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第5話 魔法の基本と、自然神の権能、その人格

だいぶ迷走をしている気がする。今日この頃。


 馬車群は街道を行く。

 石畳の道では無く、踏み固められた土の道だ。

 その馬車群の1つ、ちょうど真ん中あたりにある馬車に、俺たちは乗っている。


 馬車の周りを見てみると、文明どころか人の影も形も無い自然豊かな草原が広がっている。遠くには、馬車から逃げる様に動く、野生の動物や、地球ではあり得ない大きさをした植物型の魔物などが見え、その更に奥には、エベレストだかチョモラマンだかの地球の山を感じさせる様に天を突く山脈が、自分達の周囲を囲っている。

 空に雲は無い。日も天を突く山脈に遮られ、既に半分が見えなくなっている。既に空は夜になろうという準備をしている。山に囲まれたオウルム王国では普段から日照時間が短いのだった。


 オークを倒してから時間はあっという間に過ぎた。

 俺は、命という哲学的なテーマについて考えながらぼーっと窓の外を見やっていた。

 結局、命は大切にしようねという(ありきたりな)結論しか出なかった。

 命が、一瞬のうちに消えて行く感覚。それが、異世界だからなのか、経験値として自分の中へと入り込み、奪った命を背負うという様な、今までに経験したことのない様な重さがのしかかり、悪寒がする。

 俺は、経験値を増やすというスキルを持っているからなのか、その影響が特に大きかった。

 他の奴らはしばらくして、覚悟を決め、[楽しむ時は楽しみ、戦う時は戦う]という決意を固めたが、俺は決意を固めるなどという以前に、今にでも重さで潰れてしまいそうだった。


 しばらくたち、やっと重さに慣れ、悪寒が治ってきた所で、馬車がゆっくりとなり、やがて止まった。


「ユウキ達!。夜だ。今夜は野宿になる。」


 そう言ってルーカスさんが馬車から降りた。

 窓を見ると、外は光のない、静寂の闇に包まれていた。

 俺たちの馬車内には光源があり、俺が気づくことはなかった。

 もっとも、俺が原因不明のナーバス状態に入っていたのもあるかもしれないが。

 俺たちは外に出る。


 外では、騎士達がせっせと野営道具を組み立てていた。

 キッチン代わりとなるだろう折りたたみの机や、椅子、そして薪などがセットされていく。

 一瞬、テントは良いのかと思ったが、よく考えると、寝る場所は馬車の中でも良いんだろう。


 それを見て、各々が自分にできることを探し、貰った仕事をこなしていく。

 因みに俺は、馬車内の整理を行った。思った通り、固定されていた椅子が変形し、平らな土台となった。その上に布団を敷いていく。そして、カーテンを動かし、男子スペースと女子スペースを分けた。

 …どうでも良いけど、オフトゥンがあるのか…。

 馬車内の整理をクラスメートの山田と、眼鏡村と一緒に行い、それが、終わる。

 すると、中に騎士が入ってきて軽く確認する。


「終わったね。外も人手が足りないからちょっと手伝ってもらえる?。」


 確認し終わると、そう聞いてきた。俺たちは、断ることも出来ず、外の手伝いする事になった。

 特別騎士団的な立ち位置だけど、突き詰めてみれば居候だからね。仕方ないね。


 そして、空が完全に黒に染まる頃。俺たちの野営地組み立てはやっと終わった。

 それでも忙しさは変わらず、これから訓練の時間だ。

 周りの松明に照らされた、ちょっとした広場に全員が整列する。


 整列し、しばらくすると、魔法師団の団長ペイドさんが来た。

 ペイドは、声を大きくする魔道具を使用しながら話し始める。


「今日は、魔法についての授業を受けてもらおうと思う。」


 その言葉に、クラスのほぼ全員が静かにだが、少しだけ沸き立ったように感じられた。


「魔法。君達の世界には無かった技術であるが、この世界では一般的に使用される技術だ。その方向性は多岐に渡り、主に戦闘、生活に使われる。私の使っている魔道具もまた、魔法を付与した道具だ。…君達は魔法が使いたいようだ。では、すぐに魔法の基礎訓練を始める。危険だから移動するぞ。」


 ペイドさんはそのまま草原の奥へと向かって行く。それに俺たちはついて行く。俺たちに続き、数名のローブを羽織った騎士達がついて来ている。おそらく魔法師団の団員だろう。

 ある程度奥まで進むと、ペイドさんが歩みを止め、俺たちに少し下がるように指示する。

 俺たちが下がった直後、一瞬の突風がペイドさんの周囲25メートルを円形に削った。


「では、始めよう。まずは、魔力を感じる訓練だ。ここに結界を生成し、内部を魔力で満たす。魔力を感じる事が出来たら、次のステップ。魔力を操る訓練へと移る。」


 そう言って、ペイドさんは、その人差し指と中指をある一点へと向ける。

 数回指で円を描いた直後、その指先から水色のエネルギーが放出され、三角錐型の、小さなドームを作った。

 更にその中に指を入れ、しばらく経ち、指を引き抜く。


「この中にある魔力の色を当てれば合格とする。』


 ペイドさんがそう言って、第1ステップの試験が始まった。

 全員で規則正しく並ぶ。

 先頭から順にドームに入るが、中々色を感じられないようだ。

 と思っていたら、まずヒロインズの魔法担当、聖宮さんと、黒江が魔力を感じた。それに続いて気功の使い手の漆原氏も感じられたようだ。流石。

 更に、魔法系の数人が初回で感じる事が出来ていた。


 そうして、どんどんと列が消化されて、俺の番が来た。

 素早く、中に入る。そして、周囲を見渡した。

 結界の外よりも圧迫感が特別強く、少し息苦しく感じられた。

 早く出たいと思いながら、色を探した。

 ふと、目の前の空間が、灰色に輝いた。

 その灰色の輝きは、見えたと感じると、そのまま灰色の輝きは残ったままだ。

 これが、魔力の色かと直感した俺は、すぐさま結界から出て、魔力の色を報告する。


「魔力の色、灰色でした。」

「なるほど……。」


 その合否は……


「…うむ、正解だ。第2ステップへ進め。」


 合格だった。まだ感じられてないオタク共に対しドヤ顔をお見舞いした。

 そうして次のステップに入った。次は魔力を操作する訓練だった。

 草原の草が刈られた円形の場所で、それぞれが互いに距離をとって魔力を操作する訓練を始める。




 …全然わからん。もうかれこれ30分くらいかかっている。

 体ではない何処かを動かすような事をやってみたり、

 魔力の一点を凝視して、動けー!などと念じてみたりした。

 しかし、灰色に輝く魔力はピクリとも動くことは無かった。しかし、もうすでに数人はステップ3へと入っているようだった。


『魔力を動かす感覚かぁ、大変だねぇ。』


 何処からか声が聞こえた。高い感じの声。女性っぽい。

 つい思わず「うわっ!」と声を出してしまった。

 全員離れたところで魔力操作の練習してるから良かった。変な奴とかって思われずに済む。


「誰だよ、お前。というかお前何処にいんの?。」

『それは、君の心の中さ。』

「ふざけてんのか?」


 ふざけてる。正直にそう思い、少し怒りめで言う。


『ふざけてないない。正真正銘キヨシの中にいるよ。私、キヨシを選んだ自然神のかけらの一部。』

「へぇーすごいの?。」

『リアクションうすいね。ここは、驚くポイントだよぉ。勿論凄いよ、私。自然神の司る、炎、水、風雷、天、地、生命、空間の属性の中でも最も強いと噂される空間の権能と人格だよ?。』

「空間、つまり、元の世界に帰してくれるんだな、今やってくれ。」

『それは無理だよ?。だってこの世界の神なんだもの、他の世界に干渉できる訳がないでしょ?。…でも、完全体になれば、あるいは…。』

「完全体にすれば戻してくれるんだな?。わかった。かけら集めが最優先だな。そういえばお前、名前なんて言うんだ?。」

『無いよ』

「え?。」

『飽くまで人格なので、名前は無いよ。考えてねキヨシ。』


 そう言われ、空間の人格の名前を考え始める。

 …我ながらネーミングセンスが無いんだよなぁ。

 と思いながら、懸命に名前を考える。

 空間…空間……くうかん。


 …!!決まった!。

「よし、お前の名前はアリスだ。」

『理由は?。』

「いや、一度ラノベ書いてみたくて、設定を考えた時の能力が空間操作だったんだけども、下調べとしてウィキィで調べたら、アリストテレスっていう…あの人なんなんだろ?。あの人色々な事に精通してたけど…本当にどういう学者の偉人だったのかよく分からんが。…まぁ、アリストテレスって出てきたから、そこから。」


 いやぁー、本当にアリストテレスって何の学者なんだろうか?。

 馬鹿にとっては名前しか知らない偉人なんだなぁと思いました(まる)


『アリス…アリス…。オーケイ、今日から私はアリスだよ!。』

「宜しくなアリス。」

『宜しくねキヨシ。』


 俺は、姿の見えない自然神の欠片の人格と、心の根源で、見えない握手を交わした。


『さて、名前が決まったところで、自然神による自然的な魔力使用についての話を始めて行くよー!』

「おぉー。ぱちぱち。」

『じゃあざっくり言うとね?。自分を動かさずに周囲の大気だけを動かす。って言うのが魔力の操作だよ』

「それ不可能な奴じゃ無いっすかねぇ?。」

『それを可能にするのが、魔力っていうやつだよ。魔力っていうのは、生物の意思に干渉する事で、その内包エネルギーを変換して、様々な用途に作用する、微粒子なんだけど…。』

「つまり、なんか小ちゃいのにやばい力持った奴を生き物の思い通りに動かせるっていうのが魔力っちゅう事でオケ?。」

『だいたいオケ。その魔力を、エネルギーに変換させて、様々な形に作用させる為に、情報量が多い計算式を正確に組み立てなければならなくて、その計算式を、魔力で構成した物を魔方陣って言うんだけど…ここまでオーケイ?。』

「なるほど?、つまり紙に書く計算式が長いから代わりに魔力で書くと。で、その計算式の答えが導かれる事によって、そこで魔力が色んな物に変わって[魔法]が完成する。っていう事でオーケイ?。」

『おぉーだいたい合ってる。じゃあ、本題。この魔力を動かすにはどうすればいいでしょう?。』

「生物の意思に干渉って言ってたよな?。つまり、念じる…とか?。」

『…まぁ、半分くらい合ってる…のかな?。』

「つまり?。」

『つまり、魔力という外部の粒子へとリンクして動かすんだけども、それとリンクをする為のものを体内魔力っていうの。で、体内魔力を操る脳器官を使って体内魔力と外魔力をリンクさせれば、後は簡単!。』

「おぉ、成る程。」

『因みにその脳器官は大体眉間辺りにあるから、そこを意識してやってみると良いかも。』


 魔力の動かし方をなんか論理的に教わった俺は、意識を集中させる為、座禅をする。

 そして、瞑想をする様な姿勢で、ゆっくりと眼を閉じ、眉間に意識を集中させる。

 大気を動かす様に、感覚的に念じると体の中で、何かの力の様な物が流動的に動いているのを感じた。

 それが、魔力だと直感出来た。


 ゆっくりと、目を開いた。

 座禅の様な体勢のまま、また眉間に意識を集中させ、魔力を動かす。

 すると、体の表面が灰色の魔力に覆われた。

 よく見ると、その魔力は水の様に忙しなく動いている事がわかる。

 今度は、その魔力を意識して、動かす様に、一点に魔力を集め山の様にするように念じながら、集中する。

 魔力が動く感覚がし、集中をとかないように目を開けると、指に山の様な小さなコブが、魔力によって作られていた。


「おぉ、出来た。」

『お、小さな山作ったんだ。でもまだまだだね。たとえ瞑想とかしなくても、そんぐらい出来るようにならなくちゃ、少なくとも勇者の役目は務まらないよ。』

「そうだな。…よし、もっと頑張るか。」


 そうして面白くなり、何回も何回も繰り返す。

 その、魔力で作る物は、少しずつ難しくなっていった。

 最初は目を閉じて、集中しなければ出来なかった魔力の操作も、段々と慣れていく事によって比較的簡単に操れる様になり、目を閉じていても自分の魔力であるなら、何処に、どういう形で存在しているのかが、なんとなくだが、解ってきた。

 目を閉じれば、色んな形の物を、イメージのままに魔力で表せる様になったが、目を開けていても、目の前に、円錐や、触手、直方体などのある程度決まった形の物を出し、意識すれば、形をグニャリと変えることまでは出来る様になった。

 しかし、動きながらでは、全然できない事がわかった。

 例えば、反復横跳びをしながらでは、四角形どころか、コブを動かす事すらままならないという事が分かった。


「これからも精進しなければ…。」

『いや、基礎はもうほぼ完璧レベルだから早く魔法使う第3ステップに行こうよ。』

「いや、まだ第2ステップが完璧だとは思ってないし、それにまだ第2ステップの人は大勢いる。まだその時では無い。」

『キヨシって意外と面倒くさい?。…いや、意外でも無いよね。』

「面倒くさい奴で悪かったな。」

「おーい、清ー!。何やってんだぁぁ!。もう全員集まってんぞぉぉ!。」

「おぉすまんすまん。」


 こうして、初日の魔法訓練は終わった。

 その後、夕食をわいわいと食べた俺達は、ある程度慣れてきた、固いオフトゥンで寝た。

 そうして、長い様で短い1日が終わったのだった。

『…とかいう風に締めくくって見るとなんか綺麗だよね。』

「メタいなぁ。」


という訳で、だいぶ遅れましたが、投稿しました。

次回もだいぶ遅れる気がします!。申し訳ありません(^U^)

では、次回もお楽しみに。



あと、魔力については結構適当です。

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