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遠花火

作者: しらま
掲載日:2026/08/04

今日はなぜだか近所に人が居なくて、とても静かな日だ。

何か大きなイベントがあるのかとも思ったが、どのみち人が集まるイベントは私には向いていない。


今なら静かな近所を独り占めだ。 と思いながらスマホのスクリーンを同じ軌道を描きながらなぞる。

何かしなくては。と思いつつも、なにもできていない。


そんな事を考えていたら、突然何かが破裂したような低音が聞こえた。


なにが起きたのか、と外にでると、毎年恒例の花火大会の音だったのだと分かった。

小さいときは毎年欠かさず観に行っていた。 いつからだろう?観に行かなくなったのは。

花火を観ることよりも、スマホの上で指を滑らせるのを優先するようになったのは。


どうせ今から行っても間に合わないだろうし、家の近くから観ることにした。


遠くから観る打ち上げ花火は、所属していない寂しさを感じるんだと思っていたが、意外にも他人の幸せを端から眺めるような、史上最高のハートウォーミング映画をみた後の、極限まで尊くて泣きそうな、寂しさにも似ている感情と、文学的な、詩でも書きたくなるような気分が混ざった、新しい感情になった。


今だけはスマホも、バイトも、いろいろな不安を忘れ去ることが出来た。


花火が終わって帰るとき、少しだけ体が軽くなったように感じた。




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