小六で習う漢字と大きな「乳」
で、いつも通りなのが問題なように気がしてきたんだよな、ここのところ。
僕はお菓子パーティのような雰囲気を数秒で作り出した美雨と美濃を眺める。
この部活はお菓子を食べる部活で話はなくてぬいぐるみを作る部活だ。
僕はそのことをそれとなく伝えようと、自分で作ってきたケーキとシュークリームのぬいぐるみをお菓子はむはむ小動物になってる美雨と美濃の間に置いてみた。
さっ。
あむ。あむ。
え、食べようとしたんですけど。大丈夫かな。僕そんなにリアルに作った覚えはないけど。
「これ食べられないじゃん!」
「なんの狙いですかこれは?」
いや、僕たちの本来の活動を思い出させようという狙いがあったわけなんだけどね。まあ伝わらないよな。
それにしても二人ともよく食べられるな……。同じクラスなのでお昼にお弁当もたっぷり食べてたの目撃済。
美雨と美濃はお菓子と一緒だと可愛さが増すから僕はお菓子もらわなくても満足。お腹いっぱい。
ところで美雨の紹介をまだそこまでしてなかったのですると、苗字は海瀬で海瀬美雨。うみせみう。回文になっている。あ、僕も羽有優。うゆうゆう。回文だ。すごい共通点だね。僕は美雨とは中学の頃高校受験塾で出会って、高一高二とクラスも同じ。だから思い出せば大体一緒にいることが多い。
ていうかまだまだ食べてそうだ。もういいや、ここは僕が見本を見せよう。
僕は裁縫道具をとりだして、今作っているトマトのぬいぐるみのつづきにとりかかる。
と、その時、かばんの中の緑色のノートが目に入った。
そうだ。まだ返してなかった。
えりかが忘れて行った漢字練習帳。
えりかっていうのは、僕の友達の女子小学生。っていうとやばいと思われそうなので、もっと言うと、ぬいぐるみ部の関係で仲良しになった女子小学生だ。っていうとやばさが変わっていない気がするけど。
いずれちゃんと出てきた時に説明するからとりあえず今は誤解しないでおいてほしいなと思う。
で、そのえりかが忘れた漢字練習帳が僕の手元にある。
なんとなく開いて見た。
乳乳乳乳乳乳乳乳乳乳乳乳乳乳乳乳乳乳乳乳乳乳乳乳乳乳乳乳乳乳乳乳乳乳乳乳乳
すげえたくさん乳だな。
小三のえりかは漢字にはまっていて、たった三日くらいで六年生の漢字まで進んだとこの間言っていた。
つまり、乳は六年生で習う漢字。
ちなみに胸も六年生で習う漢字なはず。あ、漢字も別に、大して興味ないですよね。ごめんなさい。
えりかの特徴の一つにとても字が大きいことがある。つまりどういうことかと言えば、乳がでかい。
なぜか美雨と目があった。
「どうしたの?」
「いや、なんか大きい乳だなって思って」
僕とこう言ってから一秒以内に失言に気づいた。
見れば美雨がすごい慌てて僕の持ってるトマトのぬいぐるみより顔が赤くなって、ポテチの袋で胸元を隠していた。
やばい、誤解されてしまった。助けて。
……よし。真相を説明しよう。
僕は美雨に漢字練習帳を開いて見せて説明した。
で、実行しつつ思ったんだけど、胸が大きくて可愛くて僕の好きな女の子と、大きな「乳」を眺めるっていうのはなかなかできない経験だよな。
お読みいただきありがとうございます。
ブックマーク、評価してくださった方、ありがとうございます。
更新遅くてごめんなさい。
しばらくは、毎話続きがあまり気にならない感じで連載していきます。
また次もお読みいただけたら幸いです。