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J-Guns!  作者: オタリックス
タジキスタンへ
14/38

国境警備に

前方作戦基地アルファに帰還してから丁度二日。食堂で朝食をとっていたところに雅人がやってきた。

「よう瑞生、2つの情報を仕入れてきた」

「そうか、1つ目は?」

「地上部隊にあまり被害がでなかった理由。まあアル・カハードがほとんどの武器を兵隊から取り上げて家に帰らせたんだと」

アル・カハードは拘束されてからCIAなどに取り調べを受けているらしい。

「で、出た被害が転んで腕を骨折が一件、現地の子供たちが投げた石があたってケガしたのが二件、地雷を踏んで脚吹っ飛ばしたのが一件だけだと」

「最後の一件が一番最悪だな。2つ目は?」

「それはだな…イスラム連邦の残党がわざわざ中国まで行って自爆テロをした。中国は激怒して『報復する』とか言ってる」

「こっちこないといいけどな」

「瑞生~!どこにいるの~?」

「ここ、ここだぞ涼香!」

「あっ、いたいた。明日の任務が変更になったわ」

「どんな風に?明日の任務はドゥシャンベの治安維持だったはずだが」

「それがどうも中国が東トルキスタン共和国の方へ侵攻しようと準備をしているみたいなの。独立作戦群第一大隊全部が移動して国境付近で活動している多国籍軍の支援をするみたい」

タジキスタンと国境を接していた新疆ウイグル自治区は東トルキスタン共和国として独立していた。

「移動方法は…?」

「勿論、空挺降下よ。クロブ基地に朝一で移動。その後、第一輸送隊のC-2に乗り換えてタジキスタン国立公園より東側にある基地に空挺降下みたい」

「たしか…世界遺産だったよな。さぞかし綺麗なんだろうな」

「今日の夕食までに概要をまとめて大隊全員に伝えよう」


ゴォォォォ

『サイドランプを開放する』

ランプが赤から緑に変わる。

「了解。独立作戦群第一大隊、降下開始」

いつもの空挺降下のように亀の子の状態になる。

規定の高度に達したときにパラシュートの開傘コードを引く。

着地地点は安全な味方の基地内。

数分かけて地上に着地する。

輸送機は1個大隊を降ろすために何度も同じコースを往復していた。

「全員降りたか?」

「第一小隊総員60名、現在60名。欠員なし」

『第二小隊総員60名、現在60名。欠員なし』

そして第六小隊まで点呼が終わる。

『物料傘を投下する』

乗ってきた輸送機とは別の輸送機からコンテナが投下された。

『CADSによる誘導を開始』

CADSと呼ばれる装置によって地上からコンテナが誘導され、着地した。

個人携行外の武器、弾薬や食糧などが満載されていたコンテナの封を切り、中の物を取り出す。

「ん?GM6?ハンガリー製の対物ライフルがなんでここに…?」

GM6…ハンガリーのSERO社が開発した最新のブルパップ式対物ライフル。射撃をすると銃身が後退して反動を緩和するシステムを搭載している。

「…それ、私がつかう」

「柊のものか。実地試験としてつかうのか?」

「…そうみたい」

「そうか。射撃訓練しに行くか?」

「一緒に来てくれるの?」

柊の目が輝いている。

「ああ、実際に射撃しているところを見てみたいからな」

こうして射撃場に向かうことになった。

「ウェアイズシューティングレンジ?(射撃場はどこだ?)」

「イットイズザアバトメントディスロードイフザシューティングレンジ(この道のつきあたりが射撃場だよ)」

「サンクス」

射撃場に到着、訓練内容を責任者に報告し訓練を開始する。

「ほら50口径弾。これを使うんだろ?」

「そう。十連のマガジンが5つあるから、50発用意して」

なんだか柊が生き生きとしている感じがする。

マガジンに弾薬をいれ終わる。

「全部はいったな。さっ、レンジへ入ろう」

柊はコクンと頷き、GM6を持ち上げる。

「…重い」

GM6は11.5㎏。普段柊が使っているSCAR-SSRの約三倍ほどの重量がある。

「俺が持つよ。どこのレンジに入る?1㎞レンジもあるみたいだけど」

「1㎞も?そこに入りたい」

1㎞レンジに入ることにした。

置いてあったマットを敷き、準備をする。

1㎞レンジはその名の通り一番後ろの標的までの距離が1㎞あるとても長い射撃場である。

「じゃあ、スコープをゼロインするか」

GM6の銃口からマズルブレーキを取り外して専用の器具を挿入し、スコープの中心をあわせる。

「ゼロインできた。準備して」

器具を抜き、マズルブレーキをもとに戻す。着弾観測をするため、スポッティングスコープを用意する。耳の保護のため、イヤーマフをするのも忘れない。

「こっちも準備完了。装填後、取り合えず何発か撃ってみて」

柊はGM6のボルトハンドルを引き、装填する。

カチャン

「撃つよ」

ズドン!

ガシャコン

弾が発射され、バレルが反動を緩和するために後退する。バレルの後退が止まり、前進を始めると共に次弾が装填される。

「…」

「…凄い。バレットより凄いなこれ!」

「うん、次いくよ」

ズドン!

ガシャコン

ズドン!

ガシャコン

「次は標的を狙って。100メートルのやつ」

ズドン!

ガシャコン

そして遠くからカーンと音がする。

「命中。次、200メートル」

ズドン!

ガシャコン

スポッティングスコープで200メートルの標的を見るとちゃんと命中していた。

「命中…スゲェ。よし、次は飛ばして500メートル」

ズドン!

ガシャコン

「命中。次は700メートル」

ズドン!

ガシャコン


結果、指定した全ての標的に命中した。

「凄いな。バレットでもここまではいかないだろうな」

「うん。そうだ、瑞生も撃ってみる?」

「いいのか?なら撃たせて貰おうか」

マットに寝そべり、GM6のストックにしっかり肩付けする。

「撃つぞ」

ズドン!

ガシャコン

「凄いな…反動が腰まできたぞ」

「ホント凄いね」

「完全に使いこなすまで訓練を続けるぞ」

「えっ、ちょっと…」

途中、休憩を取りながら夜まで訓練を続けた。


翌日

「瑞生と柊に特別任務だって。詳細が書かれた書類がこれね」

「へ?まだここに来て一日しかたってないぞ」

「ほら、到着してすぐに射撃場に行って一日中やってただろ?あれが作戦参謀の目にとまったんじゃないか?」

柊はこちらをジト目で見ていた。

「どんな任務だ?えっと、イスラム連邦残党指導者の狙撃任務。ツーマンセルで狙撃位置につき、残党指導者を狙撃するという任務だと」

「…どうやって狙撃位置に行くの?」

「えっと、夜間にヘリを使い狙撃位置から2キロ離れた所まで移動して、そこから徒歩機動であらかじめ決めておいた所に行く。終了後は無線で連絡して迎えを待つ…」

「…撃ったらすぐに逃げなきゃダメ。すぐに敵も来るから」

「近くに俺達が乗ったMRAPを待機させるのはどうだ?これなら回収するときに襲われても残りの俺達で反撃できるが?」

「どうする?柊」

柊はコクンと頷いた。

「よし、行く時はヘリで、帰りはMRAPだ。さっ、準備準備」

必要な物を揃えるため、席から立ち上がった。

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