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寝顔と百合

 しばらくぬいぐるみを作ってから、また女の子の方を見てみた。


「あれ? 寝てる……?」


「ちょっと縫い疲れたみたいだよ。針はちゃんとしまってるから大丈夫」


 美雨がこっちにささやくようにこたえた。


「そうか、なんか寝顔かわいいな」


 それこそぬいぐるみを抱いたラッコのようで、座布団の上で少し丸くなって寝ている。


「……私だって寝顔可愛いよ」


「どうして寝顔の可愛いさ勝負な話になった……もちろん美雨の寝顔もかわいいと思うよ」


「み、みたことあるの……?」


「あんまない」


 僕はそう答え、するとくまさんパジャマの美濃が美雨ちゃんに解説しますねとか言って自分の手を止めて話し始めた。


「優くんはですね、見なくともかわいいのが自明だと思っているわけですよ、つまり、よっぽど美雨のことをかわいいって思ってるってことです」


「よ……ぽど? かわいい……?」


 美雨は顔を美濃のくまさんパジャマに埋めて恥ずかしがり始めた。


 美濃が美雨の背中を撫でてにやにや笑っている。


 幼い美濃がくまさんパジャマを着た結果なぜか母性が溢れ出ているという謎の光景がちょうど今目の前にある。


 流石に美雨は照れすぎで、美濃は役割間違えすぎな。


 とそれを眺めながら思っていると、店員の女の子がごそごそ動いておねむだけどおはよ状態になった。


 そして抱き合っている風に見える美雨と美濃の方を見る。あの二人、そのまま寝てないよね?


「あれは百合でしょうか、尊い……」


 何、百合が好きなの? あそう、そうなのか。


 僕は店員の女の子のその様子を見て思った。


 もしかして女の子同士でいちゃいちゃするのが好きなタイプかな。


 ていうか店員の女の子に話しかける勇気がない。嫌われてそうで、しかも今は寝ぼけてそうだし。


 僕はぬいぐるみ作りに熱中しているふりをしていた。


 すると、だんだん僕が眠くなってきましたね今度は。


 針をそこらへんに落としてしまうと危ないので、僕は針をしまった。


 とりあえず壁に寄りかかって少し休憩するか。


 僕はそう決めて壁に寄りかかったんだけど、それでさらに眠くなって……そして作りかけのカピバラのぬいぐるみとともに寝てしまった。

 

お読みいただきありがとうございます。



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