作戦準備、開始
空挺降下からの基地制圧から一夜開け。
「もしもし?高山です」
制圧した基地にあった電話の受話器を耳にあてていた。
『群長の田中だ。昨晩はご苦労だったな。ところで、イギリスでもテロが起こったそうだ』
「はぁ、今度はどこが犯行声明を出したんですか?」
『東京と同じ、イスラム連邦さ。今度はウェストミンスター駅の構内で爆弾を爆発させた。ちょうど電車が入ってきたタイミングだったから民間人に多くの死傷者がでている』
想像できない程惨い状態だろう。
「で、用件はなんです?まさかSASと作戦行動を取れというわけでは…」
『そう、そのまさかだ。米軍はアフガニスタンの首都、カブールを制圧する準備に追われているため、人員を出せないそうだ。そこで、米軍と一緒に作戦行動を取っていた我々独立作戦群に声がかかったようだ』
SAS…世界で初めて特殊部隊と呼ばれるようになった集団。その始まりは第二次世界大戦の後方撹乱、レジスタンス育成の為とも言われている。
『それと、イスラム連邦指導者が初めて動画に出てきて名乗ったそうだ』
「なんと、なんと名乗ったのですか?」
『アル・カハードと。一応頭の片隅にでも入れておいてくれ』
そこで電話は切れた。
「で、群長はなんだって?」
「聞きたいのか?宮崎」
「そりゃ、そうだ」
予想通りの答えが返ってくる。
「ならお前が食っているそのレーションを寄越せ」
「ならいいわ。久しぶりの飯と情報なら飯を選ぶね」
「嘘だ。まずイギリスでもテロが起こった。次にイギリスはイスラム連邦に対し派兵を決定した。最後に俺達はSASと共同で作戦を行う」
「SAS?SASってあの…」
「そのSASだ」
「また大層なところを出したわね」
「まあ、アフガンにいたこともあるからね」
そこに一人の隊員が来て、
「高山隊長!日本から荷物が届きました!」
「ああ、ご苦労様。あとで取りに行こう、そう皆に伝えてくれ」
「はい!了解しました!」
「元気があっていいわね」
「…そうね」
様々なところから来た物資で基地はあふれかえっている。そのなかに一際目立ついくつかのJSDFとペイントされたコンテナがあった。
「瑞生、これじゃないか?えーっと、こうすれば…」
「落合はやくしろ!後ろがつっk…」
涼香の蹴りで、撃沈された片木…
「ああ、やっと開いた。えっと、積み荷は個人ごと段ボールに入れてあるな。よし、運び出すぞ」
60人の隊員がコンテナに群がる。
「中身はなんだろう。瑞生、ナイフ持ってない?」
「あるけど。それより宮崎、お前十徳ナイフすら持ってないのかよ」
十徳ナイフで封を切る。
「あれ?これはマルチカム迷彩だよな…」
中にはマルチカム迷彩の鉄帽、BDUが入っていた。
「瑞生、これもあんた宛よ」
「おっ、あれがやっと届いたか。サンキュー」
ずっしりとした別の段ボールを受けとる。
「中になにが入っているの?」
「少し前に頼んだコンバージョンキットだ。これをACRに組み込むとAK47のマガジンと、7.62㎜×39㎜弾を使えるようになるんだ。本当はSR-47やSCAR-47を使いたかったけどダメって言われてね… それと、長めのバレル(銃身)」
「そういえばこれ、MAGPUL製ね。ACRってたしか Remington社製じゃなかったかしら?」
軍や警察から大口の契約を受けられなかったなどの理由などで各種ライセンスをレミントンやブッシュマスター社にMAGPULは売却。そしてレミントンが軍用を、ブッシュマスターが民間用を製造している。
「こいつはMAGPULで製造したものだからMASADAと呼ぶべきなんだけどね。それに レミントン製だとバレルをすぐに取り替えられるクイックチェンジシステムや、7.62×39㎜弾が使えないんだ」
「へー、そうなの」
「そういえばお前宛のやつもあったぞ」
「きっとあれが届いたんだわ。早めに回収しなくちゃ」
そこへ司令部に待機させておいた隊員が走ってきた。
「隊長、連絡がきました。すぐにウズベキスタンのカルシ・ハナバード基地に来るようにと」
「移動手段は?」
「まもなくオスプレイが来るようです。それに乗り込めと」
「わかった。聞いたな?今すぐに移動の準備をしろ!はじめ!」




