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神ノ社  作者: 空橋 駆
1章 空に近き神社
3/36

3話 留まるのは何時までか

まず最初に言おう。


(どうして、こうなった?)


ありのままに今起こっている現実を話すとしよう。

なるべく簡潔に、なるべく適切に、なるべくしてなったと言われない語り口で。


一泊だけご厄介になるはずだった計画が、

いつの間にか数泊に変わっていた。

僕自身、何故こうなったのか不思議で仕方ない。


鳥居の外に出ようと思うと決まって、

巫女さんに遭遇し外出を押し留められたり、

里遠ちゃんから話がしたいと誘われて、あっという間に時間が潰れたり……


僕の意思がかなり緩かった事もあり、

気付いた時にはすでに日が落ちていたという状況を数回繰り返していた。

長閑な雰囲気に負けて、ずるずると数泊し続けている。


ここまで来ると反対に何か妙な力が働いているのではないか……

本当に変な力が働いているならばそれはそれで探究心に火が着きそうだが、

今のところは、建前上は、巻き込まれるつもりはない。


あ、駄目だ。知らぬ間に本音が出てしまったな。



繰り返していると気付いて、抜け出せた感覚になった瞬間があった。

気のせいではないからこそ、辿り着けた。


間違いなく今、僕は鳥居の前に立っている。

ここを潜って石段を降りれば……


(何処に、通じている?)


遠巻きに鳥居を見て思う。

こちら側には道が存在していたが、

僕が降り立った踊り場の先へと下る道はあったのだろうか。


(見えているだけで、通れなかったのかもしれない)


あの時、そう、あの時だ。

踊り場から後ろを見たが、その先は霧に包まれていた。

石段が何処に続いているか、確認していなかった事を後悔している。

だから再度確認してみたいと思う気持ちが強くなった。


巫女さんにも、里遠ちゃんにもそれを告げることなく……

僕は今、鳥居の先に足を踏み出したいと思いつつある。


今のところは眺めているだけで終わっている。

動けないのは……


「たびびとのおにーさん、あそんで~」


まあ、そういう事である。

その理由というのもまた、かなり滅茶苦茶で……


「とりいのそと、こわいところなんだよ」


という、里遠ちゃんの思い込みのような何かに巫女さんが同意し、

監視のような形で僕は里遠ちゃんに付き纏われているのだ。


多分その教えも含めて巫女さんが発端であろう。

自ら考えて発言しているとは到底思えない。


「遊んであげたい所なんだけどね。

 鳥居の外、ちょっとだけ見に行ってみても良いかな」

「だ~め~だ~よ~」

「危険かどうかを見に行く、それでも?」

「いっちゃだめ、ももこにもいわれてるの」


ああ、これは難しいだろうな。

振り切って何とかなるとは思うが、

後で説教でもされたら何をされるか判った物じゃない。


なら、近付ける事が出来る限界までは行ってみよう。

ということでここは旨く……じゃなくて、巧く丸め込まなければなるまい。


「ところで、怖い場所とは聞いているけど、

 里遠ちゃんは外の事を知っているのかい?」

「うぅー、しらないよ」


やっぱりそうだと思った。


「一緒に見てみるつもりは無い?」

「そとにでるの?」

「外の事も気になるけど、

 個人的には鳥居自体も結構気になっているんだ」

「とりい、みてみるの?」

「それなら大丈夫だろう?」

「うん」


二人で並んで、鳥居へと近付いていく。

そこから見える景色は……


何だろう、霧に包まれているかのように見えるのは気のせいか。


「たびびとのおにーさん、

 とりいのしたまで、いってみて」

「あ、ああ……」


僕はそのまま、鳥居の下に立ってみた。


(里遠ちゃんは怖いところだと言っているが、

 僕は間違いなくそこからやって来たんだよな)


下を見てみる。

石段が下に向かって続いているのはよく判った。

踊り場までは続いているが、その先は……


「霧に霞んで見えない……か」


石段の左右は、緑に包まれているであろう。

それくらいは何とか、見えない事もない。

だけどそれ以外の情報を手に入れることは出来なかった。


風も感じられない場所。

長居をするべきではないと思い、僕は踵を返した。


すぐ近くに居た里遠ちゃんが駆け寄ってくる。


「なにか、あった?」

「いや、何も……」


僕は、そう答える事しか出来なかった。


「僕が見た光景を、巫女さんは知っているのかな」

「ももこは……しらないかも」

「どうなんだろうね」


あの踊り場の先に、地上へと続く道はあるのだろうか。

それを巫女さんは知っているのだろうか。


今知る限りの範囲で考えて見ると、それが実在するとは思えない。

巫女さんは何も言わないが、何かを知ってはいる可能性は高い。

しかしそれを知れるのは、もっと親密にならねば無理だろう。


だからこそ、この場所で鳥居を見ているだけでしか居られない。


「たびびとのおにーさん、いっちゃ、やだよ?」

「どうして、そんな事を言うのかな」

「いっぱい、いっぱいおはなししたいの」


そう言ってくれるのは嬉しいんだけどね。

真剣な目で見つめられているのも判る。


だからこそ僕は悩んだ。どう答えれば良いのかと。

そこに、巫女さんがやってきてくれた。


「旅人さん、こんな所に居たのですか」


助かった。丁度良い所に来てくれた。


「僕はただ、鳥居を見ていただけだよ」

「うにゅぅ……」

「外に出るのだけは止めてくださいね。

 こちらにも、あちらにも戻れる保障はありません」

「ももこ、もっといっていいよ」


それを聞くのは何度目なんだろう。

ついでに、里遠ちゃんが全く同じ事を言うのも何度目だろう。

二人揃って、僕のことを心配そうに見つめている。


「それよりも僕としては、

 巫女さんにもう少し他の事を聞きたいと思っています。

 後で少し時間を取ってもらえませんか?」

「はい、構いません。

 私の部屋で話をした方がいいでしょうか?」

「そうですね」

「里遠ちゃんは?」

「おにーさん、がんばってね」


そのまま何処かへと駆けていってしまった。

恐らく自分の部屋にでも戻ったのだろう。


連れられてきた巫女さんの部屋。

何の変哲も無い、変わった所など殆ど無い場所。

里遠ちゃんの部屋も含めて、物が非常に少ないのは何故だろうか。

疑問に思ったが、それを聞くのは今でなくとも良いだろう。


「とりあえず、何をしていたのかをお聞かせ願えますか?」

「大体予想はついていると思いますが?」

「私は全知全能の神ではありません。

 旅人さんの行動を把握などできるはずありません」

「前後の行動からすれば予想ぐらい……」


意地汚く聞いてみるのもまた、人の本性を暴くのには最適なはずだ。


「仮に予想していたとしましょう。

 それでも直接聞かねば、失礼に当たりませんか?」

「それもそうだ」


なかなか切り崩せない、容易な相手ではなさそうだ。

だから今まで鳥居にすら近付けなかった。

策士はどちらだと問われれば、彼女の方だと僕は答えたい。


「鳥居の先を見てみたいと前から言っているので、

 その件で話をしたいと言えば良いかな?」

「はい、私もその件について聞きに来たと思って、

 部屋にお招き致しました」

「まさか招かれるとは思っていなかった」

「招いたのは初めてでしたね」


確かに、覚えている限りでは初めてだろう。

妙に記憶が曖昧なので怪しい気がしないでもない。

不思議なものだ、僕自身が馴染んでしまっているかもしれない。


「さて、世間話のようなそうでないような話はこの辺にして……

 本題に入りましょうか」

「もう少し話を……」

「本質に迫らせない為の時間稼ぎでもするつもりなら、下らない」

「もう少し、旅人さんの事を知りたいと考えてしまうのは、

 私のわがままでしょうか」

「気に入らないね。

 僕としては考えたい事が多いから、手早く済ませたい」

「容赦無し、ですか」


容赦が無いと言われれば少しは気になる。

まあ、今回は少々急ぎたいのだ。


「鳥居の先に行ったことはありますか?

 最近の話でなくとも構いません」

「いえ、鳥居の先に行く用事はありません」

「そうですか」


腑に落ちない。

いや、考え方によっては不自然とも思える。

だが、今回はあえて追及しない。

僕が知りたいのは……


「鳥居の先の世界については知っていますか?」

「私としても、随分前に見た限りの場所ゆえに、

 あまり詳しい事は覚えておりません」

「掃除などはしていないのですか?」

「境界の先の場所……

 故に、無闇に私が離れるわけにはいかないのです」


ああ、事情か何かがあるのだろう。

巫女である以上、神に仕える身だから制限が入っていても不思議ではない。

となれば、ここに巫女さんが来たのは随分過去の話になるのだろうか。

この辺は話を聞いても理解できそうに無い。


「踊り場にまで続く石段があるのは知っていますか?」

「初耳です」

「僕はそこからやってきました」

「踊り場から先には何がありましたか?

「確認していなかった。

 だから、確認しに行きたいと思って……」

「はい、そこから先については存じております」


つまり、僕が鳥居に近付いた理由は知っている。


「鳥居の下に立ち、外を見てました。

 全てが靄に囲まれて、何も見えませんでした」

「私も、そこまでは知っているのです。


 しかし旅人さんがその先の姿を見ていたとは思いませんでした」

「興味はありますか?」

「その事実だけならば、非常に興味深いです」


彼女達はこの場所から長い間出ていないのだろう。


「僕はその踊り場の先からやって来たのか……

 自信が持てないところがあります」

「記憶が不完全である限りは、思い出せないのでしょう。

 私にも、はっきりとした事は申せないのです」


これ以上聞くのは無理だろう。

必死になって答えてくれている巫女さんの表情が、

険しくなっていくのを見るのは、少々堪える物がある。


僕は軽く溜息をつくと、彼女は何かから解放されたかのように息を吐いていた。

ああ、圧迫的になりすぎてしまったのかなと、少し反省した。


「旅人さんは、ここに来たのは単なる偶然では無いはずです」

「根拠はありますか?」

「今はまだ、ありません。

 ですが、珍しい事があれば何かの理由を求めたくなるのです」

「面白い事を言いますね」


僕は笑った。これはとても興味深い。

そして、何よりも共感できる考えだと思った。


「ならば一つ問いたい。

 僕はあのまま石段を下り突撃したら、記憶を取り戻せると思いますか?」

「お勧めできない方法です。

 私事で恐縮ですが、旅人さんに行って欲しくは無いのです」

「何故?」


理由が知りたい。

ただの感情で物を言っているのだろうか。そうでないのかを。


巫女さんの目は全力で訴えかける、本気なのだと。

同じ視線を感じた覚えがある。確か……


「里遠ちゃんと同じ事を言っていますね。

 巫女さんの受け売りかと勘繰りたくなるほどだ」

「あの娘も、私と同じ事を言っていたのですか?」

「はい」

「そこまで勘繰らないでください。

 私は私ですし、あの娘はあの娘です。

 同じ事を言っているのならば、同じ考えに至ったに過ぎません」

「そうですか」


淡々と僕がそう返したのは、喜んでいいものかと思ったからに他ならない。

歩調を合わせているかのように見えながら、

互いが互いに思ったとおり行動しているだけなのだろう。

それでここまで似通っていると、不思議だと感じないのか。


(互いが互いの行動を深く知らない状態ならば、

 決して不思議な事ではないのだろうね)


可能性はあるが、聞き出すのは失礼になるだろう。


「境界を踏み越えているのです。

 その事の重要さを、忘れないでください」

「境界と言われても、僕にはよく解らない」

「鳥居の事です。

 もし踏み越えたならば、戻れない。

 その覚悟があるならば、行ってください」

「それで元の場所に戻れるのならば、

 記憶が戻る可能性も増えると思います」

「記憶は、そこまで重要ですか?」


巫女さんの言葉に、僕は何も返せなかった。


「記憶は、記憶でしかありませんよ?」


それは、認める。


「外に出た瞬間から存在が無くなるという危険性を感じませんか?」

「全く無いとは答えられそうにありません。

 その心が僕をこの場所に引き止めている力だとも考えています」


あの靄の中に紛れて、本当に抜けられるのか怪しいとも思っていた。

だから僕は大胆な行動を取れずに居た。

心の準備の方が、どうしても踏ん切りがつかなかった。


「そうです、だから私や里遠ちゃんの引き止めに引っ掛かっているのです」

「迷いを、捨てろと?」

「いえ、もっと迷っていただいた方が嬉しいのです」


ようやく自分の中でも納得がついた。

里遠ちゃんや巫女さんの引き止めを振り切れなかったのは、

彼女達の術中に自分から好き好んで嵌っていたからだ。


「一つ、お話をしておかねばならない事があります」

「いつになく真剣な目だね」


茶化したつもりだが、表情は揺るがない。

何かとんでもない話が来る覚悟は、しておこう。


「私達は皆、境界の中に取り込まれているのです。

 入りは何事も無く順調に参ったとしても、

 出る際に何かが起きても不思議ではありません」

「何か、とは?」

「この神社に尋ねてきた際に最初に言いました。

 ここには人が訪れようとはしないと」

「それもまた、境界が絡んでいるのかな」

「そうですね。

 ですが、境界が本当に存在するのかは……」


ああ、なるほど。

確認をしようとして外に出て消えてしまうと、

全てに於いて崩壊しかねないのだ。

どちらが行っても独りになる。

彼女達が確かめられないのも、無理は無い。


「ならば、お客様として泊まっていた僕が試しに行けば良い」

「結局、旅人さんは外に出たくて仕方ないのですね」


何かを諦めた表情で巫女さんは呟いた。

僕はそれを聞き漏らしてなど居なかったが……


「どうなんだろうね」

「その気持ちに、自信が無いのですか?」

「無い」


鳥居の外に出たいと思う理由は、

あまり迷惑はかけていられないと思っている事が発端となる。

それを考慮すると、二人が引き止めている時点……


(いや……違うな)


僕の事を迷惑と言わずに居て欲しいと言われた時点で既に、

こちらの建前は崩れている事に他ならないのだ。

純粋な好奇心の方が上回りつつあるのを、感じる。


「意外と、旅人さんは好奇心旺盛な方なのですね」

「何だろうね、僕自身ではよく気付けなかった事だけど……」


まあ、子供っぽいだけなのかもしれないね。

自分の外見を見て大体の齢を知った今なら言える事だが、

まだまだ少年から少しだけ離れたくらいにしか見えないのだから仕方ない。


「もし旅人さんがこの場所を知りたいと思ったならば、

 多分私は喜んで案内いたしますし、協力も致します。

 ですが、外に出るのだけは……」

「魅力的過ぎる提案を、ありがとう。

 面白そうだと思ってしまった」

「ですが、鳥居の外の方が興味深いのですね」

「その通り」


やはり、そこは揺るがない。


「私は、旅人さんが外に出て、

 記憶が戻らない上に、ここに戻れずに悲しむ姿を見たくないのです」

「決め付けるのは良くない。

 やってみなければ判断などできないだろう?」

「ごめんなさい、私にしか理解出来ないとても深い理由があります

 ですが、それは今の私には語ることができません」

「言いたい事が良く解らない」

「恐らく、私の予想は当たります。

 当たると知っていて、行かせはしません」

「根拠があるから、止める」

「そうです」


ならば示して欲しいのだが、それは個人的な理由で言えない。

矛盾しているかと思いながら、相反する事とも斬って捨てれない。


「もし僕がこの場所で二人と一緒に過ごして、

 もっと親密な関係になれたとしたら……」

「その時は、自ずと真実が表に出てくると思います。

 お願いです、もう少しだけ……」


真実があるのなら。

探究心をくすぐるような何かがそこにあるのなら。

不思議と、そちらの方に興味が向く。


「消えてしまう可能性が一番高いのかな?」

「恐らく、高いでしょう」

「そうか……冗談にしては、笑えないな」


笑えないが、自分が不安定な存在であるという認識は持っている。


「定まらぬ心では、境界を越える事は為らず……か」

「えっ……」


巫女さんが驚いた表情をしている。

僕は僕で、何故こんな言葉が飛び出たのか……


「もう一度、言っていただけますか?」

「いや、ごめん、覚えてない」


何かが僕の中から出てきたとしか思えないが、

それは一瞬の出来事だった。


「旅人さんは、悟っているのですね」

「まだ悟りを開けるほど生きたとは思っていないが」


思わず僕は苦笑いする。

まあ、僕の本当の年齢はどんなものか知らないのだけど。


「もしかすると、記憶の奥底、もっと深い部分で……

 私の知らない、色々な事を知っているのでしょう」

「ほう……」


なるほど、それは一理ある。

もしそうならば、自分を探る為ににもここに居る方が面白そうだ。


「性急な判断をする必要は無いね。

 もう暫くご厄介になるとしようか」

「はい、喜んで!」


満面の笑みで、巫女さんは答える。

何処か深い部分に、僕が僕である事を示す物がある。

それをもう少しだけ探ってみても遅くないと思った。


「ただ、本当に暫くの間だけです。

 期限は、とりあえず今のところは決めません」

「いつまでも、一緒に居てください」

「いえ、自分の気持ちに整理がついて、覚悟を決めて、

 あの鳥居の先へ行きたくなった時が、終わりです。

 それまで僕はここでご厄介になります」


本当にそんな日が来るのか、

言いながら不安になっているのだが……


「それまでは、お願いします」

「こちらこそ、よろしくお願い致します」


その時の彼女の笑顔は、少しだけ涙に濡れていて、

心の奥底で、綺麗だと思ってしまった。

何故かはよく解らないが、こんな笑顔を見せられて少し動揺している。

安易な気持ちで外に出ると言って笑顔を消し去りたくはない。


「それでは、話は以上と言うことで」

「はい……本当に、本当にありがとうございます」

「いえ、結局はこれも自分で決めた事ですから。

 これからも、よろしく」

「はい」


僕はそのまま部屋に戻った……

一人で少しだけ、考え事をしたかったからだ。


適当な事を言っているとは思えなかった。

巫女さんの話の全てが真実であるとは思わない。

しかしある程度僕の予感と合致している部分はある。


二人だけの場所の中に入り込んだ僕という存在。

それを好意的に捉えられている限りは……

離れない方が良いのではないかと思う。

その存在だけで、安心できるのだと言うのならば。


記憶の為だけに己の言い分を貫く……

だからなのか、嫌悪する心が出てきたのは。

一晩ではなく幾度も、同じ釜の飯を食べた相手なのだ。

そんな相手を見捨てる可能性のある選択肢は、取れない。

そこまで僕は、非情になどなれそうにない。


それに、二人の関係には妙に溝らしきものがあると感じる。

その正体を掴み、解決してみるのも面白いだろう。

残るならばそれなりに何かをやりたい。

この場所、結構気に入ったからだ。


そんな事を考えていた。


多分、今後……

僕はこの場所に延々と居続ける事になるかもしれない。

そんな予感が、していた。


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