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J-Guns!  作者: オタリックス
タジキスタンへ
12/38

車列とともに

ヌレークダム…1961年に旧ソ連により着工、1980年に竣工した世界で二番目に大きいダム。完成から30年以上たったいまでも貯水を使って発電や、農業の灌漑に使用されている。


「独戦群に貸し出すはずのハンヴィーが使えなくなった!?」

雅人は驚く。

「はっ、はい、なんでもクリャブでおきた自爆テロの現場に行くために乗っていってしまったと…代わりにMRAPを貸し出すようです」

MRAP…米軍のイラク駐留でIED(即席爆弾)による被害が増加したため、その被害を最小限にするために開発された車輛である。

「あるだけマシだ。独立作戦群第一小隊一班、出撃します」

ハンヴィーやMRAPが並べられている駐車場へ移動する。

「瑞生、俺が運転する」

「わかった。そうするとナビゲーターと銃座に誰が座るかだな…」

「ナビゲーターは私がやるわ」

「あとは銃座だが…俺がやろう。運転手が雅人、ナビゲーターが涼香、銃座が俺」

「じゃあ、後部ハッチを開けてくるな」

雅人はMRAPに乗り込み、後部ハッチを開放した。

「中はそれなりに広いな」

銃座につく。M2重機関銃と射手保護のための防弾設備が取り付けられていた。

「えっと、このレバーを動かせば旋回するんだったよな」

右手の辺りにあるレバーを操作すると銃座が旋回し始めた。

『こちら雅人、準備はいいか?』

「こちら瑞生、準備完了」

カチャン、ジャリジャリ

M2重機関銃のトップカバーを開け、弾帯をのせる。

『こちら宮崎、柊と片木も準備完了』

『了解した。他の車輛へ連絡する』

『全車準備完了、出発します』

ガシャン!

コッキングレバーを引く。

MRAPは走り出した。

ゲートを抜け、一般道に入る。

そして…

「見えた見えた。あれがヌレークダムか…」

クリャブ市内で合流したロシア軍のGAZ-3937装甲車から無線が入った。

『アー、キャンユーシーザヌレークダム?(ヌレークダムが見えるか?)』

『瑞生、ヌレークダムが見えるか』

「見えるぞ」

『イエスウィーキャン(見える)』

『デカイな~。どのくらい高いんだ?』

「たしか…300メートルぐらいだったはず」

荒野とダムと民家が見えるだけ。

『しかし、民間人の姿が見えないな』

『そうね、なにかあるかもしれないわ…』

双眼鏡で辺りを見回す。

「民間人を発見。携帯電話を持ってる…?アイファウンドアマンウィズモバイルフォン(携帯電話を持った男を見つけた)」

IEDには携帯電話を使って起爆するタイプのものが存在している。

『ラジャー』

先頭を走るハンヴィーから返ってくる。

「雅人、車を停めろ。片木、宮崎は携帯電話を持った男を確保しろ」

『了解』

MRAPが停車し、二人を降ろす。そして俺は二人の援護のため、銃座を旋回させる。

「ドントムーブ!ドントムーブ!(動くな!動くな!)」

車列は俺達を追い抜いていく。

それは全ての車輛が俺達を追い抜いてすこしたったときだった。

ズドーン!

大きな音がした。

『敵襲!IEDだ!』

「宮崎、片木!今すぐ帰ってこい!」

『わかった!』

路地から宮崎達が出てくる。その後ろには数人の武装した男達がいた。

「クソ!敵だらけだ!」

M2重機関銃で男達を撃つ。

ドドドドドドドドン!ドドドン!

数人を仕留める。

「雅人、後部ハッチを開けろ!」

『わかった、すぐに開ける!』

『RPG!』

バシューン!ドン!

車体側面に命中する。

「あぶねぇ!柊、後部ハッチから二人を援護するぞ」

「…了解」

ACRに弾薬を装填する。

後部ハッチが開く。すぐにかけ上がってくる。後ろの武装集団に向けて引き金を引く。

ダダダダダン!ダダダン!

「雅人、出してくれ!」

後部ハッチを閉めながら走り出す。

「クソ!車列に合流することを最優先だ!」

銃座に戻り、旋回させる。

「涼香、どうなっているか無線で聞いてくれ」

ドドドン!

『クソ!道路にでてくるなよ!』

ドン!ウワァー!

「いま轢いたよな?!」

『道にでてきたからな!』

『車列のトラックが2台やられたって!周りを敵に囲まれかけているみたい!』

カカカカン

『車体に着弾!』

「車列視認!距離、100メートル!」

『クソ!なんでこんなに居やがるんだ!』

バラバラバラバラ

『こちら、第一飛行隊のランサー1だ。敵の位置を教えてくれ』

『こちら、群一・三班!車列を視認できるか?』

『車列を視認した。周りの武装集団を攻撃すればいいか?』

『そうだ!誤射に注意しろ!』

『了解。攻撃を開始する』

ダララララン!

『来たな…』

車列に合流を果たす。車輛から降りて応戦している班もいるようだ。

銃座から降りて車内にいる宮崎、片木、柊の方へ向く。

「わかってるな。いくぞ」

そこにはフル装備の三人が待っていた。

「雅人、後部ハッチを開けろ。外で応戦する」

ウィィィィィィィン

「行け!行け!」

道路脇にある建物の壁に張り付く。

「こちら群一・一班。これより敵の撃退を開始する」

宮崎は89式小銃を、道を挟んで片木はHK416を、柊はHK417A2を構えている。

ダダダダン!

『敵1名ダウン!』

ババン!ババババババババババン!

『ヤバ!弾が切れた!』

「片木、大事に使えよ!」

P-MAG(ピーマグ)を投げる。

『サンキュー、あれ?入らないぞ』

「おい、お前の416って416A5だったか?」

『違う、それとこれが関係あるのか?』

「後で説明する!背中のMINIMIをつかえ!」

『了解!』

ババババババババババン!

『こちらランサー1、前面の敵を重点的に攻撃をする。ある程度の敵を排除したら前進を開始せよ』

『エネミーズテクニカル!(敵のテクニカルだ!)』

『ランサー1、聞こえるか?敵テクニカルを攻撃してくれ!』

『了解した。攻撃する』

シュバシュバシュバ!ドンドンドン!

AH-1Sのロケット弾の音が響く。

先頭のGAZ-3937装甲車に走り寄る。

「ゴーゴー!ドントストップ!(行け行け!停まるな!)」

ブオン!ブォォォォォォン!

「こちら群一・一班01!車列が走り出した!至急自分達のMRAPに戻れ!」

自分達のMRAPに乗り込む。そして銃座につき、真後ろに旋回させる。

「ランサー1、ランサー1。こちら群一・一班01だ!車列を発車させた!援護を頼む」

『了解。援護に回る』

『左側面に敵テクニカル4台!荷台にZPU-2対空機関銃を搭載!』

全てのハンヴィー、MRAP、GAZ-3937がテクニカルに向け機関銃を撃ちまくる。

ダララララン!ダカダカダカダン!ドドドドドドドン!

多彩な射撃音

「片木!M320を貸せ!」

「ほらよ」

M320に40㎜擲弾を装填し、狙いをつける。狙いは敵テクニカル。

トリガーを引く。

ポコン!ズシャァン!

「クソ、外した!片木!」

「ほい」

薬室を開放し、新しい擲弾を装填する。

ポコン!ズシャァン!ズドン!

「いいぞ!高山!次だの擲弾だ」


擲弾を何度か発射し、敵テクニカルを2台破壊、1台を大破させ1台を追い払った。

そして、ヌレークダムに車列は到着した。

「すごい綺麗ね。別の星に来たみたい」

「ここは地球だ。青い生物はいないぞ」

「高山、なんでHK416NにはP-MAGが使えないんだ?」

「ああ、お前にわかるように説明するとだな…HK416NとM4のマガジンを入れるところの寸法の違いから使えないんだ。HK416Nは砂塵による作動不良を防止するために寸法がマガジンとキツキツになるようになっているんだ。P-MAGを使えるように改良したHK416A5やHK416Nなどで使える改良型P-MAGがほぼ同時期にでたみたいだが…」

「で、俺はどうすればいいんだ?」

「そうだな…改良されていないP-MAGの方が普及しているからな…HK416NからHK416A5に装備の変更をしたらどうだ?」

「HK416A5というやつに変えればいいんだな?」

「そうだ」

『群一・四班より全隊へ。まもなく目的地に到着する。降車の準備をせよ。以上』

「そういえばこのダムについたらどうするんだ?」

『独立作戦群第一小隊、聞こえるか?こちらは司令部だ』

「司令部から無線連絡ね。はい、よく聞こえます」

『ヌレークダムに前方作戦基地アルファを設営することになった。諸君らにはこの設営を手伝ってもらいたい』

「みんな、聞いたか?新しい基地の設営命令だ」

『二班了解』

『三班了解!』

『こちら四班、了解した』

そして…

『十班了解』

「よし、第一小隊、全班了解だ」

「こちら第一小隊、全班は了解した」

『ありがとう。先に礼を述べておく。ヌレークダムの改修と平行して基地設営は行われる。必要な資材などはヘリやトラックで輸送される。トラックで運ぶ場合は護衛をしなければならない。だが、これを怠ると、とたんに設営が遅れてしまうということを肝に命じておけ。以上だ』

「了解しました。これより第一小隊は前方作戦基地アルファ設営の任につきます」

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