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プロローグ学校 仲良し、されど敵同士

「じゃあ私が昨日の範囲の化学の問題出すから、答えられなかったら罰ゲーム」


放課後になり、僕は教室の一角で友達とたむろしていた。

僕がヤマちゃんの席に座り、ヤマちゃんが僕の膝の上に座り、コウが向かいの席に、ショウがヤマちゃんの机に座っている。

推薦入試が近いヤマちゃんがおもむろに化学の教科書を取り出した。


「よっしゃ、やったろ。

罰ゲームって何するん?」


「チロルチョコ一個」


「まじ!?

最近値上がりしたやん!」


「今ここにいる人全員に」


「40円×3人か……痛すぎる出費や……」


「別におりてもいい。

負け犬って言われるだけ」


「いいや!やろやないか。

お前らも参戦するやんな?」


関西弁のコウと目が合う。

僕は頷いた。


「参加する。

コウ、チロルチョコありがとう」


半ばジョーク、半ば確定した未来に感謝する。

正直言って、僕はコウより賢い。


「今日は負けん!

非金属元素の範囲なら負けへんわ」


「そうそう、昨日習ったもんねー」


のんびりとショウが言う。

ゲーム好きのショウはこの学校で一番頭がいい。

というのも、僕たちが所属している探求科がこの学校でもっとも賢いコースで(探求科、普通科、国際科がある)、その探求科で1度も定期試験総合1位を譲っていないのが彼だ。


「じゃあ問題どうぞー」


目はスマホのゲーム画面から離さず、ショウが開始のゴングをならした。



「問題、じゃーじゃん。


塩素を水に溶かした。どうなる?」


「……ほんま、そんなん楽勝。

簡単すぎるから次の問題いこ」


「分からなかったんだ……」


コウは分かりやすすぎる。

僕がぽそっと呟いただけで目が泳ぐ。


「いや、ちゃうやん!

昨日そんなん教えてもらった覚えないで!?」


「いや、昨日教えてもらった。

私は覚えてる」


無慈悲に告げたヤマちゃんにコウがジト目を向けた。


「知らんやん、そんなん」


コウが不貞腐れたので、塩素と水の反応について解説することにした。

一番賢いショウはゲームに夢中っぽいし、僕が口を開く。


「この反応は塩素と水の酸化還元反応な。

だから塩素の酸化数の変化に注目すればいい」


僕の説明はよく、「嫌みっぽい」と言われてしまうけれど、仕方ない、それがテルテルクオリティー。


「全ての物質は単体と化合物に分類できるでしょ。

単体の酸化数って何?」


「0に決まってるやん」


「あたり。

前提知識として、水中の酸素と水素の酸化数はそれぞれ-2と+1っていうのは確定してる。

あと、水はじゃっかん電離してて、水素イオンと水酸化物イオンに分かれてる。


塩素も同様に、プラスの電荷を持った塩化物イオンとマイナスの電荷を持った塩素酸イオンに分かれてる」


「そーして水素イオンと塩化物イオン、水酸化物イオンと塩素酸イオンがそれぞれくっついて塩酸、次亜塩素酸ができるわけねー」


塩素と水の化学反応式を作る際の前提知識を教えたとき、ショウが口を挟んできた。

スマホでサッカーをしながら、ショウは鷹揚と僕の言葉を掠めとる。


「ちょっと!?

反応式を作る一番いいところを奪って……!」


せっかく僕が説明していたのに!

ゲームしてるならゲームしとけばいいじゃん。


というわけで、腹いせでスマホの電源を落としてやった。


  マジギレされた。






受験生らしく勉強しつつ、遊び盛りの子供らしくふざけつつ。

勉強の中に遊びを見いだす。


それが学校での僕の日常。

主人公 テル

仲良し ヤマちゃん

友達 コウ

友達 ショウ

主人公の家族


が主要な登場人物になります。

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