《Hope of the future online》
VR物が大好きで読み漁っていた日の事です。
『凄い数のプレイヤーが感電死するなら、1人位生き返ったりしないかな?』
と思い立ちまして。どうせだから、と色々妄想を詰め込んだ結果こうなりました。
《Hope of the future online》という3世紀未来の地球を舞台にしたVRMMOがあった。襲い来る未知の怪物達に未来の技術を使って抵抗するというストーリーは所謂SF好きな人達には大好評であったが、何より斬新な成長システムが多くのゲーマーの興味を惹いた。それは、レベル無しステータス無しに加え物理法則を無視したスキルの廃止である。
《Hope of the future online》、通称《熱4》の攻略の鍵を握るのはバトルアーマーと呼ばれる防具である。熱4の防具は部位毎に分かれておらず、基幹スーツと外皮、防骨格の三種類に分かれている。基幹スーツで能力的な補助を、外皮で耐久力の補助と見た目を、防骨格で耐久力を補うシステムなのだ。だが一番忘れてはならないのは、増設ユニットの存在である。跳躍力強化や筋力強化などのパッシブスキルから各種武器の攻撃技などのアクティブスキルまで全てが増設ユニット扱いになっていて、それらは防骨格に接続する事で効力を発揮する。つまり、スキル選びが非常にシビアなのだ。
熱4で一番特徴的なのはその成長システムだろう。熱4にはステータスが存在しない。だが怪物達であるエネミーは非常に強力だ。普通の人間ではプチンと潰されて終わりだろう。だからプレイヤー達は、自身を強化する。エネミーの討伐やショップでのアルバイトで得られるポイントを消費して神経の伝達速度、筋力の出力、皮膚の耐久性を底上げするのだ。この成長システムの珍しさが熱4に300万人ものβテストプレイヤー候補を呼んだといっても過言ではない。
だがこの熱4、発売から僅か2日で発売禁止命令が下っている。その理由は、熱4に不正アクセスが殺到した為とされている。だが実際は、何者かが熱4のシステムを不正に改竄した為だ。改竄したといっても所謂チートではなく、1つのシステムを増設したのだ。
その名も《nightmare is Dream》直訳すると《悪夢は夢》となる意味不明なシステムは、βテストプレイヤー5000人を恐怖の悪夢へと誘った。つまり、ログアウト不可能のデスゲームと化したのだ。
この物語は、熱4に囚われた5000人がまだゲーム世界で必死に生き延びている時期に、現実世界で始まる。