まるまる猫のぬいぐるみ
「一緒に、ぬいぐるみ作りしてきましたー、ゆー先輩」
一週間後。大野さんが、音楽室楽器置き場裏に向かう僕に追いついてきた。
「おお! よかったじゃん」
「はい。しかもその女の子少し元気になってて。一緒に作ったのはまるまる猫のぬいぐるみです。退院したら猫を飼いたいらしいです」
「なるほどな」
「あと、絵が好きみたいで、絵も一緒に描いたりしました」
そう言って画用紙の猫の絵を見せる大野さん。猫うまい。三毛猫かな。
「すごいリアルな猫だな……僕は下手だな絵は。こんなの描けないや。まあぬいぐるみ作りもも大して上手くないけどな」
「……それはそれとしてですねゆー先輩」
「はい、なんかあるのかな話が」
「あります。ゆー先輩を見ていると、美雨先輩と何も進んでいません。それが絡まる刺繍糸のようにもどかしいと、つばき先輩と二人の時話していました」
「美濃とそんな話をしてたのかよ」
「でも、ははーんって感じです今は」
「……どうしてははーんとなった」
「ゆー先輩の作戦がわかったからです」
「作戦?」
何もたててないけどな。なんのことだ?
「……ゆー先輩は、修学旅行の最終日に、美雨先輩に告白する作戦なんですよね。知ってます私は。ゆー先輩を理解する幼馴染兼後輩なので」
相変わらず短いスカートで太ももを出している大野さんは、そう言って僕をからかう時の笑い方をした。
お読みいただきありがとうございます。
次は、修学旅行です! どんなことが起きるのでしょう。