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OD オーバードース

 彼は、学生時代から怪談が好きで、仲間内で集まる時は、必ずそっちの方に話を持っていくので、みんなから辟易されている程でした。

 社会人になってもそれは変わらず、段々と友人たちから敬遠される様になってきました。

 私は、オカルト好きでしたが、仕事がブラックだった為、彼に会えない日が何年か続きました。

 それでも時々、友人から彼の現状を電話で聞かされる事がありました。

 相変わらずだとの事でした。

 そんなある日、友人との電話での会話の中で、彼が病院に入院したと聞きました。

 急な心筋梗塞だったそうです。

 その時は、私はブラックな会社を辞めて就職活動中でしたので、久しぶりに会おうかと、彼を見舞う事にしました。

 受付で彼の部屋を聞いて、そこに行って彼に近づいてすぐ、おかしいと思いました。

 彼の目の焦点は合っておらず、まるで近づく私を「誰だろう?」とでもいう様に、小首を傾げて見ていました。

 そしてやけに右手を掻いていました。

 ふざけているのかと最初は思いましたが、彼に声をかけてみると私を知らない様子。

 心筋梗塞と脳血栓は、一緒に起こる事があると聞いた事があったので、記憶障害でも出ているのかと思いましたが、彼と話をしている内に、まるで彼が彼でないように感じられてきて……

 結局、最後まで私の事は、思い出してもらえませんでした。

 帰りながら違和感を感じていた事を考えていて、ある事に気が付きました。

 そう。彼の一人称がいつもと違っていた事に……

 彼は、いつも自分の事をワシと呼んでいたのに、今日は俺と……

 後日、友人から聞いた話だと、彼は彼の会社の同僚と怪談会をしている最中に倒れて、一時は心停止していたそうです。

 もしかしたら……

 もしかしたらですが、怪談好きが祟って、怪談の過剰摂取になってしまったのかもしれませんね。

 本当の事は、私には分かりませんが……


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