第1話 ~栞と出会う~
第1話〔夢の栞〕
僕は、本が好き
漫画・小説・画集何でも読む、詩集やホラー・サスペンス・
ラブロマンス・ライトノベルにファンタジー、水彩画・水墨画・パステル画・油絵・写真集、何でも好き、最近、妹に進められ同人誌という二次創作物も読むようになった。
部屋中本棚に埋め尽くされ、机はもちろんベッドにだって、本が置いてある。
「・・・・ふっふぁ~」
本を読んでいて、いつの間にか朝になっていたなんてザラに有る。
制服に着替え、教科書と本の入ったリュックを持ってリビングに入ると父が新聞を読みながらパンにかぶり付いていた。
「・・・父さん、行儀悪いよ 後、新聞が汚れる」
「ヒー君にだけは言われたくないな、あと父さんじゃなくて、パパと呼びなさいパパと」
「・・・・いただきます」
「ヒークン ムシハ イクナイヨパパ キズ ツイチャッターヨ」
父のいつものおふざけをスルーしながら朝ごはんを食べ進めていると、妹が起きたようだ、2階が騒がしくなり始めた。
バタバタバタ
「パパ! 緋色! おはよう、そしていった行ってきます!!」
「ごちそうさまでした・・・・ 僕も、もう行くよ・・・ 行ってきます」
食べ終わった食器を片付け本を片手に、家を出た。
学校について最初にするのは学級文庫の整頓、それが終わると持ってきた本の続きを読み出す、文系のテストでも無い限り教室で僕に話かけてくる生徒はいないから、放課後までゆっくりと読書ができる。 これが、僕の学校での過ごし方
キーンコーンカーンコーン キーンコーンカーンコーン
《下校時刻です部活の無い生徒は速やかに.....》
「・・・・・・」
放課後帰宅部僕は本を読みながら学校を出た
「・・・・ んっ?」
しばらく歩いていると、古びた骨董屋の前で足が止まった
「・・・・(こんな場所に、店なんてあったっけ?)」
【骨董屋・夢】
建物の間にある小さな店舗、緋色はまるで見えない糸に引かれように、ゆっくりと中に入っていった。
店内は薄暗く
棚に置かれている壺や皿、絵画は長い間動かされていないと言うようにほこりで、真っ白になっていた
「・・・・・(埃っぽいな) ん?」
店内を見渡しながら進むと、大きな壷と絵皿の間に小さな小箱が置いているのに気が付いた
「・・・・ これだけ埃を被ってない」
「その箱が気になるかい?」
「のぁ!!」
不自然なほど綺麗な小箱を手に取って見ると、後から嗄れた声に話し掛けられた
「ヒッヒッヒ 学生さんかい?」
「・・・・ はい」
「そんなに警戒しなくても良い、ワタシは此所の主 だよ」
「(主? 普通店主とか店長てっ言うよな) あの・・・ 勝手にさわってすみませんでした」
主と名乗る怪しい老婆に、小箱を差し出すと老婆は受け取らず、首を横に振った
「その小箱を開けてごらん、もし小箱を開ける事が出来たら
中身を君にあげよう」
「・・・・ (まるで、小説のような言い回しだな) これ、売り物じゃないんですか?」
「ヒヒヒ ここは骨董屋だよ、小箱は商品にならんよ」
老婆の言葉に違和感を感じながらも、小箱に手をかけゆっくりと蓋を開けた
「・・・・ 栞?」
箱を中にはステンドグラスのような絵が書かれた、綺麗な栞が一枚入っていった
「・・・・綺麗」
ボーン ボーン ボーン ボーン ボーン
栞を手にとりながめて居ると店の奥から置き時計の時間を報せる音が聞こえてきた
「!! 僕、もう帰ります」
長い時間、店にいた事に気が付き僕はあわてて店を出た
「その栞はただの栞じゃない、 ・・・・大切におし」
帰宅後すぐ部屋で着替えた後、数札の本を持ってリビングのソファーに座った
「おかえり~ 今日は珍しく遅かったじゃん、めっずらし~」
「ただいま、骨董屋のお婆さんに栞を貰って、少し話してた」
「骨董屋? そんなの近くにあったっけ?」
「歯医者の向かいにある、ビルとビルの間」
「え~ 私知らない、本の読みすぎで、夢でも見てたんじゃない? もしくは、心霊体験とか! キャーお化け♪」
「・・・・夢?」
妹は楽しそうに夢だお化けだとか騒いでいる横で、僕は手元の本を開いた。
「(夢、じゃない)」
沢山の油絵が紹介されているページに骨董屋で貰った栞が挟まっていた。
周りが見えないくらい、真っ暗な場所に立っていた、ゆういつ見えるのは、自分の足下の細い道だけだった。
「何処、ここ?」
見えないはずの道を真っ直ぐに歩いて行くと、目の前に店で貰った栞に描かれていた、門が見えてきた。
「・・・・これは、夢かな? ・・・・夢だなこれは」
ギィィィ~
自問自答していると、門はひとりでに開き始めた
「門をくぐると、そこは桜の木があった・・・ 何てね」
門の向こうには、色鮮やかな桜が咲き誇っていた
「シダレザクラにソメイヨシノ、これはエドヒガンかな?」
薄紅色や桃色、白い花が咲き鮮やかな花吹雪に包まれた
「・・・・ 春風の 花を散らすと 見る夢は さめても胸の さわぐなりけり」
空をおおう木々を見上げ、何かの本で見た短歌を口ずさんだ
「(少し、歩いて見よう・・・) まるで、絵の中だな~」
桜並木を散策していると、いつの間にか門の前に戻ってきていた。
門は開けた場所にあり門の裏は厚い石壁で、できていた
「(この門を通ってここの来たんどよね) あの栞の門みたいだな・・・・」
ギィィィィ
閉ざされた門を両手で押し開けると、隙間から眩しいほどの光が差し自分を包んだ
「・・・・・・・・リビング?」
目を覚ますと僕はリビングのソファーで寝ていた
「緋色~ 起きたなら、本片付けといてよ 私ご飯作るから」
「あっ、あぁ・・・・(さっきのは・・・ 夢、だよね)」 ヒラ
起き上がると持っていた本から桜の花びらがおちた
「あっ、・・・・桜」
本を開くと、夢に出てきた桜の木の絵と骨董屋で貰った栞と“沢山の花びら”がはさまっていた