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夢の栞  作者: わた飴
2/2

~本の世界~


 第2話〔本の世界〕 




桜の夢を見た次の日栞を貰った骨屋の主に栞について詳しい話を聞くため、何時もより早めに家を出た僕の目の前に

店は無く、雑草だらけの空き地が広がっていた。



「昨日は確かに、店が在ったのに・・・」


 分からない事だらけで、本を読む気になれずハンカチで包んで置いた桜の花を見つめていた。


「ヒ~ ロ~ 君が本を読んでないなんて、珍しいしゃないか」

「佐々木・・・」

「午後から雨か雪でもふるのかい?」

「なんで理系クラスのおまえが文系クラスにいるの?」


 僕達が通う山外ヶ(サンガイカオカ)高校はそこそこ大きい学校で、同じ学年でも文系・理系・体育会系で授業内容や校舎の階が異なる


「ハハハハ親友にあいに来るのに、理由なんかいらないだろ~」

「・・・ 君、友達居たの?」

「うぐっ」


 僕の自称親友理系科2年C組佐々木雀之左(ササキスズノスケ)佐々木は雀之左や雀ちゃんと、呼ばれるのをいやがる



「友人の有無に付いては、緋色にだけはいわれたくたいよ、俺が外に連れ出さなければ一月以上家から出ないじゃないか」

「頼んで無い」

「俺達は小学校の頃からの付き合いじゃないか、頼まれなくても俺は緋色を外に連れ出すよ」

「・・・・・」 はぁあ

 強引過ぎてため息をながら桜を包み直し学ランのポッケに入れた。

「第一緋色は男の癖に白すぎなんだよ! 少しは日に当たらないと病気になるぞ、そうなって一番困るのは

妹の藍歌ちゃんじゃないか、お前も少しは兄として妹を安心させてやらないと、まずは外見だ外見!! 

そのボサボサの髪を何とかしろ、せっかくの髪質が台無しじゃないか!!(以下略」


それから佐々木は一回目のチャイムがなるまで、ずっと小言を言い続け一回目のチャイムがなると直ぐに自分の教室に帰って行った

何だか疲れた・・・・本読みたいな。


帰宅後僕は、本棚から赤い表紙の本を抜き取ったらそのままベッドに背中から倒れこんだ

「佐々木のせいでつかれた」



〔Andersen's Fairy Tales〕

「アンデルセン童話 ・・・・小さい頃、よく読んでたな」


うつ伏せに本を読みながら、まだ小さかった頃を思い出していた



 ~~回想~~


小さい頃父さんに、藍歌と一緒に本を読んでもらってたな、まぁ藍歌は1ページ読み終わる前に寝てたけど


「『おばあさんといっしょに、うれしい新年をむかえに、天国へのぼっていったかということも、だれひとり知っている人はありませんでした』おしまい。 ヒーくん、アーちゃんも寝ちゃったしヒーくんも、もう寝なさい」

「・・・・ぱぱ」

「どうしたのヒーくん?」

「どして、だれも女の子をたすけてあげなかったの?」

「それは・・・・」

「ガイコクにはキョーカイがあるんでしょ」

「ヒーくんは優しいね ・・・・良いかい緋色、大切なのはお話を読んでどう思ったか、お話のような事が本当に起きたら緋色がどうしたいかだ、緋色はどうしたい?」

「・・・う~ん?」

 「ふふっ、ヒーくんにはまだ少し早かったかな? おやすみヒーくん」 ポンポン


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~



「ヒーく~ん、アーちゃ~ん、ご・は・ん・だ・よ~ 下りておいで~ 今日のご飯はアクアパッツァとシーザーサラダだよ~」

本の三分の二読み進めた頃下から父に呼ばれ、手近な栞を挿んでダイニングに向かった


また、夢を見た、自分しか居ない真っ暗な夢、唯一違うのは寝るときには着ていなかったコートとマフラーにブーツを身に付けていた

「同じような夢なら・・・門があるはず」

何も見えない中以前のように、真っ直ぐ歩いていくと今回も門に行き着いた

「・・・・(なんだか、前より少し寒い)」 ギィィ

扉を開くと以前の鮮やかな桜並木とは違い、深々と雪が降り積もる町並みは美しく一枚の絵画のようであった

「・・・うぅ、寒い(海外? 日本じゃ無いよな?)」


周りを見渡しながら道を進むと回りの家々から暖かい光と料理の香りがあふれていた

「(クリスマス?) ・・・・ん?」 スン スンスン

美味しそうな匂いの中に何かを燃やした様な匂いを感じ匂いの元を探しはじめた

「・・・・女の子?」

匂いをたっどった先には小さな女の子が建物も影に隠れるようにうずくまっていた

『(どこかで見たことが有るような?)Do you ... okay?【君・・・大丈夫かい?】』

女の子の足元には燃え尽きたマッチの束がいくつも落ちていていたので、ここが何所の国か分からず英語で話しかけた

「・・・誰」

「(日本語!?)」

英語で話しかけたが、女の子から返ってきた言葉は寒さに凍え意識がもうろうとしている様だが、確かに日本語だった

「(声をかけちゃったけど、如何しよう)・・・・・・」

話しかけたわ良いが、妹や3馬鹿以外の女の子と話しをした事は無く、言葉がつまり何も言え無いまま自分のマフラーを女の子の首に巻いた

「暖かい」

「(不味い、この子3馬鹿とは違う)!!!・・・・・」  ワタワタ

「お客さんですか?少し使っちゃったけど、マッチならまだ有りますよ」

「(この子まさか!!)・・・・・・」 ワタワタ キョロキョロ

一つの可能性を思いつくも、僕は服のポッケを確認するも何も見つからず、何を思ったか僕は自分の着ていたコートを女の子に差し出してしまった

「えっ?」

「(えっ?! 僕、何してんの??)・・・・・」

「あっ!まっ、待って!」

女の子にコートを渡した僕はわけがわからず、最初に居た門の広場まで走って逃げた

「(寒い、早く戻ろう)」

寝巻き姿のまま雪道を走り続けると降り積もった雪に囲まれた門にたどり着き扉を開けた

「まって、天使さま!!」

「はぁぁ!!?」

門からの光に包まれた時、僕を追いかけてきた女の子がよりににもよって、自分を天使だなんて呼び驚きの声あげ光と共に現実に帰った



「はっ!」

目を覚ますとそこは自分のベットで、起き上がり時計を確認すると朝の5時過ぎをさしていた

「夢?・・・ピックッシュ」 サスサス

緋色は冷え切った体をさすり自分の周りを確認すると、足元に置いてある本に目が留まった、本は少し冷たく湿っていた

 パラパラパラ 「・・・・・やっぱり」

本をめくるとある物語の1ページには骨董屋で貰ったあの栞が挟んであった

「ただの栞じゃない・・・フックシュ、ズビ(あの女の子物語の登場人物だったんだ、そしてあの場所は本の)ん?」

本を見ながら夢について考えていると、本に違和感を感じた緋色は物語を読み直した

「(少女にコート差し出した少年は、白い門と共に光に包まれ広場から姿を消した)物語が変わってる」

夢の中での行動が物語りに影響をあたえたと知り、緋色は驚きのあまり声すら出なかった



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