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部活動

「で、新しい顧問で先生に指示をされてこの部室に入ったら偶々私達の衣類が掛ってて私達と遭遇しちゃったてこと?」


少女が仁王立ちで結人が正座をしている

20代前半の男性が正座で10代前半の少女が仁王立ちして事情聴取をされてる姿は一部の業界の人は喜ぶだろうが大半が感じるのは空しい思いだ。そしてそれは結人も例外では無かった


「はい。話した通りです」


事前に聞いて居た良い子達という華麗な嘘を恨みつつ結人は微動だにせず受け答えをしていた


「じゃあ、先生のくしゃみで欲情するのはホントなの?」


「ホントよ」


「嘘を付くな、嘘を。事実無根だ」


「まぁ、良いわ。」


その一言を残し唯が徹夜で結人が出所する前から作っていた履歴書を少女が読みだした


「神月結人、年齢24歳。出身大学はおぉ凄いじゃない名門大学の法学部卒業ね。おまけに変態で、大学卒業後は・・・」


「どうしたの?(゜Д゜≡゜Д゜)」


神無の疑問が耳に入らないほど履歴書に書いてある文字を読み返していた

少女の顔が文字を見つめる度に青くなって行き、ここに書いてあるのが本当なのか、見間違いではないのか。そう自問自答し何度も目を擦り文字をみるがそこには同じ事しか書いてはいなかった


そこでいつもの先生がやる悪戯の類だろうと自分の中で自己完結をすると前方にいる正座の体勢の男性、結人が言葉を投げかけた


「そこに何が書いてあるのかは見た事はないから俺には分からない。ただ嘘、脚色は書かれていない、そこに書いてある事は全て事実だ。」


結人は少女のいきなり顔が曇りだしある程度時間が経つと何事も無かったかのように明るい顔に戻り少女の中でどんな想像が働いてるのか予想したうえで事実を述べた


「ホントなの・・・?」


「ホントよ、嘘はないわ」


唯による言葉の最後通牒により少女の顔がまた青ざめた、周囲はエアコンと室外機特有の機械音が鳴り響くだけで他の音は一つもしない。


そしてそこに居る者たちにはそのエアコンの冷気が肌を刺した


神無と呼ばれてる女の子がその空間の雰囲気に耐え少女の持っている履歴書を除くが


「・・・・・・」


反応は同じだった


「やっぱり来るべきじゃ無かったな」


冷気に包まれている室内で結人はそうつぶやき正座の足を崩して立ち上がろうとした


「待ってよ!」


少女が唐突に結人を押し留め立ち上がろうとしている結人に再び見下す形で睨みつけた


「・・・・・・」


「詐欺師がここに何の用があるの?」


「顧問を引き受けようとしただけだ」


「私はね、犯罪者が大嫌いなの!」


ヒステリックに近い声で少女は叫びをあげた。

冷気によって冷やされた体が興奮により熱を帯びて行くのを感じながら少女は憎き結人の返答を待った

そしてそこには少女が恐らく体験したであろう何かが如実にその声に込められていた


そしてそんな少女に返された返答は少女を更に逆撫でする物だった


「犯罪者が嫌いなのは俺も同じだ。俺も刑務所に入ってた、それで赦されたと思っては無いし罪が清算されたとも思ってない。ただ詐欺をした事が間違いだとは思っていない」


少女の顔がさらに赤くなり結人を見る目が、刑務所に入っていた事実を履歴書で確認している為警戒色が強い視線だったが反省して無いと取れる結人の発言でその視線は軽蔑する目線へと変わった


しかし結人は2年前にその視線とそれ以上の視線を浴びている為何とも思わず再び立ち上がった


「ひ、人を不幸にしたお金で生活してそんなに楽しかった?目の前にいる人間が何も知らずお金を自分に渡していく姿は滑稽だった?そんな汚いお金で誰かを幸せに出来た?」


その声は無機質に近くただ淡々と喋っているだけの声だった。


「・・・・・・」


立ち上がった結人はただ茫然と喋っている少女を一心に見つめ話を聞き続けた。しかしその問いかけに結人は答える事はしなかった


「そのお金で誰かからありがとうって言われた事はあった?そのお金で誰かを、誰かの為に何かやった事は何かあった?あったとしたらその人は可哀想ね。死んでも誰かに恨まれ続けるんだから。あなたからお金を貰った一種の被害者なのに!」


「もうやめなさい!!」


冷気の満ちる部屋を唯の叫びに近い声が木霊した

唯の顔は酷くやつれていてまるで自分が貶され誹謗中所を受けたような顔つきだった


それでも少女はやめる事なく淡々とした口調を少し早め続けた


「ホントに可哀そうね。あなたの周りに居たあなたを含めた人物全員が屑なんだから!」


「分かった、この顧問の仕事は引き受けさせて貰うよ」


謎な返答だった。

しかし、その返答のお陰で熱くなっていた少女は普通に戻り軽蔑の感情を持ちながらも先程みたいに周りの意見を聞かず喋りかける事は無くなった

そして疑問と軽蔑の持った目を結人に向けながら、少女は一旦落ち着いて大きく息を吸った


「何がしたいの?」


「言葉の撤回と俺が顧問に成る事を認める事。俺が屑なのは撤回しなくて良い、ただ周囲にいた人物が屑だっていう発言だけは撤回して貰う」


「する訳無いし認める訳無いでしょ。まず元詐欺師が学校の顧問をやる事は許されないわ」


「俺はそうは思わない、だったらディスカッションで俺が勝ったら認めて撤回して貰う。お前達の部活動だから良いだろう?こういう事の白黒を決める為にディスカッションはあるんだから」


少女は結人の突拍子もない言葉に軽くイラつきを覚えたが口には出さなかった


「やると思う?」


「逃げるのか?憎い詐欺師が目の前に居るんだぞ?それもお前が所属している部活での土俵で戦ってやるんだ。何も問題はないだろ?」


結人は少女のプライドが高く室内が清潔感に溢れてる事から部活を大事にしている事を予想し、敢えてその大事にしている部活と高いプライドを挑発する様な事を言った


その効果は抜群であり睨みつける視線が強く鋭くなった


「何でそんなに顧問がやりたいの?」


「言う必要はあるか?」


結人は更に感情を昂らせ正常な判断を出来ない様にすると言う詐欺師の基本的な手口を使い少女を挑発した

そしてその言葉に再びイラつきを覚えるが何とか呑み込み再び強い視線で結人を睨みつけた、


「だったら私が勝ったらどうするの?」


「一つ訂正すると、私じゃない、私達だ。部員全員を相手にしてやる。それと勝てたら何でも言う事を聞こう。自殺でもなんでもな」


室内は寒いが少女の所だけ異様に概念的に熱くなっているのが周囲からは非常に良く分かった

そしてそれを人より強く感じ取った結人は最後の挑発をし少女の気持ちを昂らせた


「やるか?完全に相手にそっちが有利でおまけにその条件で勝ったら自殺までさせれるんだぞ?」


「分かったわ、自殺する時に命乞いしても私は見てるだけだからね」

次回遂に討論です

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