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逃避行

洲賀才蔵を失い、六角義治・野口冬長・小野善鬼・平古種吉は満身創痍でカードの中にいる。今回の戦闘で得たものはない。

しかし、昨日老人から貰ったカードがあるではないか。老人から貰った袋の中には銀貨60枚と6枚のカードが入っていた。パンは欠片も入っていなかったが。

「銀貨って使う機会あるのか?」

この2日間で貨幣を利用する機会どころか、目にする事もなかった。食料であるパンにどれ程助けられた事か。パンを拝みたくなるほどだ。

新たな宗教の誕生は置いておこう。今は身の安全のためにカードの確認が最優先である。

星6はやっぱりなかった。

星1の児山兼朝、三井弥一郎、北畠具房。

星2の鳥屋尾満栄、龍造寺政家。

星3の織田信雄。


えーと、児山兼朝は勇猛な武者。三井弥一郎は知恵のある武者か。北畠具房は・・、お相撲さん?鳥屋尾満栄は執事らしい。龍造寺政家は病弱。織田信雄はアホの子。

なんだろう、涙が出てきたよ。星3でアホの子ですか、そうですか。やっぱり泣いていいですか?主力は負傷中だし詰んだかなぁ。なんで星3より星1がまともそうなんだよ。

落ち込みたいが落ち込む暇はない。まず透に戦闘は無理だからだ。1人で敵に遭遇=死である。至急護衛が必要なのだ。しかし、近辺には先程まで侍達と戦っていた革鎧の男達がいる。武者鎧の者を呼び出せば戦闘を呼び込む事にもなりかねないのだ。よって、児山兼朝と三井弥一郎は今は呼び出せない。空気を読めないアホの子を呼び出すのは今はリスクが高過ぎる。残るは丸々と太った北畠具房、病弱な龍造寺政家、執事鳥屋尾満栄。選択肢がないとはこの事か。

物音が近づいてくる。離れなくては、逃げなくては。陣地へと戻ろう。フラフラと歩き出す。逃げろ、逃げろ、逃げろ。透に余裕はなかった。


道もわからぬ透が逃げて、逃げて、目的地にたどり着けるほど世界は甘くない。だが運は悪くなかった。戦場を目指す集団に遭遇し、手当てを受けれたのだ。彼等はルスイエ旅団。戦場から鉄等を回収する集団である。

「悪りぃが、安全なトコまでは連れてけねぇな!!」

「いえ、助けてもらってありがとうございます。」

山賊と言われた方が納得できそうな風貌の男がダミ声で話す。

「南部には鉄鉱山が1つしかねぇからな、鉄が足りねぇんだ!だから俺達みてぇなのが戦場から鉄を回収してんだよ!」

3台の荷馬車を中心とした50人を超える集団である。リーダーは元ルスイエ王国王弟、ベーカー・ルスイエ。回収した鉄等を売る事で土地を借り、そこに暫定政府を設置していた。

「戦場に行くんですか!?」

「そうだ!」

「えっと戦える人は?」

武装した人達はいない。

「俺くらいだ!敵に会ったら逃げんだ!問題ねぇ!」

そういうベーカーの腰には普通の斧が1本だけ。

あぁ、死ぬ。今度こそ死ぬ。荷馬車に揺られて戦場に。誰か助けて。


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