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3.疑念

リリアナと再会してから数日後、俺は再び彼女の元を訪れていた。採集の依頼をこなす名目だが、真の目的は彼女と接触する機会を増やすことにあった。


「アルフレッド、また君か。最近ずいぶんと頻繁に依頼を引き受けてくれるね。」

リリアナは少し驚いたような顔をしたが、すぐに表情を緩めた。


「君がいると助かるよ。」


「お役に立てているなら何よりです。」

俺はできるだけ自然に振る舞いながら、依頼品を彼女の机に並べる。


部屋の隅には初めて見る助手と思しき青年が一人、黙々と薬品の調合を行っている。細身の体つきに落ち着いた雰囲気を纏う彼は俺が来てから一度もこちらを振り向かなかった。

 

「彼は助手をやってくれている、イヴァンだ。おいイヴァン、この人が私の言っていたアルフレッドだ。挨拶ぐらいはしとけ。おい、聞いてるのか?はぁ、まあいい。ぶっきらぼうだが、いいやつだよ。」


「そういえば、少し厄介な調合をしているんだ。君の手を借りてもいいだろうか?」


リリアナはそう言うと、小さな瓶をいくつか手に取り、俺に説明を始めた。どうやら毒性の高い魔法薬を扱っているらしい。その用途を問うことはしなかったが、彼女の表情からは真剣な意図が読み取れた。


「慎重にやれば問題ない。これは国全体のためにも必要な研究なんだ。」

リリアナの声には強い決意が込められている。しかし、助手のことが少し気になった。


俺が視線を送ると、青年はようやくこちらに気づいたのか、冷たい目を向けてきた。その目には、どこか不気味な光が宿っている。


「おいお前、ミスには気をつけろよ。」


低い声で警告してきた彼はそれ以上何も言わず、再び調合に戻った。


___________


「おいそこの兄ちゃん!こっちの商品買っていかないかい?」


「今日は上物が入ったよ!見ていきなよ!」

 

リリアナの手伝いが終わり、市場へ買い物に来た。いつも活気に満ちていることには感心する。少し暖かさの中に鬱陶しさも感じるが。

日用品を買った後、ここ最近よく訪れている酒場を訪れることにした。


【龍の御手】


なかなかに変な名前だとは思う。


「いらっしゃい!」


「シチューを頼む」


「あいよ!シチュー一丁!!」


ここのシチューはかなりうまい。具材に豆が入ってるのがいい味を出している。

料理を待っていると、隣の席の冒険者らしき人物が話しかけてきた。


「なぁ、兄ちゃん。あんた最近よくリリアナさんとこの依頼を受けてるだろ?」


「まあ、そうだが。それがどうした?」


「いやな?そこの助手なんだがよ。俺の仲間が言うには最近きなくせえらしいんだ。」


「何か根拠は?」


「夜中に出歩く姿をよく見かけるんだとよ。そんな時間に行くとこといえば風俗街だとか宿屋だったりするんだろうがそんなとこには行ってないんだとさ。」


それだけ言うと男はじゃあなと言って、手元の酒を飲み干し店を出て行った。


助手か。リリアナが言うにはいいやつとのことだが、警戒するに越したことはないだろう。

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