残酷な運命
ミレイはレナーシャが眠っているベットの側に行き、レナーシャの手をそっと握る。
「レナーシャ...ありがとう。君のおかげで今僕は生きれてる...。」
まだ眠っているレナーシャを見つめるミレイ。
その目は、愛しい人を見るめ目そのものだった。
「今から、彼の元へ向かうんだ...けど、その前に言っておきたい。寝ているから聞こえないかもしれないけど...レナーシャ、僕は君が好きだ。乱暴で、言葉使いも荒いけど...本当は優しい...そんな君が大好きです!」
こころなしかレナーシャの顔が笑顔になる。
それを見たミレイは、行ってきますと言い部屋をあとにするのだった。
「挨拶は済んだのかい?」
スビッツがミレイを待ってた様に現れる。
「えぇ、もう大丈夫です!」
「そうかい...ならこれを持っていきなさい」
スビッツが手渡して来たのは、剣とレナーシャの弓だった。
「ミレイさんが使いやすい様に作ってある。切れ味も申し分無いはずだからきっと役に立つよぉ。あと、弓も持って行ってあげてくれ。きっとレナーシャのやつが守ってくれるはずだよ」
弓を握りしめ、ミレイはありがとうと言いメリヒスト王国を出発した。
戦うつもりは無いが、自然と身体に力が入っていくミレイ。
山を超え、もう1人のミレイが目撃された場所へと向かう。
――
次元の狭間。
そう言われている場所に、2人は居た。
ミレイが来るなり構える2人。
「待ってくれ、戦いに来たわけじゃないんだ!僕は記憶を取り戻した。けど、元の世界に戻りたいとは思ってない」
「貴様、記憶を取り戻しておいて何を言う!」
ミレイの言葉に、もう1人のミレイが怒鳴る。
同じ記憶を持っている以上、怒鳴らずには居られないのだ。
「それがどういう事かという事もわかってるさ!けど、僕が残ったとしても君が戻ればなんとかなるんじゃないのか?僕達が争う必要なんてないんじゃないのか?」
ミレイがそう言うと、男は考えだした。
「確かに、お前の言う通りかもしれない。千夏が助かるのであれば、わざわざ殺し合う必要もない...か」
「!...わかってくれたか!」
『そんな事、許される訳が無いだろう。』
突如あの声が聞こえてくる。
ミレイの他の2人にも聞こえていた。
「どういう事だ!何故駄目なんだ!僕達の目的はあくまでも千夏を助ける事、それならこの世界から出れば何とかなるかもしれないじゃないか!」
ミレイが怒鳴る。
『そうだ。しかし貴様は誓ったはずだ。友達、家族、、そして自分自身を犠牲にすると』
「そうだが...互いに分かりあったのだから良いじゃないか!俺達は争うつもりは無い!」
男がそう言うと、世界が無くなったかの様に辺りが真っ暗になる。
そして、ミレイと男の前にはレナーシャと千夏が
十字架に、縛られていた。
『さぁ、戦え。さもなくば愛した女が死ぬ事になるぞ』
「くそっ!!」
「...剣を抜け、ミレイよ」
男、いや、広がそう言う。
「こんな命令に従うのか!?」
「従わなければ千夏が死ぬんだ!!!!」
広は、叫びミレイに向かって走り出す。
剣と剣がぶつかり合い互いを睨む。
「他の手を考える事はしないのか!」
「どうしようも無いじゃないか!」
広は怒鳴る。
興奮し、目が青く光っていた。
「やるしか...無いんだな...」
覚悟を決めたミレイの目も赤く光る。
『さぁ、戦え!!』
互いの愛する者をかけた戦いが始まるのだった。




