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星空とぬいぐるみ部

「な、なんか暗いからか近いな」


「そうかな?」


 暗くて、だけど表情がわかって少し恥ずかしそうな美雨の顔が近い。


「むふふふふふへほへほん」


 そして美濃がおかしくなっている。で、こっちをみて笑ってるっぽい。そこまで見えないが。


「ちょっと寒くなってきたしこれくらい近くても別にいいでしょ」


「いいけどな。謎ラジオ体操なんてめっちゃくっついてるし」


「そうだねー」


 美雨は上を見つめて続けた。


「なんかね、ぬいぐるみ部も高三になってしばらくしたら引退だけどさ」


「部員大野さん以外来なかったらやばいな」

 

「それは新入生が入ってくれると信じてる」


「ま、今は信じるしかないか……文化祭も終わったし」


 僕は美雨と同じ方向の空を見上げた。


 この星の数くらいたくさん、きっとみんなそれぞれ違った好きなことがあって。


 その中で、ぬいぐるみが好きなみんなと、ぬいぐるみ部をやっていて。


 だからやっぱり、そんなぬいぐるみを楽しく作っている人たちがいる空間は、今後も続いて欲しいな。


「うん。でもさ」


隣で見上げていた美雨はうなずいてから、隣で広がる星空のような伸びをして続けた。


「最後、めっちゃぬいぐるみ部らしいことしてみようよ、最後の思い出的なの」


「最後の思い出か」


「賛成です! 例えば、美雨ちゃんと優くんの結婚式をぬいぐるみでシュミレーションしてみたって動画を作って百万回再生突破を目指すとか」

 

「ごめん意味わからなさすぎる。それにリアルなぬいぐるみワールドにぬいぐるみの良さもあるな」


「真面目に返されたのでしょぼんぼんです。ていうか、二人で星空見上げていちゃいちゃするのかと思ったら真面目な話になったから思わず参加してしまいました」


「いや参加していいよ」


「うん」


 僕と美雨はうなずいて、美濃はにやにやしながら僕たちに椅子を近づける。


「なんかいい案ないですかね」


「今はまだ思いついてないんだよね……」


「ま、でも、今は修学旅行楽しもう。これも思い出だしな」


「ですね」


「ほんと、確かに今は楽しまなきゃ」

 

 暗い中人狼をしてうおうお盛り上がっている人たちの決着がついたようで、お前人狼下手すぎだの、占い師の勘がすごいだの話し声が聞こえてきた。


 修学旅行かあ。


 まあ部屋のメンバーが個性的なので交流を深められるかはあれだけど。


 ぬいぐるみと違って形に残らないものも多いけど。


 少なくとも今日も楽しかったし、明日からも楽しみだな。


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