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ドッペルゲンガーの使い方

作者: 双さん

ある日突然世界に表れた鏡写しのような怪物は、そのモデルとなる人物が怪物と出会うと死んでしまうという。

大抵の場合、その怪物は突然発生し、速やかにモデルとなる人物に接触した後、対象を殺害して無に帰る。


しかし殺害方法に共通点はなく、撲殺や事故死、アイデンティティの崩壊による自殺など多岐にわたる。

人気のない夕暮れの通学路。坂の上からやってくる人影に見覚えがあった少女は、被った黄色い帽子のつばで見えなかったその顔が見えると同時に小さな悲鳴をあげてへたり込んだ。


同時、俯いていた少女は目の前で座り込む少女の顔を認識し、同様にその表情が恐怖に歪む。そして錯乱して周囲をぐるりと見渡した少女は、動揺のままにへたり込んだ少女へと覆いかぶさると、その細い首を渾身の力で絞めにかかる。


無論、襲われている側の少女も抵抗しないわけではない。

全霊の力をもって首を掴む少女の手を外そうと試みる彼女は腰から下に力が入らないらしく、強い抵抗ができない様子であった。


閑散とした路上で行われた小さな生存競争もいつまでも続いているわけはない。

やがて疲労した腕が離れると、首を絞めていた少女は一目散にその場から逃げ出した。

「ちょっと!ゴシップ撮られてるんですけど!?」


とあるテレビ局の控室で、一人のアイドルが秘書の女に詰め寄られていた。


「まあまあ、あの時はちゃんと収録中だったし、よく似たそっくりさんが撮影されただけだって。」


全くと言っていい程に瓜二つなアイドルと秘書は、双子ではない。


今やどちらが怪物でどちらがモデルなのか互いに分からなくなった二人は、少なくとも前向きに人生を謳歌していた。


どうせ人間は死んでしまうのだから。

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