とりあえず世界征服でもする?
この作品は複数の作者様達で話し合って作っています。ですので1話ごとにガラリと書き方が変わる場合があります。
...変態が編隊を組んでヤバすぎるテンションで書いていることについては説明しません。
今回の話は
夜桜様が書いてくれた作品です。
マイページを貼っておきます
http://mypage.syosetu.com/440896/
真っ暗な廊下を通路の左右に等間隔に並ぶ蝋燭が仄かに照らす。
時折ゆらゆらと陽炎の如く揺れる蝋燭の火がその薄暗い通路を歩く二人の人物を照らし出した。
「魔王様、魔王軍重鎮及び四天王以下配下の招集が完了いたしました」
「そうか、ご苦労」
魔王と呼ばれ男の横に控えるメイド服のような衣装を纏った女性がそう言うと、魔王と呼ばれた男は短くそう労った。
「さて、では俺も向かうとしようか。付いて来い」
「はっ!」
魔王が威厳に満ちた声で傍らにいる女性にそう言うと、女性は思わず見惚れてしまうほどの綺麗なお辞儀をして敬愛する魔王の言葉に従う。
かつん、かつん。
魔王と女性は小気味の良い足音を一定間隔で鳴らしながら蝋燭の揺れる薄暗い廊下を進む。そして、一際豪勢な扉の前に到着すると、扉は見た目通りの重厚な音を鳴らして大きく開いた。
彼等が足を踏み入れると、彼等に異形な姿をした無数の視線が一斉に突き刺さる。
魔王と女性はそれに臆する事なく堂々と中へと進む。否、魔王の頬は何故か僅かに紅潮していた。心なしか少し息も荒い。
(ハァハァ、この突き刺さる視線が堪らん!)
そう、この魔王は変態であったのだ!
「魔王ネル様の御前だ、皆の者頭を下げよ(ハァハァ、人に見られて興奮してる魔王様可愛いよぉ!)」
そんな魔王を見ながら、頭ではそんな変態的な事を考えながらも表面上は冷静な女性が凛とした声音でこの部屋に集まる者達へと声をかける。
その声に一斉に跪く者達。
「魔王軍宰相マグラ及び、宰相秘書ヒョウ、ラフィル、御身の前に」
「魔王軍参謀長レオ及び、参謀補佐ヴァミリー、ミュウ、御身の前に」
「魔王軍四天王、第一部隊隊長グル、御身の前に」
「魔王軍四天王、第二部隊隊長スオウ、御身の前に」
「魔王軍四天王、第三部隊隊長ナニワ、御身の前に」
「魔王軍四天王、第四部隊隊長エックス、御身の前に」
変態魔王ことネルが一段高い位置にある玉座に席に座ると、跪いていた配下達がそれぞれ名乗りを上げる。
「魔王軍魔王専属侍女隊、侍女長サクラ、御身の前に」
そして最後に今まで魔王の横に控えていた女性が名乗りを上げ跪く。
「うむ、よく集まってくれた我が誇りある魔王軍よ。楽にせよ」
魔王ネルがそう声をあげると、集まった異形の者達は一斉にグデーっとなる。
「いや、流石にそれは楽にし過ぎだ」
ネルがすかさずツッコミを入れるが、誰も聞いていない。流石変態魔王がトップの魔王軍。部下達も一癖二癖ある者ばかりだ。
「んで、魔王様、集めた理由は?」
魔王軍四天王の幻腐食屍のグルがダラーっと尋ねると、皆もその声に耳を傾ける。
「もういいや、威厳に満ちた声疲れたー。いやね、そろそろ俺たちも魔王らしいことやらね?と思ってさー」
「何言ってんの魔王様?ついに頭沸いた?」
魔王軍一の毒舌にして、魔王軍四天王の不死鳥帝のスオウが辛辣に述べる。
「おま、俺は一応魔王だぞ。もっと優しく接してよ!」
「いいから話し進めて下さい魔王様。私は研究の続きがしたいんで」
夢喰大淫魔の宰相マグラはかけている眼鏡を弄りながら真面目そうに言うが、その後手にもたれているエロ本は隠せて無い。一体ナニの研究をしているのやら。
「もういいわ!いやね、世界征服とかやっちゃわね?と思ってさ!」
「「「「「めんどくせぇ!」」」」」
一斉に即答である。
「早いよ!?いいじゃん、やろうぜ世界征服ー」
「魔王様、この世界は広いんですよ?世界征服とかめんど……ゴホン、簡単ではありません。それより今夜は男と女どっちでヤります?」
侍女長にして男にも女にもなれる最古の鏡影、原初鏡影のサクラがそう言う。本音が隠せてませんよサクラさん。
「男で。んじゃこうしよう、もし世界征服出来たら俺がなんでもやってやる」
キュピーン☆
みんなの目に一斉に輝きが灯る。
「「「「「ん?今なんでもするって(ry……」」」」」
「い、いや何にも言ってない……」
魔王様はやばいと言う顔になって否定する。しかし……
つ『男で。んじゃ、こうしよう、もし世界征服出来たらなんでもやってやる』
「「「「「ナイスラフィル!」」」」*
悪戯大好きの瞬速猫又のラフィルが何故か常備しているボイスレコーダーでバッチリ魔王様の御言葉を録音していた。
「取り敢えずこれは複製しておこう」
そしてすかさずそれを複製する参謀補佐にして抜かりのない男として有名な限発人狼のヴァミリーが自前の能力で録音を100枚近くのCDにする。抜かりなさすぎ、ぱないっす。
「ナイスです、ヴァミリー。さて、魔王様、これで嘘は吐けませんね(ニヤニヤ)」
参謀長の不死賢者のレオが魔王様を追い詰める!流石参謀長、腹黒い!
「嘘はダメですの!」
幼女に妖女の参謀補佐、心月吸血鬼のミュウが無垢な瞳で言う。だが侮るなかれ、この幼女は魔王軍の中でもトップ10に入る年齢である。まさにロリバ……うわ、何をするやめt……。
「年齢は言っちゃダメです♪」
「何を一人言ってるんだいミュウ。それより魔王様が何でもするって話が大事だよ」
宰相秘書にして氷大狼のヒョウが目を血走らせて言う。氷と言う名のくせに無駄に暑苦しい。
「取り敢えず俺は魔王様にナニして貰うか考えるぞ!」
魔王軍四天王の一人にして、猪帝王のナニワはふんすふんすと鼻息を荒くする。見た目も相まって危険な香りだよナニワさん。
「ああ!もういいよ!俺は腹をくくるぞ!なんとくやりたいから世界征服するぞ!」
「「「「「よっしゃぁぁぁ!」」」」」
諦めた魔王様と興奮する魔王軍。こうしてここから魔王ネルが率いる変態魔王軍の世界征服が始まったのである!
「あれ?俺は?」
一人出番が無かったエックス君はポツリとせつなそうに呟く。無音薄影のエックスさんなので仕方ない事です。
「どうされたんです?魔王様」
「変態共(部下)の行動が俺を犯すことしか考えてないから現実逃避だ。気にするでない。」
「あぁ、魔王様は食べちゃいたくなるんですよ」
「お前もか!!?ブルータス!!」
「ブルータス?誰です?それ。それより目標でも与えたらどうですか?」
「すまん、こっちの話だ。目標。目標か。何か別の物を囮にして余の平穏を取り戻すと。」
「左様です」
「うーん。世界征服でもしちゃう?」
魔王ネルと小間使いのたわいのない日常的な会話
だがこの会話がこれから夢物語などではなく本格的に実行されて行くことは人類にとって不幸の始まりである。
こんな裏話があったとか無かったとか。