9月のある日③ まいにちり
(ただただ、愚痴らせてもらいたい。
これが第三学年か、と嫌でも実感させられる時間割りだ。
ちなみに、1時限50分、休み時間10分。
1時限目開始9:00、7時限目終了16:30、放課後2時限目終了19:30
自宅での受験勉強の時間も加えると、受験生は意外と忙しい……)
今日は一週間でもっともハードな月曜日。
別に休日の後だからダルい、とかいうことではなく、時間割が鬼畜なのだ。
1時限目、数学。
文化祭にも自分の展示を出した熱血教師だ。
授業内容は生徒が事前に割りあてられた問題を解答し、それを黒板に書いてみんなの前で発表するというものだ。
このクラスは生徒数が30人程度のため、次の僕の発表はまだ先だ。
2時限目、数学。
熱血先生が問題の解説をしてくれている。
が、「うん。」ばかりが耳について肝心の内容が頭に入ってこない。
途中からは解説を聞くのを諦め、問題を解くことに専念してしまった。
3時限目、数学。
僕が発表することはない、と思っていたのに、休みの人の代役にたてられた。
運良く簡単な問題だったから即興でみんなの前で発表できたけれど、他の問題を指名されていたら解けないところだった。
もっと勉強しないと。
4時限目、英語。
共通テスト対策らしく、マーク式の問題を授業時間をいっぱいに使って解いた。
速読は苦手ではないから、15分くらい時間が余り、見直しをしていた。
楽勝。
5時限目、現代文。
眠気との闘いだった。
レジリエンスについての説明文の解説であり、深くは知らなかった概念だったから何とか眠気に耐えて聞いた。
食後は何故こうも眠くなるのか。
6時限目、古文。
眠気との闘いだ。
先生に本居宣長の源氏物語についての所感を解説いただき、生徒たちの多くはこっくりこっくり頷いて話の続きを促していた。
7時限目、化学。
有機化学の幾何異性体についての授業で、マレイン酸とかフマル酸とか知らない単語ばかりで、眠っている余裕はなかった。
集中と好奇心が眠気を吹き飛ばした。
放課後1時限目、化学。
有機化学と平行して進められている無機化学。
銅の電解精錬とアルミニウムの溶融塩電解。
とても内容が濃く、正直、60分の講座に詰め込むものではないと思った。
放課後2時限目、地理。
『毎日、地理』が口癖の先生が、その通り毎日開講している講座だ。
夏休み終了と同時に始まったこの講座は、共通テストまで平日は毎日続くらしい。
さらば、我が平穏。
放課後の講座の後。
ホームルーム教室に戻り、数学の課題を解く。
友達が談笑していてうるさかったから、「イヤホンを持っていけばよかった」と少し後悔する。
勉強の邪魔をする人たちなんて、もしかしたら友達と呼べないかも。
『医学部に(僅かな可能性に賭けて)受かるために』と思えば、ハードなスケジュールでも食らい付いていける。
しかし僕のやる気が満ちていたのは、両親と先生に進路相談する時までだった。
今回は話というより紹介のようになりました。
僕はあらかたの勉強内容を授業中で理解するよう努めています。
自習では自分の思考能力を越えた内容を理解できませんから、授業は自分の理解できる範囲を外側に押し広げる唯一の場なんです。
僕は授業を第一に、解いていて楽しい問題集を第二に受験に有効なものだと捉えていました。