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J-Guns!  作者: オタリックス
彼らはまた、銃をとる
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特別演習、開始

『間もなく当機は羽田空港に着陸いたします』

東京上空を飛行するジャパンエアサービス20便。

後少しで着陸というところで数人の乗客が席から立ち上がった。

すかさず客室乗務員が席に座るように促す。

「お客様、間もなく当機は着陸いたしますので安全のため席にお座りくださいませ」

だが座ろうとしない。それどころか歩くスピードが早まる。


「こちら羽田タワー、JAS20便どうした」

『あー、こちらJAS20便。緊急事態発生。ハイジャックを受けかけている』

「国交省、警察、首相官邸に連絡しろ!わかった、ハイジャック犯の要求は?」

『わからない。やばいぞ…扉に体当たりを始めた』

「犯人を刺激しないようにしろ!」

『り、了解…うわ!なにをする!やめ…』

着陸態勢に入った機がギア(着陸脚)を格納、機首を上げ始めた。

「JAS20便!どうした!応答しろ!クソ!」




「おーい、瑞生!朝メシに行こうぜ」

航空自衛隊と陸上自衛隊の共用基地となった浜松基地。そこが俺達のホームベースとなっている。

「後少し待ってくれ雅人」

「高山!俺はもう待てん!」

「片木も待ちくたびれてるぞ!」

「わかったわかった。すぐ行く」

ただの安隊隊員から陸自、米軍の特殊部隊に移籍した有事からはや数年。活躍が認められ、掛工卒業後に陸上自衛隊内に新設された独立作戦群からスカウトを受けた。

独立作戦群とは航空作戦、陸上作戦、補給を自分たちだけで行うことができる、いわば独立軍である。

配膳の列に並ぶ。

「夕方、富士演習場に移動らしいぜ」

「ヘリだよな?雅人」

「C-2」

「空挺降下かよ…現地の気象はどうなってるんだ?」

富士山の麓の演習場は天気が変わりやすい。

「それが晴天なんだと」


テーブルにつく。

「で、演習内容は?」

「バトラーシステムを使用した特科の対テロ訓練。俺達がテロリスト役」

「つまり、特科を殲滅するのが今回の俺達の任務ということだ!」

「おい片木、俺のセリフ奪うな」

雅人が苦笑を浮かべながら片木へ言う。

「あら、ひさしぶりじゃない?みんなで同じテーブルを囲むなんて」

「おお、ひさしぶり涼香。おはよう」

「おはよう、瑞生」

独立作戦群の訓練は様々な場所で行われるため、同じ小隊でも顔を合わせることが少ない。

『速報です。ジャパンエアサービス20便がハイジャックされました。それにともない、首相官邸で官房長官による会見がおこなわれる模様です』

「いよいよ日本も物騒になってきたな」


ブリーフィングが始まった。

『ブリーフィングだ。今回の任務は特科の砲陣地を破壊することだ。どんな手を使ってもいい。とにかく砲陣地を黙らせるのだ』

「降下方法は?」

『HALO(高高度降下低高度開傘)でだ』

「現地の気象は?」

『時たま山おろしの風が吹くそうだが』

「降下地点は?」

『砲陣地より南東に50キロの地点だ。いいな?よし!独立作戦群第一小隊、出撃準備開始!』


ほぼ半日後に新型輸送機C-2機内へと乗り込み、浜松基地を飛び立った。

「雅人、夕焼けが見えるぞ」

『ん?ああ、そうだな』

ヘッドセットから雅人の声が聞こえた。

『こちらパイロット、後少しで目標地点だ!降下準備しろ!』

「第一小隊一班了解!全員聞いたな!今回はHALOだ!酸素マスク、高度計チェック開始!」

「声が大きすぎて耳が痛いわ…もう少し小さく言ってくれない?」

「あっ…ああ。すまん」

『目標地点だ!サイドランプを解放する!』

サイドランプから下を見る。

「降下する」

C-2から飛び出した。そして亀の子のような態勢になる。そして続々と仲間たちが空中に躍り出る。最大時速200㎞超にもなる落下速度を調整しながら降下地点を目指す。

ぐるりと当たりを見回し、他の隊員との位置に注意しながら位置取りをする。

腕の高度計を見るとすでに1000mになっていた。腰のベルトから特殊な信号弾を取り出すとそれを地面に向けて放つ。

パシュッ!

地面についた信号弾は赤々と光を放ち始めた。

高度800mに達し、主傘を開くコードを引く。他の隊員も同じように主傘を開き、信号弾の元へと向かい始めた。


「01より全隊へ、班ごとに人数の確認を急げ」

無線を使い、すべての隊員へ確認を急がせる。

そして全隊員を確認すると信号弾を消す。

「物資投下用意」

今回使用する拳銃以外の銃、弾薬等などはすべてCADSと呼ばれる誘導装置がついたコンテナを輸送機から投下させ、それを回収する必要があった。

『了解、物資を誘導する…』

数分後、物資を満載したコンテナが地上に到着し、回収を始める。


『第10班、回収終了』

最後の班から準備が整った旨の通信が入った。

「これから夜が始まる。夜明け前に向こうに着くぞ」

夜間行軍が始まった。

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