首都奪還、状況
『オールチーム、スタートアタック』
バオォォォォォォン!
89式装甲戦闘車改が走り出した。
ガタン!ガタガタ!
「無限軌道は乗り心地が悪いわ」
「「だが、それがいい!」」
「雅人と宮崎は面白いところで気が合うな」
「だろ?」
『10式戦車が射撃態勢にはいるみたいだぞ』
「そうですか。車長、上部扉解放の許可をください」
『重MATを発射する。そのあとなら自由に開けてよいぞ』
『重MAT発射準備完了。発射!』
パスン!パシュゥゥゥゥゥン!
89式装甲戦闘車後部の乗員室上部扉をあける。
キュー、バタン。
「おっ、見えた見えた。重MATの命中を確認」
ズドンッ!
10式戦車が主砲を放った。
敵戦車を閃光が包む。
『戦車砲の命中を確認。敵戦車一両沈黙。続けて撃て!』
ズドンッ!ズドンッ!ズドンッ!
10式戦車の三連射。
『命中、命中』
「M1エイブラムスも発砲し始めたな」
『敵誘導弾感知!対誘導弾防護システム始動!』
パパパ、ズドン!
89式装甲戦闘車改の数メートル上空で敵の誘導弾が弾けとんだ。
バラバラバラバラ!
独立作戦群第一飛行隊のAH-1S3個小隊9機が誘導弾陣地攻撃のため飛び去る。
ダラララララン!
AH-1Sの機首から20㎜砲弾が放たれる。
『発見した誘導弾陣地すべてを破壊した。これより敵戦車の攻撃にうつる』
イスラム連邦は多国籍軍の攻撃によりその戦力を大幅に減らしつつあった。
「そういえばこの作戦に特殊作戦群が参加してるみたいだね」
「やっぱり、デルタと合同で?」
「だろうな。特殊作戦群の設立目的は対テロ戦用だったはずだが…」
『まもなく市街地だ。停止したらすぐに降りてくれ』
建物が建ち並ぶ市街地。道はいりくみ道幅は広がったり狭くなったりと様々。特に車輌は市街地での戦闘に弱いといわれている。
『こちら司令部です。全部隊に連絡。さきに米軍がはいるそうです。独立作戦群は米軍の後に続いてください』
目の前20メートルにM1エイブラムスと徒歩の米兵がいる。
「RPG!」
シュパァァァ!ドン!
ダダダダダン!ダダン!
『群一・一班に連絡!先頭のM1から履帯が切れたとの報告あり。直ちに救援にむかってください!』
「一班了解!いくぞ!」
ズドン!
RPGの放たれた方向にエイブラムスが主砲を撃つ。
ダダダダダン!ダダンダダン!
「オウシッート!(畜生!)」
10式戦車と89式装甲戦闘車改も応援に駆けつける。
「戦車回収車を呼んでくれ!」
「負傷兵3人!」
「そこの建物に入れろ!」
建物の中に入る。建物の入り口は89式装甲戦闘車改がふさぐ。
「取り敢えず手当てをしよう。彼を一番、その彼を二番、その彼女を三番と呼ぼう。俺と宮崎が一番を。二番を雅人と片木が。三番は涼香と柊が手当てをしろ」
一番の米兵のヘルメットにはジョン・ブラウンと名前があった。
「ジョン、ウェアワズインジャード?(ジョン、どこを怪我した?)」
「ワズトゥワイスツレッグスアーブローントゥブラスト(爆風に飛ばされて足をひねった)」
「一番、足をひねった」
「二番、腕を折った」
「三番、太ももから出血多量!」
「三番から手当て!XStatを使う!」
XStat…銃創に直接スポンジを注入する応急処置方法。15秒程度で出血を止めてしまう。
三番の銃創にポリカーボネート製注射器の先端を入れ、ピストンを押し下げる。
「よし、消毒をして包帯で巻いてくれ。二番は板か棒で固定だ。一番は俺がやる」
ジョンのブーツを脱がせる。捻挫のようだ。
適切な処置をし終え、89式装甲戦闘車改に運び込む。
「車長、怪我人を基地まで連れていってくれ」
『わかった。お前達はどうするんだ?』
「戦車回収車が来るまでここに残るわ」
『また戻ってくるからな、その時まで生きていろよ!』
そう言うと車長は合図を出して基地に向け、走り去っていった。
「司令部、聞こえるか?近接航空支援を要請する。繰り返す、近接航空支援を要請。場所は履帯の切れたM1戦車がいるところだ」




