光るもの
あれは、まだ私が若く、峠族だった時代の事です。
普段は、危険なのでバイクで峠を攻める時は、昼間に行っていましたが、たまには夜に峠を攻める事がありました。
そんな夜の峠道での出来事です。
その日は、あまりスピードを出さずに峠道を下っていました。
すると、後ろから1台の車がやってきて、私のバイクの後ろにつきました。
しかし、私はすぐに違和感を感じたのです。
車が来たと思ったのは、私のバイクのライトの光で照らされた道が、より明るくなったからでしたが、サイドミラーで見てみると、車のライトにしては、明るすぎるのです。
普通の車であれば、ライトは二つ。当然、光源が二つですから、道路にもそう映るはず。
なのに、まばゆい光だけしかサイドミラーでは、確認出来ませんでした。
ハイビームでまぶしかっただけなのかもしれません。
しかし、後ろの車の音も聞こえてこない……
その後ろの何かは、私のバイクを追い越すでもなく、ずっとずっとついてきました。
私は、気味が悪くなって、スピードを上げました。
しかし、それを引き離す事も出来ず、それは、ぴったりとついてきます。
きびしい右カーブに差し掛かった時、私は、事故るかと思いました。
なんとかそのカーブをクリア出来たのですが、後ろの何かはガードレールを突き破って谷底に……
私は、慌ててバイクを停めて、壊れたガードレールの所まで走りました。
事故なら警察に通報しなくてはなりません。
谷底を見ると、車位の光が途中で浮いていました。
しばらく唖然として、それを見ていると、いきなり向こう側の山に向かって、物凄い速さで飛んで行きました。
それは、山の向うに消えました。
あれは、何だったのでしょうか?
私は、UFOを見たことはありません。
ありませんが、もしかしたら、あれがそうだったのでしょうか?