背後から
「中国が捕虜開放と多国籍軍のタジキスタンから撤退を交換条件として提示してきた。飲めない場合は捕虜を殺害するとのオマケ付きだったが」
民間人救助で一人捕虜をとったのと同じようにあちらも捕虜をとっている。そして捕虜の殺害は基本的に禁止されている。
「中国の暴挙を決して許してはならないため、米軍、英軍の特殊部隊は我々と合同で捕虜の救助をする」
人民開放軍と戦闘が始まってからすでに数日、死傷者は双方数百人単位、捕虜は十人単位で出ていた。
「今回参加する特殊部隊は自衛隊の強襲隊、米軍のNavy SEALs 、英軍のSASの三つで作戦が行われる。強襲隊は救助ではなく、敵後方攪乱を担当する。中国の補給車列を攻撃、敵司令部を混乱させ、それに乗じて捕虜救助を開始することになっている。幸いにも補給車列の通行する時間はわかっている」
「強襲隊の方が奥地にいってるじゃないか」
「そうだ。今作戦に参加する強襲隊は第一一強襲隊、第一二強襲隊の二班。侵入方法はHALO降下にて敵後方に降下する。各自、必要な物を揃えて待機せよ」
「東山、東山熊樹、居るか?」
「ここだ、ここ。車列攻撃の準備をしていたんだ」
「第一二強襲隊のやつらが探してたぞ、隊長さん」
「そうか。とりあえず俺が予想した車列にあわせていくとC-4とFFV013を多数用意しないとな」
「ひさしぶりにFFV見たけどやっぱりクレイモアより大きいな」
FFV013はスウェーデンで開発された指向性対車輌地雷であり、陸上自衛隊では『指向性散弾』という名前で採用されている。
「埋めたC-4で前後の装甲車輌を攻撃して、敵が飛び出てきたところをFFVで仕留める…どうだ?」
「いいねぇ…ゼロダークサーティーに簡易飛行場だ」
「了解、それまでに必要なものを準備する…」
ゼロダークサーティー…午前0時30分、簡易飛行場にパラシュートを着けた状態で集まった。
「作戦内容の確認だ。攻撃地点付近にHALO降下した後に爆発物を設置し、敵車列を攻撃する。敵を全滅させるのではなく1~2台は残して敵司令部に通信をさせる」
「よし、わかったな。輸送機に乗り込め 」
駐機場にいたC-2に乗り込む。C-2は滑走路に移動、そして飛び立つ。
『まもなく作戦区域上空。最終チェックを開始せよ』
「落下傘装着よし、酸素系統よし、高度計確認」
「高度計よし」
隣の雅人の装備を触って確認する。
「落下傘装着よし、酸素系統よし、高度計確認」
「高度計よし」
こちらの装備を雅人が確認する。
ウィィィィン
後部ドアが開放され、グリーンランプが点灯する。
『グリーンランプ確認!降下開始!』
この一声で皆機外に飛び出す。
高度計の値は吹き飛ぶように減っていく。目標高度に到達し、開傘コードを引っ張る。
ドサッ
着地、暗視装置を装着。周囲を警戒し、その間に涼香と第一二強襲隊の一人がパラシュートを畳む。
「全部畳み終わったわ。これを見つからないように擬装しなさい」
「あいあい」
擬装ネットを掛けて人工物とはわかりにくくする。
『こちらキャリー1、CADSによる投下を行う』
今回使うCADSのコンテナは簡単に解体できるものを試験的に導入した。
「コンテナを確認。扉が開いている…?」
コンテナは誘導された通りに着地する。
「中身を確認」
「欠損無し、これよりコンテナを解体する」
コンテナの中で紐を引っ張り、解体する。
シュボッ!シュー!パシャンパシャン
一面づつ解体された。
「早いな…」
「たしかテルミット反応を使って切断するんだったかな?反応の火が明るすぎるな…」
待ち伏せをする場所に移動する。
「今から指示する場所に爆発物を設置しろ。ここ、こことあとあそこら辺に」
爆発物を設置し、一時間後…
「ライト確認…先頭に装甲車輌」
「よし…やれ」




