表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

ミーアの婚約破棄騒動

作者: なつき
掲載日:2023/06/28

「お姉様ばかりずるいですわ!」 義妹のマリアがわざとらしく頬を膨らませる。 自分が可愛いと分かってやっているところが、実に腹立たしい。 「私もアルベルト様と婚約したいので、譲ってくださいませんこと?」 いつも自分のお気に入りのものばかりをねだる義妹。 これまで我慢してきたけれど、もう限界!私は立ち上がって、部屋から出ていこうとする。

「お姉様?どこへ行かれるんですか?」

「……ちょっと散歩に」

「散歩なら一緒に行きますわ。今日は天気もいいですし、絶好のお出かけ日和ですもの」

「そうね。いい天気ね!でも、あなたと一緒に行くわけないじゃない!」「どうしてですか!?」

「どうしてもよ!!」

この子は本当に何を考えているのかしら。

私より1つ年下の16歳だけど、中身はまだ5歳の子供みたいだわ。

こんな子が義妹なんて絶対に嫌!!

なんでも私のものを欲しがって、全部自分のものにしてきたマリア。

亡くなったお母様の形見も、お父様の愛情も、、

私にはもうアルベルト様しかいなかったのに、、、

絶対に渡したくない!

アルベルト様だけは、、、

「一人にしてちょうだい」


マリアにそう告げると私は自分の部屋に籠もった。

アルベルト様に連絡を取らなきゃ、

そして相談しよう。マリアのことを



■■■



■コンコンッ 部屋の扉がノックされる音がした。

誰だろうと思いながら、ベッドから起き上がる。

『ミーア』

外から聞こえてきた声を聞いて驚いた。

「えっ?アルベルト様?」

なんで彼がここにいるんだろう? 不思議に思いながらも慌てて扉を開けると、そこには確かにアルベルト様がいた。

「どうしてこちらに?」

私が尋ねると、彼は少し言いづらそうな顔をしながら口を開いた。

「君に会いに来たんだ」

「えっ?」

驚いて言葉が出なかった。

だって、そんなこと言われると思ってなくて……

胸の奥が熱くなるような感覚があった。

嬉しくて、恥ずかしくて、どうしたら良いかわからなくなる。

落ち着こうとして深呼吸をする。

それから改めて彼を見た。

「それでご用件というのは何でしょうか?」

ドキドキしながら聞いてみる。


すると、彼の口から意外な答えが返ってきた。

「実は昨日、君の妹から告白をされてね……」

「えっ!?」

驚きすぎて大きな声を出してしまった。

だって、まさかそんなことが起こっているとは思わなかったのだもの!

「ど、どういうことですの?詳しく教えてくださいまし!」

思わず詰め寄ってしまった私を見て、なぜか彼は苦笑していた。

「まぁ落ち着いてくれ。ちゃんと説明するから」

彼に言われてハッとなる。

いけない。取り乱してしまったわ。

私は一度大きく息を吐いて気持ちを整えてから、「申し訳ございません。アルベルト様。はしたない真似をいたしました。」


「あぁ、気にしてないから大丈夫だよ。

話の続きだけど、昨日生徒会室に君の妹のマリア嬢が突然やってきてね、お姉様と別れてください。お姉様を解放してあげてくださいと泣かれたんだ。」


「えっ、解放とは?」


突然の話に私は言葉を失ってしまった。




「マリア嬢が言うには、君は私との婚約を苦痛に感じているらしい。王妃教育も嫌で嫌で仕方がないらしいんだ。だから、君と婚約解消をして自分が身代わりになると言ってきた。」


「そんなっ、私は今まで嫌だと思ったことは一度もございません。」


「そう?ありがとう。私もミーアが嫌がってるとは思っていなくてね、もし万が一ということもあるから今日訪ねてみたんだ。突然ごめんね」

「いえっ、我が家の問題にアルベルト様を巻き込んでしまい申し訳ございません。」


「いいんだよ。それより話してくれて良かった。君に嫌われていないようで安心したよ」

「嫌いになるはずありませんわ!私にとってアルベルト様だけが頼りなんですもの!」

「それは嬉しいな。私にとっても君が唯一の心の支えなんだ。これからもずっとそばに居てほしいと思っているよ。」

「もちろんですわ!私もずっとアルベルト様のお側にいますわ!」

「うん。そうだね。私たちは婚約者同士なのだから当たり前のことなのに、こうして直接言葉で伝え合えるのはとても幸せなことだよね。」

「はい!」

私も心の中で思っていたことをアルベルト様にお伝えできてとてもうれしい。


そんな時マリアが現れた。

「お姉様!!、、、アルベルト様?アルベルト様がいらっしゃったなら私にも声をかけていただきたかったですわ!、、

アルベルト様あちらでお話いたしませんか?」


「マリア嬢、こんにちは。お邪魔していますよ。ところで昨日の話をミーアに確認したくて来たんだ。」


「っつ!!アルベルト様あの話をお受けいただけますか?」

「お断りします」

「そ、そんな、どうしてですか!?」

マリアの顔が絶望に染まる。

「そもそも私はミーアを愛していますし、あなたに特別な感情は一切持っていないのです。なので、私のことは諦めてくれませんかね」

「うぅ、そんな……、お姉様ばかり!なぜお姉様なんですか?なぜ私じゃだめなんでしょうか」マリアが泣き崩れた。

その姿を見て、私の中に怒りの感情が生まれる。

「マリア!何をしているのです!早く立ちなさい!!」

私が大声で怒鳴ると、マリアは怒りの形相で叫んだ


「私はただお姉様のものを横取りしたかっただけです!」


「ついに本性を見せたわね。マリア今まであなたが私にねだったもの、覚えているかしら?」


「そんなもの、いちいち覚えていませんわ!」


「私は覚えてるわ。お母様の形見、デビュタントのドレス、お父様からもらったティアラ、全部私のお気に入りだった」


「ふん! どれも趣味の悪いものばかりでしたから捨ててしまいましてよ!」




 私の中で何かがぷつりと切れた。

「いい加減にしなさい!アルベルト様だけは絶対にわたしません!!」


そう叫ぶと、私は部屋を飛び出していった。

後ろからアルベルト様の声が聞こえてきたけど、振り返らずに走り続けた。

そして、たどり着いた場所は屋敷の裏庭。

ここには思い出がある。

初めてここで彼とダンスの練習をした。

それから二人で一緒にお弁当を食べたり、おしゃべりしたり、楽しく過ごした場所。

でも、もう二度とこの場所に来ることはないだろう。




この場所が大事な場所だってバレたら、私がここにいたらまたマリアがやって来るかもしれないから……

■□■

「ミーア、待ってくれ」

追いかけてきたアルベルト様が声をかけてきた。

それでも私は足を止めない。

そのまま走り去ろうとしたけれど……

「きゃっ」

転んでしまった。

「大丈夫かい?」

慌てて駆け寄ってきた彼が手を差し出してくれた。

「ありがとうございます」

私は素直に手を取って立ち上がる。

「怪我はないかな?見せてみて」

彼はそう言って私の前に膝をついて、怪我がないか確かめてくれる。

「ふむ……、擦り傷ぐらいしかなさそうだね。よかった」

ホッとした顔の彼に私は涙が溢れてきた。

「アルベルト様、申し訳ございません!わたし、、」

謝ろうとする私を彼は優しく抱きしめてくれた。

「ミーアは悪くないよ。悪いのは僕だ。ミーアを守れなかった。でもこれからは違う。ミーアを不安になんかさせない。だから泣かないで。」

彼の優しさに包まれて、私はいつの間にか泣きやんでいた。

「さぁ部屋に戻ろう。」

「はい……」

そうして部屋に戻りソファーに座って少し落ち着いた頃、アルベルト様は話し始めた。

「まず最初に言わせて。僕は君を嫌いになったりしないよ。」

「えっ?どうしてですの?」

「君はいつも一生懸命頑張っていたじゃないか。王妃教育も嫌がることなく受けていて偉いと思うよ。」

「そんなことありませんわ。私はまだまだです。それに王妃教育も全然身に付いていませんし。」

「そんなこと気にしなくて大丈夫だよ。君は君のままで良いんだ。」

「ありがとうございます。そう言っていただけて嬉しいですわ。」

「それでね、ミーア、提案があるんだ。ミーアをこれから王城へ連れて帰ろうと思うんだ。」



「えっ?王城へですか?」 


「うん。ここにいるとまたいつなにが起こるかわからないだろう?王城にくれば僕も近くにいるし安心だよ」


「しかし、陛下や王妃様がなんとおっしゃるか、、」


「あぁ、それなら大丈夫。父上も了承ずみだよ。」

「そうなんですのね。わかりましたわ。ではこれからよろしくお願いします。」



こうして私は正式にアルベルト様の婚約者となり、学園生活を終えたあとは、すぐにアルベルト様と結婚することになった。

結婚してからも私たちは幸せな生活を送りました。



マリアがどうなったかというと、、、 あれ以来、彼女は私の前に現れなくなった。

お父様からは謝罪の手紙が届いた。

手紙には、マリアは反省しております。

どうか寛大なお心で許していただけないでしょうか、とのこと。陛下からお叱りを受けたらしい。

私は返事にこう書いた。

「マリア、あなたを許すことはできません。」

そして、二度と私に関わらないことと、お父様とは縁を切るとも書いておいた。

こうして私の長い婚約期間が終わった。

ーENDー 【後書き】

お読みいただきありがとうございました。





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ