はじまり
ーーこれは主人公貴弘こと俺の人生を台座に書く物語。
1990年7月24日にこの世に誕生した。
この後生まれてきた事を後悔するとは思いもせずに…
時は流れ五年。
物心つき始める年にもなり、色々と分かり始める。
母親がその当時付き合っていた男とうまくいっていなく、喧嘩が多かった。
俺の母親はフィリピン人で日本にもまだ来たばかりで日本のこともよくわからなかった。
夜の飲み屋で働きながら日本語を学び、今付き合っている男と出会った。
その当時できた子供が俺。
今でも鮮明に覚えている。
とある日の昼間に母親が男と喧嘩して、家を飛び出した。
「お母さんどこ行くの?置いていかないでよ…」
泣きながら母親についていく俺。
砂利道をスタスタと歩く母親の歩幅に子供の俺がついていくのは容易ではなかった。
そして俺は慌てて飛び出した為にサンダルできていた。
そこで何を思ったのか、俺はサンダルが砂利道で歩きづらいのか母親にこう言った。
「お母さん、サンダルだと歩きづらいから靴に取り替えてくるから待ってて?」
母親は無言で頷き、俺はそれを確認して早く戻りサンダルから、靴に取り替えて元の場所へ戻ってきた。
ーーーだが、そこに母親の姿はなかった。
俺はその場で泣き崩れしばらく泣いた。
当時の俺には母親が居ない事が凄くショックで泣くことしかできなかった。