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10月のある日③ ボカロって良いよね

僕の家族は六人家族だ。

だからいつも周囲は騒音まみれ。

人が多くて各個人の部屋があてがわれず、全員の多くの行動が八畳のリビングで行われているのがすべての原因だ。

料理する母、テレビでゴルフの試合を観る父、音を垂れ流してTikTokを見る姉、ZOOM中の兄、ゲーム操作の打鍵音が大きい妹。


あぁ、うるさい。


僕はスマホに繋いだイヤホンを耳に突っ込んだ。



学校からの帰宅後に勉強するとき、いつもイヤホンを付けて聴くのは洋楽だ。

英語のリスニングの勉強にもなるし、なんだかかっこいいからだ。

聴いてもかっこいいし、自分で歌えたらなおさらだ。


『検索:shape of you』


エド·シーランの歌は特にお気に入りだ。

聴いていたら気分がノるし、歌いやすい。

今日もこの歌を聴きながら勉強することにする。


1時間後、勉強に飽きてスマホを手に取った。

イヤホンは外した。

人間の集中力の限界は20分ほどだと言われる。

今回の集中は長く持った方だろう。


スマホを触ったからといって特にやりたいこともない。

スマホで小説を書いたり、ゲームをするのは論外だ。

LINEを開いた、誰も呟いていない、LINEを閉じる。

Discordを開いた、誰も呟いていない、Discordを閉じる。

暇だ。

勉強以外にすることがない。


イヤホンを再び耳につけた。


『検索:雨き声残響』


僕は洋楽に加え、ローテンポなボカロの曲も聴いている。

ボカロの歌は耳当たりが良いからよく聞く。

雨き声残響の他にもantarcや天の弱(秋絵ver)とかを嗜むことも多い。


受験生の精神状態は、初めて綱渡りをするサーカスの大道芸人みたいだ。

見た目は面白おかしく見せていても、心は張り詰めていつ落ちるともわからない恐怖を抱えている。

少し緊張を緩ませてしまうと、元の高さの綱に立つことができなくなる。

そんな状態で気分上げ上げな歌や恋の歌は受け付けられない。

(例えば『ファンサ』とか『五等分のカタチ』とか)


逆に、落ちることばかりを考えてしまうようなネガティブな歌も聴いていられない。

流行った『うっせぇわ』も否定の言葉が強烈に連呼され、自分の幸運ややる気がどんどん逃げていくように思えて、好きにはなれなかった。


雨キ声残響をしばらく聴いても、なかなか集中が戻らない。

次は花譜の歌を聴くことにした。

花譜とは、VTuberとして初めて武道館ライブを行ったシンガーだ。


『検索:アンサー』


僕の音楽の守備範囲は狭い。

英語の歌、ゆっくり穏やかなボカロ、VTuber。

とはいえ音楽を聴くのは勉強中だから実際全然聴こえてないし、正直のところ、音楽の内容なんてどうでもいいのだけれど。


ブブッ


スマホのバイブが反応した。

LINEに新規メッセージが届いたようだ。

LINEを開くと、ヤマちゃんからだった。


「ビデオ通話しない?」


ビデオ通話の誘いは集中が着れていた僕にとって渡りに船だった。

ビデオ通話するとき、僕らは互いの勉強する姿をスマホで撮す。

互いに勉強しているか監視することで、半ば強制的に、半ば自発的に勉強するようになるのだ。

充電の減りが速いのが玉に瑕だけれど。


「是非」


答えると、ヤマちゃんは早速ビデオ通話を始めた。

僕はイヤホンを外し、シャーペンを手に取った。

スマホは湯飲みに立て掛け、僕の上半身が見えるように調節する。

生活音が漏れないように音声はミュートにしておく。


『通話に参加しますか?』


そして、迷わず『YES』を選択する。

スマホの画面が切り替わり、ヤマちゃんを映し出した。

机にかじりつくヤマちゃんの姿が見えて、僕も負けじと問題を読んだ。

今はYoutubeを聴く機会が極端に減ったように思います。

勉強時間に聴いていて、最盛期は毎日5時間聴いていたから減るのは当然かもしれませんが……

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