表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

5/25

5.ゴミを強化



 翌朝、改めて村長がやってきて、俺にお礼を言った。


 そして昼から村人全員が集まっての宴を催してくれた。


 子供から大人まで、順番に俺にお礼を言ってきてくれた。

 実の父親によって実家を追い出された俺に、その言葉は優しく染み渡っていった。


「本当に、レイ様のおかげでこの村は救われました。この事実は、永遠に語り継いで参ります」


 俺は少し恐縮しながら「いえ、そんな……」と頭を下げる。


「本当は、金品でお礼をしたいところですが、残念ながらこの村は貧しく、大したものは用意できません。本当に申し訳ありません」


 そう言って村長はさらに深々と頭を下げてきた。


「いえいえ、全然いいんですよ。寝床を貸してくれて、ご飯まで用意していただいて、本当に助かりました」


「たったこれだけしかできず、心苦しいばかりです」


「……ところで、村に何か壊れたものとかありませんか? それをちょっと貸して欲しいのですが」


 俺は村長にそう尋ねた。


「壊れた……ものですか?」


「ええ、ちょっと“ゴミの強化”が得意技でして……。もしかしたら直せるかなと思いまして」


 俺は、神から与えられたユニークスキル“ゴミ強化”の力を、改めて試してみたくなったのだ。


 おそらく、俺の考えが間違いでなければ、ゴミ強化のスキルにゴミ強化のステータス強化がかかって、ゴミのステータスを100倍にできる力になっているはずなのだ。


 とすると、ただのゴミが、普通のアイテムくらいにはなるかもしれない。


「それでしたら、錆びたくわなどでしょうか……」


 そう言うと、村長は若い者に指示をして、錆びたくわを持ってこさせた。


 一面茶色に錆びついて、刃はかけており、到底使えたものではないだろう。確かに、まごうことなきゴミだ。


 それを俺は受け取って、スキルを使ってみる。


「――“ゴミ強化”」


 すると、くわが光り輝く。


 ――見た目は、さほど変わらない。


 だが。


 俺は立ち上がって、少し離れたところに行き、くわを地面に向かって軽く突き刺した。


 すると、


 ――ドカンッ!!



 爆音がして、地面に穴が空いた。


「こ、これは!?」


 村人たちが驚きの声をあげる。


 クワが、まるで魔道具のように強力なアイテムに変わってしまったようだ。

 やはり、ゴミであれば、ステータスをものすごく強化できるようだ。


「い、一体、何をされたんですか」


 村長が腰を抜かしたという声で聞いてきた。


「いや……まぁただのステータス強化……ですかね? ……多分これだと畑は耕せないでしょうから、モンスターに襲われたら使ってみてください」


 俺は強化したくわを村長に返した。


「――ありがとうございます。これは村の宝にいたします」


 ……ゴミが宝になってしまった。


 もしかして、“ゴミ強化”って結構使い道あるのか?


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ