Solo
知っていたけれど気づかない振りをしていたし、それは当然の事だと思う。
-al fine-
「死姦だってね。おっかない世の中になったもんだよ、本当。」
「…今までもこんな事件あったんじゃない。日本の警察が無能だから見つけれてないだけでしょ。」
言いながら、篠田は席についた。
俺も荷物をおろして席につく。
店員が機械的な動きをしながら、メニューの説明をする。
メニューを手に取り、篠田は目線を走らせる。
「腹減って無いって言ったじゃないか。」
「減ってはいないけど、食べないと死ぬだろう。」
「…死体の話をすると、なぜか腹が減る。」
「…貴様、下衆だな。」
「お互い様だろう。」
結局篠田は料理を決められず、俺と同じものを注文した。
目の前に焼かれた牛の死骸が2個置かれた。
篠田は、黙々と食べ始める。
そもそも、俺はなぜ篠田とレストランにいるのだろうか。
今日は早く家に帰り、明日提出のレポートを進める予定であった。
「篠田はさ、門限とか無いの。」
「無いよ、お前は。」
「俺、一人暮らしだから。」
そんなことも知らずにこいつは俺の友達をやっているのかと思うと、なんとも言えない気分になった。
しかし、俺も篠田の名前くらいしか知らない。