朝から胸が柔らかい件について
僕は登校後、一時間目の授業が始まるまで、ぬいぐるみ作りをすることが多い。
昔は、ぼっちで黙々と一人でぬいぐるみを作っていたのだが、今は違う。
「うんしょー。今日の脳内ラジオ体操」
「それやられるとやりにくいんだよな」
「そのやりにくい状況の中でぬいぐるみ作りをすることがスキルアップにつながるよ」
つながらないでしょ絶対。ぬいぐるみ作りはスポーツじゃないんだから。
僕は後ろをちらりと見てみた。
ぬいぐるみ作りをしている僕の背中に美雨が身体を預けてきて、僕の背中の上で身体を伸ばしている。どういうラジオ体操ですか?
僕は美雨がこの体操をするせいで、美雨の胸が背中で変形する感触を味わいながらぬいぐるみ作りをすることになる。
何度やられても柔らかい。永遠に柔らかい。無限に柔らかい。
だけど僕はきちんとぬいぐるみ作りを進める。
「ねえ優、今日の物理のレポートやった?」
「やったよ。結構てきとうだけど」
ちなみに物理のレポートとは、球をぼんぼんさせるというはね返り係数の実験に関するものだ。
はね返り係数について非常に理解が深まったので、僕と美雨の衝突においては、美雨の胸が柔らかすぎることによりはね返り係数がゼロに近くなりそうだと思った。レポートの追加考察の欄に書こうかな。冗談だけど。
「じゃあ私の手伝って……と言うと見せかけて、私も実は終わりましたー」
「終わってるのかよ。なんでその話を始めたし」
「優は終わってないかなー、と思って、手伝ってあげよっか? みたいに言うつもりだった」
「なんでやってないと思ったんだよ」
「だって優のことだから、じゃれあってるうさぎのぬいぐるみについて色々研究してそのまま寝落ちかなーって」
「ああ……そうなりそうだったけど耐えた。物理のレポートはてきとうにその後やったよ」
美雨は僕の行動を予想するのがうまい。
今回もほぼほぼ、僕のやることについてお見通しだったみたいだ。
「あ、おはよーございます」
ここで美濃が来た。美濃は割とギリギリに来ることが多い。
「バス停からここまでの信号一つ逃したら遅刻だったかもです。疲れました」
そう言って美濃は美雨に身体を預ける。
そうすると、美雨は僕に身体を預けているので、美雨の胸がさらに僕に密着する。
この僕の様子を見てうらやましいと思ってぬいぐるみ部に入ろうと決意してくれる人いないかな。いなそう。
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