにしても、悩み事が尽きないにしても、今会ってきっと泣き崩れるなんて事もあの時の様に顔を歪めるだけ歪めて答えられない……なんて事にはならない気がしたんだ。

 そう思ったから、私からあの人に連絡を取ったのに。

 後日、姉とあの人に会う為に必死に作ったお休みは姉からのドタキャンで潰れた。






 それから半月後、もう一度姉に誘われた。

 今度はちゃんと余裕を持って。

 ドタキャンした分を埋め合わせがしたいからと言う理由だった。

 私は今度こそと思い、もう一度あの人に連絡を取る。

 そうしたら、夕方からなら会えるとメールが入った。

 この時私はどう思ってたっけな。

 確か……ほんの少しの緊張と次こそは、と言う決意をした様な覚えならあった気がする。

それから、私は着々と姉とあの人に会う準備を進めて今に至るのだけれど……どうしても緊張感だけが拭えなかった。

 スマホを持った震える指先を見て見ない振りをする。

 これじゃあ、きっと観光写真は撮れないかな。

 心の中で苦笑し、姉に写真を撮って貰う。

 上手く笑えてるかな。

 写真写りは良くないんだよなぁ

 あんまり写りたくない

 そう呑気に思いながら、姉に着いて行ったら人力車に……

 うん、流石にこの展開は予想外だった。

 様々な景色と説明、その度に写真を撮って人力車特有の揺れも楽しんでから戻る。






 あの人と会う予定の場所に戻り、時間になったのでメールをしてみる。

 姉は記念撮影をする為にスマホを構えて身長差の激しい私を必死にカメラに納めようとしていた。

 あ、普通に立っててごめんなさい。

 姉の身長に合わせて膝を折る。

 スマホの中には、カメラに写る私と姉。

 ふと、スマホの外を見るとチラリと見えたあの人。

 一瞬だけ目が合った。

 眼鏡……してない。

 前はいつも眼鏡してたのに。

 合ったと思った視線は直ぐに逸れた。

 姉の写真に写る為に私も逸らしたとも言う。

 それでも、気付かなかったのかな?

 写真を撮りながら、そんな小さくて淡い疑問を掻き消す。

 写真を撮り終え、私は姉と別れる。

 あの頃とは印象が変わっても、少しだけ懐かしい雰囲気を纏うあの人の目の前に立ち、小さくお辞儀をする。

 懐かしさよりも驚きが勝って、直ぐになんて声は出なかったからだ。

 それでも、あの時よりはマシだった。

 だから――――――



「こんばんは、お久しぶりです」



今度こそ、笑顔で再会をするのだ。




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