帰り
「結構満喫できたな」
ホテルに戻らなければいけない時刻に間に合うために、まだ周りの人がまだまだ遊ぶぞって言う雰囲気の頃に僕たちは出なければいけなかった。
それでも結構、楽しめたな、と風車の前で撮ってもらった集合写真を見ながら思う。
「実際に行ってみると、広々しててよかったですね」
「そうだな」
都内の遊園地はどうしてもごみごみさが少しあるし、広々さではここに敵わないかも。
ネズミがいらっしゃるところは広いけどすごい人だし。
まあ久しく行ってないんですけどねあそこには。
電車を乗り継ぐこと三時間弱。
太宰府の駅に着いた。
ここからホテルのバスが出るはず。
他の班の人も駅前の指定された場所に集合していた。
「はい、並んで乗ってください……あっ、匂いフェチいんじゃん」
「なんだよ」
「いーじゃん事実に基づいた呼び方です」
「うざいなあ……でも偉いな、手伝ってて」
僕はそう返してバスに乗った。
ちょっとバスガイドさんみたいにも見える。
大人っぽくて可愛くも見える。
バスに乗る。
美雨が隣に来た。
というか美濃があえて僕の隣に座らなかった。
普通に隣に座っていいんですけど。
稲城はどこに行ったかと思えば、コンセントがある席を確保していた。
このバスのコンセントあるのかよすごいな。
「ねえ、優」
「あの今お手伝いしてるあの子。ぬいぐるみ作るの上手だよね」
「うん。そうだな」
僕はうなずいた。
どうやってあそこまで極めたのか、何がきっかけだったのかが気になる。
また後で話す機会があれば、さりげなく聞いてみようかな。
でも僕匂いフェチ扱いだから、美雨に聞いてもらうおうかな……美雨を見れば、もう寝ていた。
寝顔……。
「寝たふりでした〜結構私のこと見てたね?」
「あ、うん。ぬいぐるみ作りをあそこまでやろうと思ったきっかけとか、美雨から訊いてみてほしいなって思って」
「わかったよ」
美雨は僕を見つめて言った。
「今日の夜ご飯なんだろうね」
「また美味しいといいなー」
美雨はお腹を押さえた。
「な、なりそう」
バスが発車すると同時に鳴ればバレないでしょ。
バスが発車した。
ぐううう!
「音でかっ」
「うう……」
「大丈夫。多分そこまで他の人には聞こえてない」
「私聞こえてましたよ」
前の席に座っている美濃が振り返った。
なんだよ、それ正直に言っちゃうのかよ。
美濃の顔には、ほら、恥ずかしがってる美雨ちゃん可愛いですね、と書いてあった。
また間が空いてしまって本当に申し訳ございません。




