帰還
翌日、食堂で食事を取ってるとテレビにニュースが映し出された。
『政府はPKO活動の一環としてタジキスタン国内のインフラ整備に自衛隊を派遣することを決定しました。これにともない円滑に部隊を配備するため、現地で展開している戦闘部隊を撤収する方向でタジキスタン暫定政府と調節をしています。次のニュースです…』
「なー、宮崎。これってそろそろ日本に帰れるってことじゃね?」
「そうだな、片木」
そこに連絡係が歩いてきた。
「群一一班の高山さんですね、群司令部からの命令書です」
一枚の紙が渡される。
「どうも」
紙を受け取るとさらに連絡係が続ける。
「それと班員の柊さんが退院なされたそうです。それでは失礼します」
「よかったわね、瑞生。それでそれはなんなの」
渡された文章を読み上げる。
「辞令、独立作戦群第一大隊および第二大隊は日本へ帰還せよ」
「ということは…」
「日本に帰れる!」
それから二週間後、ホームベースである浜松基地に到着した。
人員補充が早速行われ、柊が戻ってきた。
そして、アフガンとタジキスタンに派遣される前から各小隊の一班二班にて行われていた個人携行兵器評価が終了、89式小銃、5.56㎜軽機関銃(MINIMI)、64式小銃、M24対人狙撃銃と9㎜拳銃に戻された。
『諸君、今回の派遣、実にご苦労だった。我が独立作戦群は初の海外派遣をやってのけた』
群長が全員の前に出て労をねぎらう。
『また、一週間ほどの休暇をとれるようにしておいた。戦闘での疲れを癒すようにしてくれ。以上だ』
集団は解散、基地建屋内の娯楽室に行こうとすると涼香がにやにやしながら寄ってくる。
「ねえ瑞生、休暇はどうするつもりなの?」
「とりあえず実家に顔を見せることにする。他は趣味に使おうかなと」
すると涼香はすこし拍子抜けした顔をする。
「あぁ、あと柊と出ようかなと…」
「そう、頑張りなさいね」
そう残して離れていった。
翌日、柊と外出するために当直から外出証を受け取り、駐車場に停めていた愛車のパジェロに乗り込み、基地の営門にいる警衛に外出証を見せる。そして営門から外へと出る。
「久し振りに外に出たな。どこに行こうか」
助手席に座っている柊に聞く。
「海、海がみたい」
柊が希望する海をみるために海沿いの国道1号線へと車を進める。
様々な自動車の列に混じりながらパジェロは快走する。
途中、道の駅潮見坂のベンチに座り、海をみる。隣に座る柊は売店で購入したソフトクリームを美味しそうに食べる。
「たまに海を見るのはいいなぁ」
「うん」
そこへ突然二人の携帯電話が鳴り出した。




