ホテル到着
お昼はちゃんと稲城とも合流もできて、タワーの下のレストランで済ませることができた。
しかもあんまり混んでなくて、ゆっくりと昼食を済ませることができた。
午後は旅館方面へと向かわなけばならない。
旅館は博多より南の太宰府の近くにある。
太宰府天満宮に寄って、食べ歩きをしながら時間を過ごした。
「タワーのところのレストランでデザートを食べなくてよかったです」
「だね〜こっちでお腹いっぱい食べられるね」
と言いながら買ってそれをどんどん食べてまた買って。それでずっと手には何か食べ物がある。お風呂の栓を抜いたまま水を入れる問題かよ。
稲城は、
「立ってるの疲れた。寝たい」
と言ってパソコンケースを抱える力が弱まっているし、両極端だ。
そもそも博多についたのがお昼頃だったし、のんびり歩いていると夕方だ。
僕たちは、太宰府天満宮からバスでホテルに向かう。
「このバスであってるよね」
「あってるってスマホに書いてある気がする」
自由行動ばっかりなのはとても嬉しいが、自分で調べてホテルに向かわないといけないとは面倒だ。
みんなでバスで向かうのが修学旅行のイメージがある。
しかし、途中で徒歩でホテルに向かっている同級生たちを追い越したので、方向は合っているみたいで安心した。
ホテルの最寄のバス停で降りると、たくさんの同級生たちが列をなしていた。
五時四十分なので、ちょうどみんな帰って来る時間帯だ。
ホテルに入り、ロビーにいた小町真子先生に全員揃っていることを伝える。
ちなみにこの小町先生(家庭科教師)はめちゃくちゃ胸が大きく、稲城が一度も家庭科の授業に遅刻も欠席もしたことがないのはそのためだ。
今もパソコンのケースをしっかりと握りしめ、胸を凝視している。元気取り戻しすぎな。
夕食まではまだ少し時間があるので、ここで美雨と美濃と別れ、僕と稲城は三◯二号室の鍵をもらってエレベーターへ。
もう二人変なやつと一緒の部屋だけど、そっちの二人は帰ってきてるだろうか。
部屋の前に着き、一応ノックするが応答なしだったので開けると、がらんとした六畳の畳があった。
うん。こういうシンプルな部屋の方が修学旅行感があるような気がする。
ちなみに僕は和室が好きで将来は畳をぬいぐるみで覆い尽くしたいと思ってるし。
「もう夕食会場行くか、暇だし」
稲城がパソコンの充電をしながら言う。
「いいよ」
稲城にしては行動が早いな……と思いながら僕は返事をした。




