後輩と二人でおべんとう
「どうして私が作ったって気づいたんですか?」
大野さんが僕に訊いてきた。
僕と大野さんは低めの屋上にいる。
低めの屋上、というのは、2階建ての二号館の屋上のことだ。三号館と一号館に挟まれていて、その二つの建物は3階建てなので、「低めの屋上」と呼ばれているわけだ。
「うーん。実は、何も、わかってなかったんだよね」
「え? え? あ……ゆー先輩。そうやって後輩にカマかけていじめるのよくないですよ」
「いじめてはないけど……」
「で、でも……。もうこうなったら、ゆー先輩、私の話聞いてくださいね。おべんとう食べながらでいいですから」
そう言ってピンクのランチョンマットを広げて自分のお弁当をのせる。
僕もその隣で、お弁当を取り出した。
「あの、ゆー先輩ってラノベ主人公じゃないですよね」
「うん。そうだけど。それが話の始まりかよ」
「はい。ラノベ主人公だったら、自分が部長をやっている小さな部活に突然後輩が入ってくることもあるかもしれません。でも」
「僕はラノベ主人公ではないから、そんなことは起きないと……あれ、でも起きてるよ」
「……なんでだと思いますか?」
「なんでだろう」
僕は大野さんを見つめる。大野さんは三号館と一号館に挟まれた空を見てため息をついた。
「私の方が、おかしいからです」
「……」
「私、ぼっちですから」
「ぼっち?」
「ほらだって、今もこうやって一人でおべんとう食べてますよ」
「あれ、僕もいるけど」
「そういう問題ではありません。つまりは、突然、高二しかいない小さな部活に、中二の私が一人で来て入部希望するっておかしくないですか」
「まあ、めずらしいかもしれない」
ぬいぐるみ部に部員が入ったのが嬉しすぎて意識してなかったけど。
「ですよね。そういうことです」
「……で、今回のぬいぐるみの件と、大野さんがお友達が少なめっていうのは、関係がある……?」
「あります。それは、全ては、ボランティア部での出来事がきっかけです」
大野さんは、しゃけふりかけのかかったご飯を口に入れ、そう言った。




