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はずれスキル『模倣』で廃村スローライフ!  作者: さとう
第七章

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ガイアルーン王国にて②

「はあ? あの雑魚ガキ、まだいるの?」


 ガイアルーン王城にて。『勇者』久寿川藍音は、ポップコーンをモグモグ食べながら読書していた。

 そして、そのことを伝えに来た『賢者』世美川優華は、どこか悪戯をした悪ガキを眺めるような目をして、困ったように言う。


「ええ。城下町に滞在しているみたい……どうやら本当に、私たちガイアルーン王国の勇者を仲間にするために、策を練っているようね」

「うっざああああ!! あーもう、そんな何日も滞在するヒマあるならレベル上げでもしろっつーの!! レベル20ぽっちじゃすぐ殺されるだろうけど!!」


 藍音はキレ、ポップコーンをモグモグ食べる。

 ちなみにここは藍音の部屋。藍音は下着姿で、長い髪もボサボサ、愛用の大剣は床に転がり、部屋の隅には勇者専用の鎧が転がっていた。

 部屋を眺めながら、優華はため息を吐く。


「藍音。いい加減、ちゃんと部屋の掃除しなさいよ」

「めんどくっさい」

「あなたね……『プライベートがある』って、メイドたちに部屋の掃除させないんでしょ? だったら、自分の部屋くらい掃除なさい」

「うっさいなー……で、要件はそんだけ?」


 藍音が残りのポップコーンを全て食べ終えると、優華が言う。


「新しい命令が下ったわ。件のシャオルーンで開拓中の勇者……有馬慧。彼の抹殺指令が出たわ」

「───へえ」


 藍音の顔色が変わる。

 ぺろりと指を舐め、身体を起こし背伸びする。


「シャオルーンの途中までしか斥候は入れなかったけど、どうやら街道の整備、河川の浄化などをして住みやすくしているようね。恐らく開拓系スキルの持ち主……魔族の痕跡もあったから、四国家が取り逃がした魔族を受け入れ、護衛として使っている可能性が高いわ」

「ふむふむ……で、そいつを殺すの?」

「ええ。まだアグニルーン、エイルーンは手を出していないし、今のうちに始末をして、彼が整備した村を丸ごと奪い、ガイアルーン王国の新領地とする計画ね」

「そっか。でもさー、その召喚者ってレベル20くらいかな……弱そう」

「我儘言わないの。それに、あなたが取り逃がした蟲族もいるかもしれないし、ついでに始末すればいいわ……ああ、美晴とすももには私から声掛けしておくから、あなたは武器の手入れを済ませておくように」

「はいはーい」


 そう言い、優華は部屋を出た。

 藍音はニヤリと笑うと、落ちていた大剣を拾い、軽く振るう。


「魔族退治……ついでに、調子乗ってる召喚者退治といきますかね」


 ◇◇◇◇◇◇


 黒鉄レオンは、ガイアルーン王国城下町の酒場で酒を飲んでいた。


「っぷは……はあ」

「レオンくん、飲みすぎじゃない?」

「いいよ……レイナ、あとで治してくれ」

「うん、わかった」

「うぃぃ~……夢見、オレも頼むぜぇ」


 黒鉄レオン、鎧塚金治は酒におぼれていた。

 もう何度も謁見申請をしているが、ガイアルーン王国勇者の久寿川藍音は会うつもりがないようだ。そのことでイライラし、酒を飲んで憂さ晴らしをしていた。

 そして、同じくらい飲むラーズハハートこと悪女神フォルトゥーナは言う。


「私の予想だと、そろそろ勇者が動くと思います……レオンさん、それを機に動きましょう」

「動く?」

「ええ。ガイアルーン王国勇者は、シャオルーン領地に不正滞在しているファルーン王国勇者、有馬慧の抹殺に動くと思われます」

「え……ほんとに?」


 レオンは酔っ払いながら首を傾げる。

 ラーズハハートは頷く。ちなみにラーズハハート、魔法の力でガイアルーン王城を監視し、どういう会話が行われているのかを聞いている。

 ラーズハハートは勇者たちを見た。


(ん~……つまらないわね)


 この数日、四人は酒浸りだった。

 レオン、金治は飲みまくり、夢見レイナは従順な人形、相川セイラは興味がないのか化粧をしたりネイルを整えたりしている。

 

(お姉様たち……今はアグニルーン王国ね。私を見失ったようだし、今は安心……しばらくは遊べそうだけど……ガイアルーン王国勇者と、レオンたちだけじゃねえ……よし)


 ラーズハハートはニヤリと笑う。


「レオンさん。シャオルーン王国には魔族もいますし、強い魔獣もいます。レベル上げをしながら、ガイアルーン王国勇者たちと一緒に、有馬慧を何とかしましょう」

「よ~し!! 主人公たるオレが、ガイアルーン王国勇者を導いて、すべての勇者たちをまとめる真の勇者としてくんりんするぞお!!」


 黒鉄レオンは、ふらふらしながらジョッキを掲げて一気飲み……おかわりを注文するのだった。


 ◇◇◇◇◇◇


 その日の夜。

 ラーズハハートは宿屋の個室で、化粧台の前に座っていた。

 化粧台の前には古ぼけた鏡。その鏡をスッと撫でると波紋が揺れる。


「魔王デスレクス……ううん、ファルザークくん、いるかな?」

『はっ、我が女神フォルトゥーナ様!!』


 鏡の前には、魔王デスレクスこと悪女神フォルトゥーナの眷属ファルザーク、そして魔王四天王とその側近たちが跪いていた。

 この世界における、悪女神フォルトゥーナの忠実過ぎる部下。

 選りすぐりの魔族で構成された、魔族最強の僕たち。そして……フォルトゥーナの『遊び道具』たち。

 フォルトゥーナは言う。


「これから楽しい『遊び』が始まるんだけど~……ちょっと面白くしたいの。だから、四天王の一人をシャオルーンに送ってくれないかな?」

『仰せのままに……では、四天王『銀角』のシュラガザード。お前の出番だ』

『ハッ……仰せの通りに』


 立ち上がったのは、『蟲族』最強の戦士、ギラファノコギリクワガタ種のシュラガザード。

 銀色の甲殻を持つ蟲族の戦士である。

 フォルトゥーナは首を傾げた。


「あれ? 蟲族って、ガイアルーン王国勇者に追われてなかったっけ?」

『それは弱者。真の強者である儂と、その部下たちは無敵なり』

「あはは。それは頼もしいね~……じゃあ、面白くしてね」


 そう言い、鏡の通信を切る。

 フォルトゥーナは言う。


「さてさて、これで少しは楽しくなるかな? 有馬慧……そしてシャオルーンにいる得体の知れない『何か』たち……私が育てたこの世界の軍団と、どっちが強いか見ものね」


 ガイアルーン王国勇者、黒鉄レオン一行、有馬慧。そして、スパイスにと加えた魔王四天王……これらがどう反応し、面白おかしくなるのかを考え、フォルトゥーナは笑うのだった。

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