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撫でられようとする女の子とぬいぐるみが可愛すぎる


「あ、あの、触って撫でてもいいですか?」


 僕は、気づいたらそう言ってしまった。それくらい可愛すぎる。


「大丈夫ですよ……雫のお友達ですか?」


「お友達というより先輩。この人はゆー先輩。ゆー先輩は幼馴染でもあるよ」


 大野さんが答える。


「先輩……、わかりました。ではどうぞ」


 究極のぬいぐるみを売っている綺麗で可愛い女の子は、目を閉じて、僕に頭を近づけた。


 どうしたんだろう?


 まあ許可を得たし……。


 僕はじゃれあっている二匹のうさぎのぬいぐるみを手に取った。


 どうやってこの構図思いついたんだろう? 神すぎる。バランスも完璧。なでなでなで。



「あ、あの……まだですか?」


 まだって……まさか。この人、自分が撫でられると思ってるんじゃ……。


「あ、僕が撫でたいのはぬいぐるみの方で……」


「えっ……あっ……すみません……」


 慌てて元の姿勢に戻り、ものすごく恥ずかしそうに究極のぬいぐるみ囲まれて座っている女の子。


 すごい。全部が全部可愛い。


「もう、相変わらず天然。真矢音まやねは」


 大野さんが懐かしむように笑い、美雨と美濃も優しい雰囲気で笑っていた。



 もし、さっき、この天然女の子の頭を撫でていたら……、美雨に吹っ飛ばされていたかもしれない。あぶなかった……。


「このうさぎのぬいぐるみ。すごすぎます! どうやって思いついたんですか? このデザイン」


 僕の手元のぬいぐるみを覗き込んで、美濃が訊いた。


「うん……。これすごすぎるよ。私も知りたい」


 美雨はうさぎのぬいぐるみの目と同じくらい目が丸くなっていた。


 しかし、それに対する女の子の答えは……


「ひみつです♡ ぬいぐるみの中に綿と一緒に封印してしまいました」


 な……。


 秘密主義か……。


 まあどうやって思いついたかっていうのは答えるのが難しいところもあるしな。まあしょうがないな。


「美雨先輩、美濃先輩。真矢音は結構こう見えて頑固なところがあるので……」


「べ、べつに頑固なんでことはないもん。でも……言えないだけで」


 真矢音さん? が、大野さんにそう言う。


「じゃあ……これ買ってもいい?」


 僕は二匹のじゃれ合うぬいぐるみを改めて眺めそう言った。


「はい。もちろんです」


 その時の真矢音さんは、とても嬉しそうだった。それは……ぬいぐるみを大切してくれる人に出会えた嬉しさ。な気がした。


 僕はぬいぐるみの代金を手渡し、そして、袋に入れてもらったぬいぐるみを受けとった。


「ありがとう。すごくこのうさぎが可愛くて癒されて……大切にする」


「はい。大切にしてくれたらすごく嬉しいです♡」




 そして、美雨と美濃と大野さんと……あと稲城まで、それぞれぬいぐるみを買った。


 その後もしばらく話していたが、他のお客さんも来たので、僕たちは退散した。




「色々あるので、他のところも回りましょうか」


「そうだね〜つばきに賛成ー」


 歩き出したみんなを見失わないように気をつけながら、僕はわきにそれ立ち止まり、ぬいぐるみ型もふもふカバーに包まれたスマホを操作した。


 

 この真矢音さんから買ったうさぎのぬいぐるみ。どこかで……僕の記憶が正しければこの可愛さは……。


 僕は全国ぬいぐるみコンクールのページを開いた。


 そして見つけた。


 やはり、うさぎの雰囲気やその他色々が似ている。


 去年の全国ぬいぐるみコンクールで、銀賞を受賞したぬいぐるみと。

 

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